食堂にて
授業が終わるまで葛城教官は何も発することなく、時が過ぎていった。1、2限の授業を消化した俺とハヤテは食堂で食べていた。
「そういえば、昨日大丈夫だったか?」
「ああ、大したことない。模擬戦で少し気を失っただけだ」
「そうか、いやそれにしても初日から目立ちすぎだよ。訓練生のあいだでは、昨日のカイの模擬戦の話で持ちっきりだよ」
「そうなのか。ここでは、模擬戦とか日常茶飯事だろう?」
「いや、そうなんだけど。相手がA級の隊員ってなると話は違うんだ。なんて言ったって、A級隊員はシェルターに住む人たちのために最前線で長時間戦ってくれている人だから非番の日にわざわざ後輩の指導をしてくれる人は珍しい。まあ、佐川さんからしたら、カイと戦ったのはただの遊びだっただろうけどね。それより、昨日の試合誰かに撮影されていたみたいだよ。ほらこの掲示板見て」
俺がその掲示板を見てみると、さつき様を応援する会と書いてある。
「これは佐川さつき隊員を応援する隠れファンが作ったファンサイトみたいでね、ほらここに訓練生が佐川隊員と模擬戦しているっていう投稿があって」
「そうか、ファンの誰かに俺たちが模擬戦をしているのを見られていたんだな」
「うん。だけど、問題はそれだけじゃないんだ」
ハヤテが下のほうに画面をスクロールさせると俺と佐川隊員が模擬戦をしている動画が載せられていた。
「そうか動画まで取られていたのか、今日はやけに訓練生に見られていると感じていたんだ」
「いや、訓練生だけじゃないと思うよ。ほら見て、あそこで食べている正規隊員の2組。意図してやっている訳ではないのだろうけど、たまにこちらに視線を向けてくるよ」
「まあ、起こったことは仕方がない。放課後にでもこの投稿の削除依頼を出来ないか先生に相談しようと思う。あまり目立ちたくないしな」
「でも、もう手遅れだと思うよ。この噂はかなり広がってるみたいだし、昨日の今日でこの投稿が削除されたら余計怪しいよ。まあ、入隊試験の時に赤瀬家のご子息に勝った時点でカイの普通の訓練生生活を送るっていう目標はジエンドだよ」
「そうかもしれないけど、一応放課後に聞いてみるよ。そういえば、話は変わるんだがハヤテはどこか部活に入るのか?」
「うーん、どうだろう?正直、多くの隊員から声をかけられているんだけど、仕事が立て込んでいてね。もう少し時間が出来たら考えてみるよ」
「そういうカイはどうなの?」
「いや、俺もしばらくは部活はやめておく。とりあえず、早くこの生活に慣れたいからな。」
俺らは、しばらく世間話しながら授業が始まるまでの時間をつぶした。




