閑話【ケヴィンの懺悔室②】
皆様、初めまして。
自分は、天界派遣部の下っ端従業員であります。
名乗るほどの者ではありませんので、派遣員Aとお呼びください。
あ、これ、エリィ様の秘書をしている者からの受け売りです。
自分たち下っ端はこのくらいで丁度いいのだそうです。
我々下っ端は、上司の指示のもと、召喚された転移者の方たちのお世話をするため、各世界に派遣されます。
センターには多くの下っ端従業員がおりますが、その中からエリィ様がランダムに選出されます。
発展した国もあれば、治安がすこぶるよろしくない国、見渡す限り自然しかない辺境の国など、行く先は様々です。
ぶっちゃけ、ガチャです。派遣ガチャです。
しかも、エリィ様のご気分次第で決められるわけですから、我々下っ端はたまったものではありません。
そんな不満が蔓延していた天界でしたが、つい最近、天界派遣部門なるものが設立され、勤務場所も変わりました。
そして、直属の上司がケヴィン様となりました。
ケヴィン様は、下っ端と面接を行い、適性のある者、やる気のある者を引き抜き、この教会に拠点を移されました。
引き抜いた者たちを収容するのには、あまりにも手狭だったため、急ぎ事務所を建築し、現在に至る、というわけです。
ケヴィン様が上司になってからというもの、適材適所の配置が行われ、快適な職場環境となりました。
さすがは、エリィ様の秘書候補ナンバーワンだったお方です。
エリィ様が采配されていた頃とは違い、不平不満もだいぶ少なくなりました。
尊敬すべき上司のケヴィン様ではありますが、少々困ったお方でもあります。
その・・・なんといいますか・・・ちょっと性格が・・・斜め上といいますか、斜め下といいますか・・・。
先日、人界のミサトさんがケヴィン様の元を訪れた時もそうです。
あの聖女様のことだって、おわかりになっていたでしょうに・・・。
あ、自分、聖女様の護衛をしていた者であります。
護衛のくせにケガをさせてしまい、大変心苦しく感じましたが、『既成事実は作らないとね』というケヴィン様の一言で、最初の一撃だけは当てさせました。
・・・だから、そういうとこだよ。
ミサトさんがこの世の終わりのような顔をして帰られた次の日、聖女様を迎えに行かれたケヴィン様でしたが、がっくりとうなだれておりました。
「はぁ~・・・ミサトさんの目が冷たかった。」
そりゃそうでしょうとも。
いの一番にケヴィン様に頼られたのに、あんな言い方されちゃあねぇ。
ミサトさんは、きっとアズ様に助けを求めるでしょう・・・自分だったらそうする。
「きっと、今更って思われてますね。最初から聞いてあげればよかったじゃないですか。」
「感謝倍増されれば、もうちょっと距離が近くなるかな~って思いまして。ほら、アズとミサトさんって仲良しじゃないですか。私もあんな風になりたいなーって。」
本当に、なに拗らせてんだよ、この上司は。
「ケヴィン様、あの時、ミサトさんがアズ様より先にここに来られたこと、わかってますか?」
「・・・え・・・」
「まさか気付いてなかったのですか?それなのにあんな冷たい言い方して・・・。話を最後まで聞かない彼女もどうかと思いますが、それほどショックだったのでしょうねぇ。あ~あ。」
「え、えええ、ど、どうしましょう。私としたことが・・・そこまで気が回りませんでした。」
「知りませんよ。ご自分でどうにかなさってください。策士策に溺れるって、こういうことなんですね。大変勉強になりました。」
翌日、レイさんが聖女様を教会に送り届けたのを見たケヴィン様は、慌てて三室に行かれましたが、夜遅くまで帰ってこられませんでした。
自分も、一応、ミサトさんには謝っておきましたよ?
しかし、戻られたケヴィン様の憔悴しきったお顔を見るに、きっと真意は伝わらなったのでしょうね。
これからどうなることか・・・おっと、もうこんな時間ですか。
自分、これから聖女様の護衛として共に行かねばなりませんので、この辺で失礼させていただきます。




