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エメラルドの聖女様を教会に送りがてら、昼食のためカフェに立ち寄り、オープンテラスへと案内する。
その静かな雰囲気を、いたく気に入ったようだった。
「タウンにはこういう場所もあるんですね、知らなかった。」
「聖女様は、面接が終わるとすぐに帰られてましたもんね。転移者の方の中には、面接に来たついでにお泊りされる方もいるんですよ。」
― ピンクの聖女様とか、どこぞの血気盛んな勇者様とかね!
「あっ、それでああいったお店が。」
それはきっと師匠のお店だな、と思ったがここはスルーしておく。
「聖女様も、次にセンターに来た時には、タウンで食事を楽しんでください。美味しいもの、いっぱいありますから。」
「そうですね。楽しまなきゃ損ですよね!あ、ここのオススメってなんですか?」
聖女様に聞かれた私は、パンケーキを推す。
フルーツとかジャムとか、チョコレートソースとか、オレンジソースとか、いろいろなトッピングが楽しめる。
組み合わせを考えるのも楽しいし、生地もフワフワで美味しいしで、私のイチ推しである。
二人でメニューを見ながら、ああだこうだと言いながら、パンケーキを注文した。
表情をくるくると変えながら食事を楽しむ聖女様は、とても可愛らしくて微笑ましい。
ここまでは、とても和やかな雰囲気である。
そう、ここまでは。
さて、食事も終わったところで、午後から夜にかけての予定を確認しなければならない。
「聖女様、午後はどうされます?」
「・・・どうしようかな。全然考えてなかった。図書室で本を借りて少し勉強しようかな。」
「じゃあ、この後図書室に行きましょうか。・・・その後、昨日のお店に行きます?」
「えっ・・・?」
「昨日、レイ君に案内されたんでしょう?どうでした?楽しめました?」
「ふふっ。初めての経験だったけど、楽しかったです。」
「じゃあ今日も行きます?行くなら、図書室にお迎えに来てもらいましょうか。」
「・・・・・・」
聖女様の返事が止まった。
「・・・ねぇ、ミサトさん。」
聖女様の声が、ワントーン低くなり、挑戦的なものになった。
その声色に、私も戦闘モードに切り替わる。
「はい、どうしました?」
「今夜、リュウ先生って空いてます?」
― それを私に聞くのか?
あれ・・・リュウ先生、ちゃんと伝えたって言ってたよね。
同じ指輪してたら・・・って・・・聖女様がいた国では、そういう慣習がない?
そういえば、私の指輪に興味を示さない。
ということは、それが結婚指輪だってわかってないってことだ。
「どうでしょう。最近は夜遅くまで仕事されているから、難しいと思いますよ。」
「ええ~、じゃあ、いつなら空いてるのかな~。」
― これは困ったなぁ・・・どう話を持っていったらいいんだ?
私が少しでも言い方を間違えたら、前の国の公爵令嬢と同じ立ち位置になってしまうのではないだろうか。
婚約者を取られて、感情のままに聖女様を傷つけてしまった公爵令嬢と。
「聖女様、ひとつよろしいですか?」
「なんですか?」
「聖女様は、リュウ先生の指導が終わったら、新しい国へと行かれますよね。その後も、今まで通り1か月に1回の面接に来ていただきます。リュウ先生は、転移者の方とはプライベートで会わない方針をお持ちのようですから、難しいと思いますよ。」
「なにそれ、そんな話聞いてないんだけど。」
― なにそれ、と言われましても、嘘じゃないよ?
以前、『患者とはそうならないように気を付けてる』って言ってたもの。
召喚されたての方には、対応がちょっと違うようだけど、面接に来た時点でもう患者さんだもの・・・多分!
てか、言葉遣いが変わってますって、聖女様!




