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勇者候補の2人が帰った後の二室では、大人たち4人がまだ残っていた。
「キャロル君、お疲れ様。いやぁ、見ごたえがあったねぇ。話には聞いていたけど、ここまでとは。さすがケリー君が認めただけあるね。」
― 本当にね!
「私、剣術の類はやったこともないので、細かいことはわかりませんが、キャロルさんの強さと美しさだけは、わかりました!」
オリンピックや世界大会で、日本が出場する競技をテレビで見ていると、ろくにルールもわからないのに最後は感動している、あれと同じ感じ。
「そんなに褒めらるとなんだか照れるね。幼い頃から振り続けていたし、なにより師範が素晴らしい人だったから。」
キャロルさんは、懐かしむような表情で少し遠くを見つめていた。
― そのあたりをもう少し詳しく!!
と思ったが、今は仕事中。
次回の女子会で、ゆっくり聞かせてもらうことにする。
マイケル先生は、これからの予定を再確認した後、「それじゃあ、よろしくね。」と言って先にミーティングルームを出て行かれた。
私たちも立ち上がり、マイケル先生の後に続こうとした時、
「リュウの感想がなかったけど、君の眼にはどう映った?」
と、キャロルさんが、リュウ先生に話しかけた。
「どう、とは。キャロル姫の剣技に圧倒されましたよ。言葉も出ませんでした。」
― わぁ、なんかうそくさーい。
「誉め言葉はマイケル先生とサトから貰ったから、リュウからはいらないよ。そうじゃなくて、あの2人のことだよ。」
― うわぁ、こっちも負けてなーい。
「直接話してはないので、まだなんとも。騎士を目指していただけあって、礼儀正しい、くらいですかね。」
「ふぅん・・・ねぇ、サトはどう思った?」
「え、私?あー・・・なんとなく、実力差は少しあるのかな、と。黒髪の勇者君は、それをわかっているみたいでしたね。」
「そっか・・・確かにそうかもね。金髪の子は、僕に10分近くついてこれたもんね。」
キャロルさんは腕を組みながら、なにかを考えているようだ。
「キャロル姫は、どちらが選ばれると思いますか?」
― 実力に差があるんだったら、光の勇者君じゃないの?
「リュウはどっちだと思う?」
「質問を質問で返すのは感心しませんね。剣のことはわかりませんが、選ばれるとしたら黒髪のほうでしょうね。」
「ははっ、やっぱり、わかってるじゃないか。」
― え?え?なんで?
キャロルさんは剣の達人で、リュウ先生は空手の達人で、達人どうし相通じるものがあるんでしょうけど、私にはさっぱりわからないってば。
「実力があるほうが選ばれるんじゃないんですか?え、どういうことですか?」
置いて行かれないように、必死に縋り付く私である・・・トホホ。
「そうだな・・・確かに個人戦では金髪のほうが実力もあるし強いだろうな。だが、討伐となるとチームを組む。4人、いや5人くらいか。そうなると、1人がスタンドプレーに走ると統率が乱れる。それに、あまり協調性も感じられない。」
「そうだね。黒髪の子は基本に忠実な剣筋だった。だから攻撃のパターンもわかりやすいんだけどね。でも、合わせるほうは予測できるから、やりやすいんだよ。金髪の子は才能がある天才型、黒髪の子は才能が劣る分、努力で補う秀才型。それにリーダーシップもあるからね。」
― ああ、学級委員長タイプだもんな~。
「は、はあ・・・そんなものなんですね。」
― キャロルさんはともかく、リュウ先生は、どうしてそんなところまでわかるんだ?
これもラノベの知識なのかしら?
「黒髪が剣士じゃなくて、後方支援の魔法使いとかなら、金髪を活かせたんだろうけど。今からじゃ間に合わないだろうし、もったいないな。」
「金髪の子も、自分の才能や周りとの実力差もわかっているようだから、黒髪の子が選ばれたら相当ショックなんじゃないかな。」
・・・・・・どうやら私が担当するのは、光の勇者君らしい。




