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― なんで今更・・・。
キラッキラのケヴィン様を見て、私が一番初めに思ったのは、これであった。
「ケヴィン様、今日は午前中で終わりなので、ミサトさんにゴハンに連れてきてもらってました。」
先ほどの声より、ハイトーンになっている聖女様であった。
「今日は午前中まででしたね。教会にお戻りにならないから、心配していたんですよ。」
― しらじらしい・・・。
ある意味梯子を外された私の心中は、穏やかではなかった。
「ごめんなさーい。それで、私を探してたって・・・なにか急用でも?」
コテンと首をかしげる聖女様のその仕草も、もうあざとく見えてしまう。
・・・私の中に、どうやら大型低気圧がやってきているらしい。
「ええ。実は、新しい国の受け入れ準備が整いましてね。急ぎお知らせしたくて。」
「「えっ!?」」
― こんな急に!?
聖女様もびっくりしていたようだが、私もついつい声に出るくらい驚いた。
「・・・私、まだリュウ先生から全部教わってないのに・・・。」
― 違うでしょ、『リュウ先生とゴハンも食べに行ってないのに』でしょ。
ああ~、こんな風に思う自分が嫌だ、と思うがもう止められない。
「聖女様は勉強熱心ですね。さすが女神様が認めたお方です。向こうに行ってからでも、指導は受けられますよ。現にそうされている方も大勢いらっしゃいますから。」
「あっ。そうですよね。今回で終わりってわけじゃないですものね。」
― それぇ、私も言ったよねぇ?
さも、『今気づきましたぁ』みたいに言っちゃってぇ!
「その通りですよ、聖女様。というわけで、今後のことについて話し合いたいのですが・・・もうご予定はあるのかな?」
「いえ!時間が空いたので図書室で勉強しようかなって思ってたので、大丈夫ですよ。」
聞いてもいいかどうか迷ったが、どうしても気になったので質問してみた。
「あのケヴィン様・・・聖女様はいつ出発されるのですか?」
「明日・・・は急すぎますから、明後日にでも向かっていただきます。」
― 明後日って、本当に急だな!
ケヴィン様や天界の方は、受け入れの準備をしていて忙しかったのかも。
それなら、昨日の塩対応も頷ける・・・けど、けどさ、それならそうだって言ってもらえないかしら。
「そんなに早く・・・。ミサトさんはいいかもしれないけど・・・。」
― はぁ?
・・・あー、ハイハイソウデスネ、もうそれでいいよ、面倒くさいな。
顔に出さないよう頑張っている私だが、そろそろ台風に発達しそうだ。
天気予報で見ていた台風って、こんな風に発達して、やがて暴風雨を巻き起こすのね。
そういえば、このセンターってお天気が一定だよなぁ・・・暑くもなく寒くもなく過ごしやすい。
雨降ってるのなんて見たことないけど、水不足にならないのかなぁ~。
なんてどうでもいいことを考えて、その場をやりすごす。
「ミサトさんだけではなく、私を含めセンターのスタッフも喜ばしい限りですよ。私の部下も張り切っています。さぁ、善は急げです。というわけで、聖女様は私が教会までお連れしますね。」
― さすがはケヴィン様。
含みを持たせた言い方を、なかったことにしやがった。
「わかりました。よろしくお願いします。それでは聖女様、また、明日もお待ちしてますね。」
「はい。今日はごちそうさまでした。また、明日もお邪魔します。それでは。」
聖女様は、ケヴィン様に伴われ、カフェを後にした。
嵐の去ったカフェには、私一人が残され、しーんと静まり返っている。
― ・・・結局、ケヴィン様に助けてもらった形になるんだろうか。
あああ!なんか納得いかない!!
いろいろ、とっても、納得いかない!!!
こういう時は、スイーツ祭りに限る。
私は、カフェを後にし、鼻息を荒くしながらケーキ店へと向かった。




