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闇の勇者君に拒絶され、失意の中、最初に通された客室に戻る。
暗い顔をしていた私たちを、アズ師匠とセレス様が待っていた。
「その顔じゃあ、君たちの望む回答は得られなかったようだね。どう?なかなか面白いことになっていたでしょう?」
― 魔族の方の『面白い』ってなんだろう。
「人間たちに裏切られたから魔族につくのかと思ってたらさぁ、まさか最初からこっちに来ようとしてたとはねぇ。しかも面白半分に!でもねぇ・・・」
セレス様がスッと真顔になって、それから、深紅の瞳が弓なりに細められた。
「興味本位で行けるほど、魔族の世界は甘くはないよ。」
― ゴクリ。
まるで、のど元に刃を突きつけられているような緊張感が走る。
物腰は柔らかいけど、やっぱりこの方は人間ではないと思い知らさせる。
「と、あの子にも忠告はしておいたよ。それに、私は面倒ごとに巻き込まれるのは御免だからね。魔族の勢力争いには興味ないんだ。だから、ここにいたってあの子の望みは叶えてあげられないんだけどねぇ。」
「魔王の息子がそれを言うかよ。で、これからどうすんだ、お前らは。」
― 転移者の立場がどんなものでも、ケアをするのが私たちの仕事。
マイケル先生のお墨付きがなければ、卒業はさせられない。
それが、転移者の希望であっても、だ。
「・・・・・・定期的に、こちらを尋ねるのは可能ですか。」
「ん~、私は大歓迎だけど、あまりお勧めはできないな。いつ火の粉が飛んでくるかわからないしね。」
「だからよー、テメェがさっさと後釜に座れば収まることだろうがよ。そんで、討伐にやってくるヤツらとテキトーに遊んでやればいいだろう?」
― テキトーにって・・・それじゃあ魔王を倒すために必死になってる人間がバカみたいじゃないの。
「えええ、やだよ、面倒くさい。たまに人間が持っている聖剣で切られると、痛いんだよ?私はね、痛いのも嫌いだけど、面倒くさいことはもっと嫌。あ、そうだ、アズのところに匿ってくれない?そしたらさ、誰にも見つからないでしょう?」
「却下。んなことできるワケねぇだろ。テメェのケツはテメェで拭きやがれ。」
「冷たいなぁ。友人がこんなに困ってるっていうのにさー。ねぇ、君たちもひどいと思わない?」
「・・・あはは、ど、どうでしょうか。」
― 随分と仲がいいんだな~。
古くからの知り合いって、どのくらいなんだろう?・・・な、何百年単位なのかな、やっぱり。
「さて、そろそろ時間だな。今はどうにもできねぇだろ。いったん帰るぞ。セレス、後は頼んだぞ。」
「はいはい。アズのお気に入りの君たちが関わっているなら、悪いようにはしないよ。なにより、あの子は私の好みだからねぇ。遊び相手にはちょうどいい。」
― そんな、オモチャみたいに言わなくても!
「けっ、相変わらずの悪食だな。それと、あの転移陣は消しとけ。また人間がうっかり迷い込んだら面倒ごとが増えるだけだろ。」
「アズには言われたくないな!転移陣のことは了解したよ。あの子の友人とやらが来たら大変だものね。それはそれで面白そうだけど、ククッ。」
「ほんっとお前は・・・。まあいい。また来るから居場所だけは知らせとけよ。」
「わかったよ。次は私とも遊んでほしいな。君たちとならいい友人になれそうだ。楽しみにしてるよ。」
「遊びに来てほしかったら、さっさと親父の後釜に座って、魔族の地を安全なものにするんだな。頑張れよ、セレス。」
「もう、アズは一言多いんだから。ふふ、でも、そうだね。考えてみるよ。じゃあね、異界の人たち、また逢う日までごきげんよう。」
笑顔でセレス様に見送られ、私たちはセンターへと帰還した。




