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場所は変わって、ここは三室。
教会経由で帰るのかと思いきや、アズ師匠の「めんどくせー」の一言で、セレス様のお屋敷から三室までひとっ飛びであった。
感謝の気持ちを込めて、いつもの甘いコーヒーを淹れる。
「はぁ~、やっぱ落ち着くなぁ。ミサトのコーヒー飲むと帰って来たって気持ちになるわ~。」
「あはは、ありがとうございます。アズ様はセレス様と仲がいいんですね。古くからって言ってましたけど、どのくらい前からのご友人なんですか?」
「あー、どんくらいだったかな~・・・えーっと、千年くらい?」
― 単位が違った!
せ、千年って・・・この方たちの寿命はどうなってんの!?
それに、住んでいる世界も違うだろうに、どうやって行き来してんだ?
本当になんでもアリなんだな、この世界!!
「そ、そうなんですね。それはまた長い・・・。」
あまりにスケールの大きな話についていけず、言葉も続かない。
「で?お前らはこれからどうすんだよ。」
「どうにもなりませんね。どちらが正しくて間違いかなんて、私たちが決めることではない。これまで通り、定期的に面接を行うことぐらいしかできないでしょう。」
アズ師匠の質問に、リュウ先生が淡々と答える。
「それもそうだよなぁ。しっかし、転移者のヤツらが敵味方に分かれるとはねぇ。センター始まって以来じゃねぇの?俺様も聞いたことねぇなあ。」
― 人間には人間の正義があって、魔族には魔族の正義があって・・・。
セレス様の話を聞いただけでも、ずいぶんと価値観は違うようだから、相容れることは難しそうだ。
といっても、魔族の方からすれば、人間なんて対した脅威じゃなさそうだけど。
「転移者をあの方に預けて大丈夫なのですか?魔族の闘争に巻き込まれそうな話でしたが。」
「それこそ無用な心配だな。ああ見えて、セレスは強いぞ。魔王の息子ってのは伊達じゃねぇ。ちょっとやる気さえ出したら、あっちも静かになるんだがなぁ。」
― あのアズ師匠がここまで言うとは・・・かなりの実力者に違いない。
「他の魔族の方に見つかる心配はないのですか?」
「見つかる前に、あそこの場所ごと転移してっからな。今回もどっかに移るだろ。しばらくは心配いらないと思うぞ。」
― 場所ごとって・・・まさかお屋敷ごと?えええ、あんなでっかいお屋敷まで?
「ま、そんだけ力のあるヤツだってことだ。それより、もう一人のヤツにこのことを話すのか?」
アズ師匠の問いに、リュウ先生と私は顔を見合わせる。
「彼からは、伝えても構わないと言われました。でも、すべてを話していいのかどうか・・・。」
「なら、話してやったほうがいいと思うけどな。ま、マイケルともよく話し合え。セレスの所に行くときにはまた声かけろや。しっかし、お前らも大変なヤツに目をつけられたなぁ、ははっ。じゃー、またな!」
― それはアズ師匠のせいじゃないかな・・・。
とは言えず、三室を出て行くアズ師匠の背中を見送った私である。
その後、私たちはマイケル先生に事の次第を報告し、判断を仰いだ。
やはり、転移者が敵味方にわかれる事態は前例がないとのことで、マイケル先生も頭を抱えていらした。
相談の結果、真実をぼかして伝えても、嘘をついてもいずれはバレるだろうから、私たちの見たまま聞いたままを伝えたほうがいい、との結論に至った。
マイケル先生との話し合いを終え、一室を出て行こうとした時、「どうして君たちが関わるとこうなるんだろうねぇ。」とのボヤキが聞こえたが、断じて私たちのせいじゃないと思う。
てか、絶対聞こえるように言ったに違いない。
そして教会を通して、光の勇者君に面接の要請を行った。
明日、彼は面接に来る。




