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エメラルドの聖女様が新たな国に旅立たれ、三室はいつもの日常に戻った。
旅立つ前日の打ち合わせの内容については、リュウ先生はとうとう教えてくれなかった。
『リリのこともあるから、ジジィ神官の相手は、それなりにしてもいいよ』と言われただけである。
ずいぶんと軟化したな~と思ったが、そのしわ寄せはケヴィン様に向けられのだろう。
どんなしわ寄せがいったのか・・・隙を見てアズ師匠を問いたださねば!
ピンクの聖女様は、一週間に一度のご指導を続けられている。
ケーキを喜んで食べてくれた聖女様、その喜ぶ顔を見たくて、手を変え品を変え、差し入れを続けているチョロイ私である。
特に喜んでくれたのは、テディさん改めラルドさんが卸しているフルーツであった。
「なにこれぇ、こんなフルーツ食べたことないですぅ!会長に教えたら、ぜーったい仕入れますよぅ。高値で取引できますよぅ!やだー、もったいなーい。」
と、すごい勢いで完食していた。
こんなことをラルドさんに知られたら、後の祭りである。
「これは、センターでしか食べられない特別なもの」と誤魔化しておいた。
リュウ先生も、ようやく残業の日々から解放された日のこと、マイケル先生から呼び出しがあった。
今度は、どんな難題を吹っ掛けられるんだ・・・そう思いながら一室へと足を運ぶ私たちである。
「「失礼します。」」
「二人とも忙しいところ悪いね。」
マイケル先生に迎えられ、勧められるままソファーに座る。
マリアさんが、いつものようにお手製ハーブティーを淹れてくれた。
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なかなか話が始まらない。
リュウ先生も、戸惑いながらも少しイライラし始めている。
これはマズイと思い、「あの」と口を開きかけた時、誰かが一室に入って来た。
振り返ると、そこにはキャロルさんがいるではないか。
― マイケル先生に用事だろうか、それとも呼ばれて来たのかしら。
「あれ、リュウとサトも呼ばれてたの?」
「ええ・・・ということは、キャロルさんもですか?」
「うん、そうだよ。」
― このメンツが呼ばれたということは、どういうこと?
思い当たることといえば・・・キャロルさんが暮らしている環境?
アリィさんから卒業して、独り立ちしろ、というお話なのかしら。
それは、両想いの二人を引き離すことになるのでは?
それ以前に、キャロルさんが一人暮らしできるとは思えない!
はっ・・・まさか、そのサポートを私たちに・・・!?
グルグルと頭を悩ませていると、「キャロルさぁん、いらっしゃいませ~。さ、どうぞぉ」と、ハイトーンのマリアさんの声が聞こえてきた。
「もうっ、全然一室にこないんですもーん。たまには遊びに来てくださいよぅ。」
などと言いながら、ハーブティーをキャロルさんの前に置いた。
― キャロルさんが女性と知って、なおこの態度・・・。
マリアさんも相変わらずだな~。
なんて思っていると、部屋の隅からなにやら視線を感じる。
・・・・・・・・・・これは、知らないふりをしていたほうがいいやつだ。
「マイケル先生、どういうことですか。なぜ私たちが呼ばれたのでしょう。」
しびれを切らしたリュウ先生が、口を開いた。
「ああ、ごめんね。実は折り入って君たちにお願いがあってね。・・・マリア君も来なさい。」
マリアさんは、マイケル先生の隣に椅子を持ってきて座った。
「マリア君が担当している転移者の人たちを、君たちにお願いできないかと思ってね。」
― 転移者の人『たち』?
それは、一人ではないということ?




