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闇の勇者君の居場所は杳として知れない。
二室からの報告によると、街の外に出たところまでは掴めたが、そこからパッタリと消息が途絶えているとのこと。
いつもなら、1日2日あれば居場所を特定するルカ君とミカ君も、今回は難航しているようだった。
光の勇者君が最後に闇の勇者君を見たのは、月曜の夕方。
そして、センターにやって来たのは水曜日。
人間の足で2日やそこらで、そんな遠くまで行けるのだろうか。
それとも、隠していただけで転移魔法とか使えて、遠くに行ってしまったとか?
まさか、もしかして・・・最悪の事態もふっと頭をかすめる。
今日は金曜日であり、光の勇者君の面接の日である。
試合がなくなったので、実技指導も中止となったが、情報交換のため一度来てもらうことにした。
三室に入って来た彼は、憔悴しきっていた。
「すまない。こちらでも手を尽くしているがまだ見つからない。そっちはどうだ?」
「こちらはひどいものです。正体がバレたから逃げたに違いない、と言うヤツまで出てきて。試合も近いし、警備もあって、捜索もまともにしていません。」
― 掌返しがひどすぎる!
「君は大丈夫なのか?騎士団内で立場が悪くなっていないか?」
「・・・皮肉なことに、王女の後ろ盾がありますからね。陰でどう思われてるかは知りませんが、表立ってケンカ売ってくるヤツはいません。」
― 国の威信をかけた討伐に、わざわざ異国から召喚した勇者君が行かないとなったら、目も当てられないもんね。
箝口令がしかれたに違いないし、これ以上光の勇者君のご機嫌は損ねることはご法度だ。
きっと、そういう命令も出ているんだろう。
「それならいいが・・・命の危険を感じたらすぐにこっちに来なさい。まあ、君なら返り討ちにしそうだけど。そうだ、君たちの世界での移動方法は?」
「馬と馬車です。あとは自分の足。あ、騎士団の馬は減っていませんでした。」
どうやら、転移魔法というやつは存在してない世界らしい。
「ふむ・・・。使ったのが馬車なら、そう遠くへは行ってないはずだがな。」
三人でうーんと唸る。
「あの・・・探した場所を教えてもらえませんか。」
「君たちのいる王都の街全域と、その隣にある街までだ。」
「凄いな。数日でそんなに・・・。」
「一人の足じゃ限られるから、君が気にすることじゃない。街にいないとなるとその途中か・・・心当たりはあるか?」
すると、光の勇者君がハッとした表情になった。
「北の街道には森があります。そこに魔物がよく出るので討伐に行きます。まさか、あいつ・・・一人で討伐に向かったんじゃ・・・。」
「北の森だな。わかった。その周辺を探すよう伝える。」
「すみません。どうやら僕には監視がついているらしく、外に出してもらえなくて。」
「君も大変だな。君なら監視も追手も振り切れそうだなもんだけど。」
「買いかぶりです。少数ならともかく、集団で、魔法まで使われたらお手上げです。それに、問題を起こせば軟禁される。そしたらここに来ることもできません。」
― 若いのに、なんて冷静な判断・・・目の前にいる人にぜひ見習っていただきたい。
実は、リュウ先生は真面目に向こうの世界に行こうとしていたのだ。
クローズのヤロー事件があってから、よほどのことがない限り外の世界には行けなくなったのに。
止めるのにも一苦労で、最終的に私自身を盾にとってどうにか思い留まらせたのである。
その後、光の勇者君には、一人で突っ走らないこと、命の危険を感じたら避難してくること、もし居場所がわかったらこちらに知らせることを再確認させて、その日の面接は終わった。
「魔物の森に入ったとなると、ルカとミカでは荷が重いな。魔界に協力要請するか。」
「そうですね。もしかしたら魔界にもネットワークがあって、あちらの世界の魔族と繋がりがあるかもしれませんね。」
「無事だといいがな・・・。」
私たちは、アズ師匠に協力を仰ぐことにした。




