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今日は光の勇者君の面接日。
昨日と同じように、少しだけ長めに面接時間をとる。
闇の勇者君の報告で、状況はあらかた把握しているが、さて、光の勇者君のほうはどうなっているだろう。
「昨日、御前試合が決まったと聞きました。いよいよですね。」
「はい。そのことについてですが、辞退しようかと思っています。」
いきなり、爆弾発言が飛び出した。
「え・・・辞退って、どういうことですか?」
「他にやりたいことができたので。」
― やりたいことって・・・討伐のために召喚されて、それを受け入れたんじゃないの?
なんて自由な!
「他にって・・・討伐のために召喚されたのでしょう?それって大丈夫なの?」
「あー、別にいいんじゃないですか。召喚されたのは僕1人じゃない。どうせ選ばれるのはあいつですから。どっちかがいればいいんじゃないですか。」
― 確かに、メンバーに選ばれるのは一人だけど、けど、それでいいのか?
光の勇者君の言い方は相変わらずだけど、投げやりになっているようには思えない。
「やりたいことって、お聞きしても?」
「ドラゴンの討伐です。」
― ・・・・・・ど、どらごんって、竜のことですよね。
「ドラゴンって、ええっと、魔物ですよね。それなら魔王様の配下ではないのですか?」
「いえ。ドラゴンは、魔物とは別の種族です。魔王でも配下にできなかった強力な個体だと聞いています。」
「は、はぁ、そうですか。そのドラゴンさんも、国に被害を与えているのですか?」
「直接的な被害はありません。」
― なら何故!!悪さもしていないなら放っておけばいいいじゃん!!
「しかし、ドラゴンの目覚めは天災を引き起こします。竜巻、噴火、大雨、地震。これらはすべてドラゴンの仕業だと言われています。」
― それは魔物というより、神様レベルの存在じゃないだろうか。
そんな存在に、ケンカ売りに行って無事にすむわけがない。
止めたほうがいいんじゃないかな・・・でも、転移者の方の決断には関与しちゃいけないことになっているし、非人道的なことをするわけじゃないし・・・困ったなぁ。
「あの、それは騎士団で対応するのですか?」
「いえ。ドラゴンがいるのは辺境の地です。騎士団とは違う組織があります。」
「それじゃあ、今いる王宮の騎士団は辞めるということですか?」
「そうなります。でも、せっかくだから来週まで指導はきちんと受けたいと思います。」
「そ、そうですか。」
― これは困った!どうしたらいいんだ!
辺境の地ということは、王都からはかなりの距離があるに違いない。
転移者の方とは定期的に面接をしているわけだが、ぶらり旅をする転移者の方の面接って、どうすればいいの?今までそういう人はいたの?
私はたまらず、リュウ先生にヘルプの視線を送る。
「・・・そうか。もし討伐メンバーに選ばれたらどうする?」
「辞退すれば選ばれないでしょう。」
「言い方を変える。君の友人になにか事故が起きて、行くことができない状況になったら、どうする?」
「・・・そこまでは考えてませんでした。しかし、あいつがそんなヘマをするはずがないし、杞憂だと思います。」
「そうかな?何事も最悪の状況は想定していたほうがいい。試合に関係なく君が選ばれるに事態となったら、魔王討伐に行くのか?」
「・・・・・・その時は、その時また考えます。」
「うん。よく考えたほうがいい。自分が行かざるを得ない状況に追い込まれたとき、なにを優先するのか。君たちを召喚するため、国は多大な犠牲を払ったはずだ。それでなお、自分の欲望を優先するのなら、その代償は背負わないといけない。召喚を受け入れたのは他ならぬ君たちなんだから。」
「・・・・・・はい。」
リュウ先生の指摘に納得したのか、項垂れながらも返事をした光の勇者君だった。
「ドラゴン討伐の件は、メンバーが決定してから、ということでいいね?」
「わかりました。試合は辞退しますが、騎士団を辞めるのは、メンバーが決まってからにします。」
リュウ先生の指摘がなければ、早々に騎士団も辞めていたに違いない。
早まった決断をしなくて、本当に良かった。




