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闇の勇者君は、私たちがしている指輪の意味に気が付いたらしい。
― 細かいところまでよく見てるなぁ。
それに、こちらが不快になるような話し方もしないし、大人との会話も成立させている。
気配りもきちんとできていて、さらにサポート上手。
これなら、周りとも上手くやっているんだろうけど、彼は疲れないのだろうか。
「あっ、もしかして失礼なこと言っちゃったかな。すみません。」
「いえ、そんなことはないですから気にしないでください。もしかしてあなたの国でも同じ習慣が?」
「あー、はい。僕がいた国ではそうでした。父も母も同じ指輪をしてましたから、そうかなって。なのでつい・・・。」
「そうなんですね。同じ習慣があると、なんだか親近感が湧いちゃいますね。」
なるべく、親しみやすい雰囲気を出そうと頑張っている私である。
「そうですよね。それに、お二人とも僕と同じ色だから・・・故郷を思い出しちゃって。」
― お、なんかいい流れだぞ。
少しでも近しく思ってくれたら、距離も縮まるってもんだ。
「ふふ、本当ですね。私も弟がいるんですけど、あなたを見ていたら思い出しちゃいました。私はキャロル先生やリュウ先生のように強くないですし、お話を聞くくらいしかできません。もし、誰かに言いたくても言えないことがあったら、こっそり聞きますから、遠慮しないでくださいね。」
「はい。その時はお世話になります。よろしくお願いします。」
とは言ったものの、本当に話してくれるとは思っていない。
今は目の前のことに集中しているだろうから、私の出番はもう少し先になるだろう。
その時に、思い出してくれればいいや。
「今日は初日だから、このくらいにしておこうか。一週間後に、また。」
「はいっ!ご指導ありがとうございました。帰ったら早速あいつにも伝えないと。」
― あいつ、というのは光の勇者君のことか。
まず自分から先に体験してみて、傾向と対策を教えるつもりだったのかな。
その言葉を聞いたリュウ先生の眉がピクッと動いた。
― え?今の発言・・・なにか気に障ることでもあったの?どこに?
「・・・君さ、疲れない?」
「え?疲れるって、それは、恥ずかしながらそれなりに疲れていますけど。」
「うん、体のことじゃないよ。君って、周りに気を使って、他人のこと気にしてばかりだろう?そういの、苦しくならないのかと思ってさ。」
「え・・・いや、別に。」
― また、答えにくいことをど直球で・・・ほらぁ、明らかに困ってるじゃん。
「君ともう一人の子、一つの椅子を争っているんだろう?今回の私の指導は、与えられた情報から君が得たものだよね。それを易々と他人の手に渡していいのか?それで他人が栄光を掴んでも、君は悔しくないのかな?」
「え、いや・・・そんな風に思ったことは。」
「本当に?君さ、どこかで諦めてない?その選抜試合とやらも、本気で勝ちに行く気持ちがある?」
「・・・・・・」
「本気なら、どんな手を使っても勝利を掴みに行くよね。実力差がある相手なら尚更だ。なぜ同じ土俵に敵まで上げてやる必要がある?ズルい?フェアじゃない?そう思うなら、君はあの子どころか、誰にも一生勝てないよ。」
― そんな、すべての逃げ道を潰す言い方したら、ますます答えられなくなるじゃないの。
あああ、マイケル先生の『そういうの得意だもんね』がこれかぁ~。
個人攻撃なぶん、キャロルさんより抉ってる。
闇の勇者君は、実力差も、自分は負けるともわかっているんだろう。
模擬戦なんかもやっていて、一度も勝てた試しがないのかもしれない。
それなら、どうせ選ばれないなら、せめて光の勇者君のサポートをすることで、自分の心を守ろうとしていたのではないのだろうか。
『自分のサポートおかげだな!!』って、思いたかったのかも。
・・・・まだ出番は先だと思ってたんだけどなぁ~。
これを、どうフォローしろっていうのよ。




