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光の勇者君の訴えを聞き、リュウ先生と私は、二室へと急ぐ。
いつもは歩調を合わせてくれるリュウ先生が、ズカズカと大股で歩いていく。
私は、小走りでついていくのがやっとだった。
リュウ先生が、二室のドアをバァンと開けた。
アーネット先生とキャロルさんが、驚いた表情でこちらを見る。
「そんなに慌ててどうしたんだい、二人とも。」
「緊急事態だ。ルカとミカを借りたい。」
「・・・あの2人になにかあったんだね。」
キャロルさんは、アーネット先生に目配せをする。
「わかりましたわ。わたくしはルカとミカを呼んできます。」
アーネット先生を顎で使うとは、いいのか?大丈夫なのか?
「まずは座ってよ、二人とも。」
「悠長に話している時間はない。俺は今からマイケル先生のところに行ってくるから、ミサから話して。」
そう言い残して、リュウ先生は踵を返し二室を後にした。
「・・・あんなリュウは初めて見る。なにがあったの?」
「わ、私もです。いやいや、そうじゃなくて、実は・・・」
私は、光の勇者君から聞いたことをキャロルさんに話した。
「・・・なんてことをしてくれたんだ。王女の風上にもおけない。自分の発言がどんな影響を及ぼすか、まるで考えてないじゃないか。」
「もしかしたら王女様は実際に魔族なるものを見たのかもしれませんが・・・。」
「だとしてもだよ。君たちが黒い髪をしていたって、ルキウス様と同じだとは思わない。僕が金髪だからってエリィ様やケリーと同じだとは思わないだろう?なのに・・・。」
― ビジュアル的には全然負けてないけどね・・・。
と思ったが、今はそこじゃないので、黙って頷く。
「っと、今は王女のことじゃないね。転移者だったら確実に呼び出してるのに口惜しいな。同じ王族として一から躾けなおしてやりたいよ。」
― お、おう。そ、それは、どのように・・・とは聞かなないことにする。
「心当たりを探していないとなると、すでに街から出て行った・・・とか?」
「ケリーにも話をしておこうか。天界にも動いてもらったほうがいいね。近くの教会にも人員を派遣してもらおう。」
しばらくすると、ルカ君とミカ君を連れてアーネット先生が戻って来た。
私は、もう一度同じことを3人に説明する。
キャロルさんが、勇者候補君たちの資料を双子君たちに渡した。
「いなくなったのは、こっちの黒髪の子。居場所を突き止めてくれるかな。」
「アイアイサー!じゃ、早速行ってくるね!」
「・・・いって、きます・・・」
ついさっき来たばかりなのに、風のようにいなくなったルカ君とミカ君である。
「アーネット先生、天界と連携をとりたいのですがどうすればいいですか?」
「天界というと、教会がらみですわね。行方不明となると、隣街の教会にも派遣してもらったほうが良さそうですわね。では、わたくしは今から天界に行ってきますので、後は頼みましてよ、キャロルさん。」
「承知しました。よろしくお願いします。」
― 何回でも言おう、ただし心の中で。
いくら秘書業が性に合ってるからって、アーネット先生に使いっ走りさせていいの?
キャロルさんってば、本当に大丈夫?
後でオシオキされたりしないだろうか・・・と余計な心配をしていると、リュウ先生が二室に戻って来た。
「サトから話は聞いた。ルカとミカはもう向かったよ。今、アーネット先生が天界にかけあってる。」
「話が早くて助かります。」
「リュウがそこまで感情的になるとは思わなかったな。」
「・・・あいつが腹の中でなにを企んでいようが、俺の生徒だ。教え子が邪険にされて面白いわけがないでしょう。」
「へぇ~、リュウって案外情に厚いんだね。なんか意外だな。」
リュウ先生の眉がピクッと動いた。
― わぁ、キャロルさんも一言多いな!そこはそっとしといてあげればいいのにぃ。
「こちらの打てる手は打った。あとは報告を待つとしよう。リュウが早まったことをしないように、ちゃんと見張っておいてね、サト。」
― 早まったこと?・・・はっ、まさか、リュウ先生ったら乗り込んでいく気だったの?
「チッ。」
リュウ先生が小さく舌打ちした。




