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マリアさんが対応していたという、転移者の方『たち』。
それは男性であることは間違いないだろう。
ウィリアム先生曰く、『女神様』であるマリアさんから私たちに担当を変えるとは・・・。
もしかして、転移者の方との間で、マリアさんの取り合いが行われた、とか?
思いもしなかった提案に、戸惑いながらも次の言葉を待つ。
「ミサト君がここに来る前に、2人の男性が召喚されたことがあってね・・・」
と、マイケル先生が話し始めた。
マイケル先生の説明によると、魔王討伐のために、国を挙げて異世界から勇者候補を召喚した時、2人の男性が召喚された。
1人を召喚しようとして、その場に居合わせたもう1人が巻き添えになったのか、はたまた2人を召喚しようとしたのかは、今となってはわからないとのこと。
その2人は、とある国の学生で親友同士の間柄であったという。
2人は、話し合いの末、召喚を受け入れた。
もともと、騎士を養成している学園に通っていたため、正義感が強いこともあったのだろう。
守るべき者がいて、自分たちが望まれているのなら、ということで了承したらしい。
当時のセンターで、女性はアーネット先生とマリアさんしかいなかった。
だが、2人が親友同士であったことから、マリアさんが2人のお世話をし、そのまま定期的に面接を行うようになったとのこと。
最初のうちは特に問題もなく、2人は切磋琢磨しながらその時を待っていたようだったが、最近になって、様子がおかしくなってきたらしい。
「最初はぁ、2人ともよく笑いあっていたんですぅ。慣れない暮らしでの失敗談とか笑い話にしてくれるくらいに。でもぉ、最近、そういうことが少なくなって。あっ、2人が仲たがいしているとか、そういう雰囲気じゃないんです。うまく言えないんですけど、あの2人の間にあった距離がどんどん広がってるような気がして・・・。」
マリアさんが、ここまで声のトーンを落とすのは珍しい。
「それでぇ、今まで2人一緒に来られて、私がお話を聞いていたんですけど・・・もしかしたらそれが良くないのかなって。お互い、言いたいことが言えなくなってるんじゃないかなって、そう思ったんです。」
そう言って、マリアさんは悲しそうに目を伏せた。
「事情はわかりました。それでは、何故3人なのでしょう。」
リュウ先生が、マイケル先生とマリアさんに質問をする。
リュウ先生の疑問はもっともだ。
女性が対応すればいいのなら、マリアさんともう一人だけでいいはず。
「ここからは僕が説明しようかな。ルカとミカに調査させた結果だけどね・・・」
マイケル先生は、調査報告書を手にしていた。
― ルカ君とミカ君が動いたって、二室案件?
2人のどちらかが、オイタをしたってことだろうか。
「近々、魔王討伐のための編成が行われるそうだ。それぞれ役割があるけど、前衛を任される剣士は一人らしい。」
「ということは、魔王討伐のために召喚された2人のうち、どちらかは落選するということですか。」
二室案件でなさそうで、ホッとした私であるが、それと同時に、苦々しい気持ちになった。
― どちらかが選ばれ、どちらかが選ばれない。
それは、召喚という形で選ばれた彼らにとっては、非常に残酷な結果だと思う。
アタッカーを2人にして、2枚看板にすればいいじゃん!と思うが、事はそう単純ではないのだろう。
「マリア君もその2人に探りを入れていたんだけど、なかなかどうして口が重くてね。僕の判断で二室に調査を依頼したってわけ。マリア君は平等に彼らを応援していたわけだけど、こんな状況ではそうはいかないだろう?そこで、この際担当を変えて、君たちに彼らの話を聞いてほしいと思ったんだよ。」
― なるほど・・・マイケル先生の仰ることはごもっとも。
2人のうち、1人だけがマリアさんから外れては、そこでも選別が行われたと誤解される。
しかも、相手が私となれば、言わずもがな、である。
だけど、キャロルさんと私では・・・・ますます格差が生まれるのではないかしら!




