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「・・・というわけです。ぜひ魔界の協力をいただきたい。」
ここは魔界にあるアズ師匠の執務室・・・ではなく、三室にて事の次第をアズ師匠に説明している。
お願いする立場であったので、こちらから出向こうとしたのだが、「俺様がそっちに行ってやるよ。」と、アズ師匠が三室にやってきて、調剤室でふんぞり返ってリュウ先生の説明を聞いている。
魔界での女子会はしばらくご無沙汰であるので、執務室がどうなっているのかチェックしていないが、おそらく、いや120%、混沌たる部屋に戻っているに違いない。
「あー、なんかメンドーそうだな、それ。別にほっとけばいいと思うけどな。」
「どういう腹づもりにしろ、安否確認は必要でしょう。」
「それもそうか。まぁ、今回は素直に俺様に頼ったことに免じて、引き受けてやる。」
「あ、ありがとうございます。アズ様。頼りにしてます。」
「ふふん。ミサトにそう言われちゃあなぁ。で、どこのどいつ?」
リュウ先生は、闇の勇者君の資料をアズ師匠に渡した。
「あー、こいつね。りょーかい。じゃ、少し時間もらうぞー。」
― 相変わらずのアズ師匠節だったけど、なにか手掛かりを掴んでくれるといいな。
闇の勇者君は、今どこでどうしているのか、なにを思っているのか。
それよりなにより、どうか無事でいてほしい。
光の勇者君の話によると、魔物が出るという北の森は、1日もあれば行けるらしいが、けっこう深い森であり、迷ったら最後出られなくなる場合もあるとのこと。
そのため、騎士団で討伐に行くときにも、細心の注意が必要なのだとか。
アズ師匠が情報を持ち帰るまでには時間がかかりそうだし、空振りに終わるかもしれない。
しかし、その日の夕方、そんな私の不安を吹き飛ばすかのように、アズ師匠が三室のドアをバーンと開けて入って来た。
「おー、見つけたぞー。」
― は・・・・・はやっ!
アズ師匠に相談したのは、午前中である。
その日のうちに見つけるなんて、アズ師匠の情報網はどうなってんの!?
そして、午前中と同じように調剤室でふんぞり返るアズ師匠に、いつものコーヒーを出す。
「さすがアズ様ですね。こんなに早く見つかるとは。」
さすがのリュウ先生も、今回ばかりは驚嘆を隠せないようだ。
「まぁな。俺様にかかればこのくらい朝飯前だっつの。ほれ、もっと敬えお前たち。」
「さ、さすがです、アズ様!それで、彼はどこに?」
「あー、それなー。やっぱりメンドーなことになってるぞ。とりあえず無事だ。」
― 良かった・・・ひとまず安心。
でも、面倒ごとって・・・まさか、魔族に捕らえられているとか!?
「面倒とは、どういうことでしょうか。」
「あそこにいるヤツらの事情も絡んでるからなぁ。なんかよー・・・」
アズ師匠の話を聞いて、私たちも頭を抱えてしまった。
闇の勇者君は、北の森に入り、魔物を倒しながら奥深くまで入っていったらしい。
そこで、うっかり転移陣に触れ、北の森を管理している魔族の住処に飛ばされたとのこと。
魔物から逃げていたためか、かなり消耗しており、その居城の前で倒れているのを発見され、傷の手当てをしてもらい、休ませてもらっていたそうだ。
「魔族って、人間と敵対してるんじゃないんですか?」
「それがなぁ、最近、魔王が倒されたらしくてよ。」
「「はぁぁ??」」
― なんだそれ!じゃあ、討伐に行く必要ないじゃんよ!
「それで、今は後継者争いの真っ最中なんだとよ。あそこの森にいたヤツは、面倒に巻き込まれたくなくて身を隠してたらしい。魔族ってのはたいてい実力主義の世界だからなぁ。いくら魔王の子供だろうが、弱いヤツには絶対従わない。」
「な、なるほど・・・」
― 魔族のお家事情も大変そうだなぁ・・・。
「森にいたヤツは不用な争いを好まない穏健派だな。だから人間を助けたんだろ。ああ、ちなみに、そいつは倒された魔王の子供だ。」
― また、どうしてそんな出会いをするかなぁ、闇の勇者君は。




