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長いこと待たされたが、光の勇者君が面接へとやって来た。
診療室へと案内し、ソファーに座らせて、私は昨日と同じようによく冷えたミント水を出す。
「お疲れさまでした。どうぞ。」
光の勇者君は、ぺこりと頭を下げ、ミント水を飲み干す。
おかわりを要求されなかったことからも、闇の勇者君と違って口数は少ないようだ。
『もう一杯いく?』と声をかけようと思ったが、少し様子を見ることにした。
「これから君の面接を担当するリュウといいます。担当は薬です。よろしく。」
「私はミサトといいます。どうぞよろしくお願いしますね。」
「よろしくお願いします。」
口数が少ないけれど、挨拶はきちんとしているし、拗らせているような感じではない。
こちらから話しかければ、それなりに応えてくれそうではある。
リュウ先生の主導で、面接が始まった。
「キャロル先生の後、ケリーさんに指導をお願いしたと聞いたけど、魔法のことかな?」
「はい。どうしても試したいことがありまして、魔法を使える方を紹介してもらいました。」
「差し支えなければ、どういうものか聞いてもいいかな。」
「剣に魔法を纏うやり方があるかどうか、です。」
― うん、なに言ってるのかわかんないね!
そういえば、闇の勇者君が『拳に魔法をこめられないか』とかなんとか言ってたな。
あれの剣バージョン?
確か、火と光の魔法を使うって言ってたから、炎の剣とか光の剣になるのかな?
おおおお、これぞファンタジーの世界!
私の脳内では、『フレイムなんとか!』とか『クリスタルなんとか!』とか叫びながら剣を振るっている勇者がいた。
「なるほどね。自分では行き詰っていたってことかな。」
「そうですね。イメージはできていたんですが、誰もやってないから、やり方もわからなくて。」
― さすが天才君!発想から違う!
「糸口はつかめた?」
「はい。おかげさまで。形になりそうです。」
「それはよかったね。センターの図書室は行ったことがある?」
光の勇者君は、首を横に振る。
「あそこには、魔法に関する書物もあるから、時間がある時にでも行ってみるといい。」
「行ってもいいんですか?面接って一週間に一回のはずですよね。時間的に厳しいんじゃ・・・」
「実践の指導と面接が一週間に一回というだけ。教会に申し出れば、利用できると思うよ。」
「毎日でも可能ですか。」
「さあ、それはどうかな。教会にいる人に聞いてみて。」
「わかりました。聞いてみます。」
― 光の勇者君の関心は、剣と魔法に関することだけか。
リュウ先生の体術は、必要ないものらしい。
「御前試合について、君はどう思っている?討伐メンバーには選ばれたい気持ちはある?」
「そのために召喚されたのでしょうから。」
リュウ先生の質問に、淡々と答えてく光の勇者君。
その淡々とした受け答えは、まるで隣の誰かさんにそっくりである。
「剣と魔法の指導を受けるのも、そのため?」
「・・・・・・難しい質問ですね。選ばれるためというより、討伐するため、でしょうか。」
「ふぅん。その言い方だと、自分が選ばれるって聞こえるけど。」
「別にそういうつもりじゃないです。御前試合がゴールじゃないっていうだけです。」
― そっかぁ、光の勇者君にとって、御前試合自体、興味ないのかもねぇ。
選ばれなかったら、1人でさっさと出かけて、さくっと倒しちゃいそうな感じだな。
それなら、親友である闇の勇者君と戦うことは、どう思ってるんだろうな。
「ああ、気を悪くしたなら申し訳ない。君の友人と戦うことについてはどう思ってる?」
「どう、とは。」
「君たち親友だろう?これまでお互い助け合って一緒にやってきたのに、勝負がついたらどちらかが置いていかれるよね。そのことについてどう思ってる?」
光の勇者君は、リュウ先生の問いにすぐには答えられなかった。




