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勇者候補君たちが特訓を始めて2か月目に突入した。
第1週目は、顔合わせを兼ねて面接時間を長く設けたが、次の週は手短に終えることにした。
本番も近いことだろうし、貴重なご指導の時間だから、そっちが優先。
闇の勇者君は、健康的な生活を送っているので、特に注意事項はない。
いつもと変わらない、優等生な受け答えで顔色もいいし、健康面での心配は特になさそうだ。
光の勇者君からは、「あの飴をください。」と珍しくお願いをされた。
手軽に食べられるのがよほど気に入ったみたいだ。
1日3個まで、と口酸っぱく言って、一週間分の量を渡した。
そして、第3週目のご指導の日、少しだけ面接時間を長く設ける。
「御前試合の日が決まりました。」
そう言った闇の勇者君の表情はとても硬いものだった。
「いよいよですね。いつ行われるのかな?」
「来週の休日です。」
「ということは、来週が最後の指導の日となるのですね。なんだかあっという間ですね。」
「はい。すごく貴重な経験をさせてもらいました。試合に負けて討伐メンバーに選ばれなくても、なんとかやっていけそうな気がします。」
― 言うことがいちいち優等生だなぁ。
「あなたの糧となるのなら、指導に当たった先生方も嬉しいと思いますよ。もちろん私もです。」
「ミサト先生の厳しい健康チェックも、すごく腑に落ちました。なにごとも体が資本ですもんね。」
「そうですよ。よく食べてよく寝る。これが一番の基本です。とはいえ、食べすぎは良くないですけどね。」
「はは、確かにそうですね。お腹が膨れると動けませんよね。」
― 私にまで気を遣ってくれるとは、抜け目ないな!
それまで黙って聞いていたリュウ先生が、闇の勇者君に質問をする。
「討伐メンバーはどういう構成?募集してたと言ったけど、集まったのかい?」
「構成は、前衛が2人、剣士と盾役です。後衛が3人、攻撃魔法、支援魔法、回復魔法の人たちです。前衛は騎士団から選抜、一般募集したのは後衛の2人です。」
「騎士団に魔法を使う者はいないの?」
「魔力の多い人が、必ずしも騎士団に所属しているわけではないので。」
「なるほどね。剣士は何人試合に出るのかな。」
「異界から召喚された僕たち2人だけです。」
― 在籍している人たちじゃどうにもならなかったから、召喚されたんだもんね・・・。
2人より強い人がいたなら、わざわざ召喚しないよね、そうだよね。
ということは、2人はやっぱり強いということだ。
どちらかが残っても、騎士団の戦力として欠かせない存在であることに間違いない。
多少居心地は悪いだろうけど、冷遇されることはなさそうでひと安心だ。
「先ほど、後衛の2人と言ったけど、1人は決まっているってことかな。」
「・・・ええ、そうですね。回復魔法担当は既に決まっています。」
― おや、表情が曇ったぞ。
「そうか。・・・どうした?顔色がすぐれないな。」
「回復魔法担当は、国の第三王女様で、巷では聖女様と呼ばれている方なんですが・・・」
― 出たよ、聖女様!しかも、王女様ときたもんだ。
「王女で聖女か・・・。それはいろいろと気を遣うだろうな。」
「ええ、そうですね。王家の威信も示したいようでして・・・。」
― 異界の勇者と我が国の王女で聖女が、魔王討伐したら、国中フィーバーだろう。
もっと実戦に長けた使い手もいるだろうに・・・巻き込まれる人たちが可哀想だな。
この王女で聖女様が、とんでもないトラブルメーカーになろうとは、その時はまだ知らない私たちであった。




