表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ異世界転移センターへ  作者: カイ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

742/896

664

ケーキ店へと向かい、いつかジン様が言っていた宝石のようなケーキを眺めて、荒んだ気持ちを癒す。

各種類全て買い占めようとして、さすがにそれはマズイと思い留まり、半分くらいで勘弁してやった。

― うん、まだ理性は残っている。

しかし、ケーキ屋のご主人には、「あらあら」と苦笑いされてしまった。

また夫婦喧嘩だと思われちゃったかもしれない。


ケーキを買って、少しばかり気持ちが落ち着いた私は、そのまま三室へと戻った。

「ただいま戻りました。」

「ミサトちゃん、おかえり。どーだった・・・って、うん・・・お疲れ様。」

私の顔と大きなケーキの箱を見て、すべてを察してくれたレイ君である。

「聖女様、来てるの?」

「来てるよ。そろそろ休憩にしようと思ってて、今、お茶の準備してるとこ。」

なんてグッドタイミング。

「そうなんだ。丁度よかった。じゃあ、せっかくだからこのケーキもお出ししようか。」

1個や2個減ったところで、なんてことない数だもの。

きっと、ピンクの聖女様なら喜んで美味しそうに食べてくれるに違いない。


レイ君が休憩を告げ、ピンクの聖女様とリュウ先生が調剤スペースから出てきた。

「キャーッ、可愛いケーキがあるぅ!どうしたんですか、これぇ。」

「いつも頑張っている聖女様に、ミサトさんから差し入れだって。よかったですねー、聖女様。」

「ヤダー、ほんとにー?あーん、ミサトさんが優しい!ありがとうございますぅ~。」

ピンクの聖女様がやっぱり私に抱き着いてきた。

「いえいえ。疲れた時には甘いものが一番ですから。さ、どうぞ。」

― あぁ~、癒される~・・・どこぞの聖女様とは大違いだ。

比べちゃいけないのはわかっているが、どうか今日だけは許していただきたい。

聖女様は、本当に美味しそうにケーキを召し上がって、そしてまた鬼教官に連行されていった。


「ミサトちゃん、例の聖女様は今夜どうするって?」

ティーカップを片付けながら、レイ君が私に聞いてきた。

― あー、そういえばそうだった・・・。

ピンクの聖女様に癒され、ほっこりした気持ちが吹き飛んでいった。

「ゴハン食べてたら、ケヴィン様が迎えに来て一緒に帰ったから、どうだろう。行くとしてもお迎えはいらないんじゃない?」

「はぁ?結局ケヴィン様が迎えに来たの?」

「うん。受け入れ先の準備が整ったとかで、明後日新しい国に行くんだってさ。」

「また急だな~。それなら最初から三室に迎えに来いって話だよねー。」

― だよね、そう思うよね!

今更って思った私がおかしいわけじゃないよね。

「急に決まったみたいだし、準備とかで忙しかったんじゃないのかな。知らんけど。」


「・・・ミサトちゃん、室長センセーには黙っててあげるからさ、ミーティングルームでケーキ食べてきなよ。」

「え?帰ってから食べるからいいよ。」

「いいからいいから。美味しいうちに食べちゃいなよ。コーヒー淹れてあげるから、ね?」

― うう、レイ君が優しいよ・・・もう泣いちゃいそう。

「じゃあ、お言葉に甘えていいかな。いつもありがとうね。」

「うん、たまには素直に甘えてよ。・・・どうせ明日もあるんでしょう?」

「・・・・・・行ってきます。コーヒーよろしく。」


レイ君が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、私はケーキを二つほどたいらげた。

可愛らしいケーキに、思いっきりフォークをぶっ刺してしまっていた。

せっかくの見た目が、見るも無残な形になってしまったのは言うまでもない。

三つ目に手をかけたところで、手が止まった。


・・・残りは、仕事が終わって自室に戻ってからにしよう。

どうせ、リュウ先生は残業で、夜遅くならないと帰ってこない。

自室に戻るまでに可愛らしいケーキを可愛らしく食べるくらいには、気持ちが落ち着くはず。

こんな気持ちでケーキを食べるなんて、ケーキに申し訳ない!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ