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そして、なんの解決策も思い浮かばないまま、とうとうその日がやって来た。
大役を任され、ため息ばかりの私に、リュウ先生は「俺がフォローするから」と、心強い言葉をいただいたものの、青少年の相手をするのは、正直気が重い。
礼儀正しい人たちではありそうだが、ソーマ君みたいに思春期真っ盛りだったらどうしよう。
また拒絶されたら・・・と不安ばかりが先に立つ。
「転移者の方をお連れしました。」
天界の方が、勇者候補君たちを連れて二室に入ってきた。
一人は、赤みがかった金髪にブルーの瞳の男性。
そして、もう一人は、黒髪に黒い瞳の男性であった。
まるで、朝の光と夜の闇ような、対照的な2人である。
「やあ、2人ともよく来たね。さあ、座ってくれたまえ。」
ニコニコと穏やかな口調で話すマイケル先生である。
さすがに戸惑いを隠せない2人は、顔を見合わせながら椅子に座った。
「実は、マリア君が、召喚された転移者の対応をしていてね。君たちは特に問題もなさそうだし、いい機会だから、担当をこちらの者に変更させてもらえないだろうかと思ってね。」
2人は顔を見合わせる。
どう答えていいかわからないようだ。
「その代わりといっちゃあなんだが、特別講師を用意しているんだ。君たちは勇者候補で剣を扱うんだったよね。ならば、実践の指導もどうかなと思ってね。どうだろう?」
「それは・・・ありがたいお話ですが、なあ、どうする?」
「別にいいんじゃないかな。違う人と剣を交えるのは、いい経験になると思う。」
「それもそうだな。僕たちは構いません。よろしくお願いします。」
なんとも素直で好感の持てる受け答えである。
ソーマ君みたいな思春期真っ盛りじゃなくて、ちょっと安心した。
「そうかそうか。それじゃあ講師を紹介するね。入ってきてくれ。」
マイケル先生が呼んだのは、もちろんキャロルさんである。
「こんにちは。君たちの指導役のキャロルといいます。よろしくね、勇者候補君たち。」
美しすぎる特別講師の登場に2人とも固まっていた。
「え・・・女性・・・?」
― おおお、一目で女性と見抜いたとは、見る目あるな!
最初に言葉を発したのは、黒髪の闇の勇者君である。
「まさか、嘘だろ・・・。え、女の人?本当に?・・・おい。」
― ん~、もう一人は見抜けなかったのか、残念!
金髪の光の勇者君が闇の勇者君に目配せをし、それを受けて、闇の勇者君が頷いた。
「ありがたい申し出ではありますが、お断りします。女性に剣を向けるなど僕たちにはできません。それに・・・言いにくいことですが、女性に指南役が務まるとは思えません。」
― はっきり言ってくれるなぁ~。
それだけちゃんとした意見が言えるってことは、真面目な人たちってことだ。
うん、感心、感心。
少々、女性蔑視のような気もするけれど、女性は守るべき存在だと思っているってことだ。
おそらく、彼らの世界では、女性が最前線に立つことがないんだろうな。
闇の勇者君の発言を受け、フッと笑った後、キャロルさんの取り巻く空気が変わった。
頭を上げていられないような、上から押さえつけられるような、そんな重たい空気だ。
― い、威光発動したぁ~!キャロルさん、怒ってるぅ~!!
「君たち、誰に向かってそんな口をきいているのかな。女だからと言って甘く見ていたら痛い目を見るよ。魔王の配下に女の姿をしているヤツがいたらどうするんだい?女の姿だから斬れない?そうして仲間がやられても、黙って見ているだけかい?幻影を使う敵がいたら?君たちの知っている人の姿で襲ってきたら、斬れるのかな。そんな甘い考えなら、勇者なんて辞退したほうが君たちのためだよ。」
― まるで経験者のような口ぶり・・・はっ!キャロルさんはお兄さんの代わりに最前線で戦ったことが!?
「「・・・・・・ぐ・・・」」
キャロルさんの迫力に、頭も上げられず、ただ押し黙る勇者候補君たちである。




