神童
「えっーと、ではまず僕のことを知らない方もこの中にはいらっしゃると思うので、手短にですが自己紹介させてください。僕の名前は黄場ハヤテといいます。生まれは神奈川県の横浜市です。得意とする魔法は雷魔法のサンダーバードです。最近はわけあって家の魔法具研究のお手伝いをしています。」
「サ、サンダーバードだと、あの魔法はつい最近発表されたばかりの新魔法じゃないか!?というか、黄瀬って何か聞いたことある名だな?」
「おい、馬鹿かお前!黄瀬っていえば、近年、魔法具のシステム国際連合魔法師会からその年に最も魔法師会に多大なる貢献、栄光をもたらした人に贈られるサール賞を受賞した魔法学者を大勢輩出している家系じゃねえか」
「俺たちの世代で他に上級魔法使えるのって赤瀬あずさぐらいだよな。」
「きゃー、ハヤテ君かっこいい―!こっち見てー」
ハヤテが自己紹介をした途端にこれだ。ハヤテも含む黄瀬一族も他の魔法師家系と同様先の大戦で名を上げた家系の一つだ。
しかし、黄瀬家は七聖権になるには致命的に足りていないものがあった。それは武力だ。休戦状態の今もなお、シェルターの外には魔物という脅威がいる。そんな状況下、国民にとって絶対的な武力を持つ魔法師たちの存在は安心感をもたらしてくれる。七聖権の家系はどこも戦闘能力に長ける魔法師が数多くいる。また魔法研究の分野においても優秀だ。
ただし、黄瀬家には戦闘能力に長ける魔法師が足りなかったというだけのことだ。魔法師は生まれながらにして体内にためておける魔力の量、使える魔法の属性、魔法の発動スピードなど魔法師としての能力が決まっているので、しょうがのないことだ。そこで黄瀬家は戦闘面では劣っている分、魔法、魔法具研究の分野に力を入れた。結果、黄瀬家は今や魔法研究、魔法具研究の第一線で活躍する家系へと成長した。その中心にいたのは、いま目の前にいる黄瀬ハヤテだ。彼が幼少期から工作とかちょっとした魔法実験を遊び半分でやっていた。しかし、それは年が上がるとともに、より高度な技術と知識をを伴うものへと変化していった。そして、中学に上がるころにはそれは遊びの範疇をでて、毎年のように多くの魔法研究や魔法具を発明をするようになっていた。そんな彼をいつも隣で俺は見てきた。黄瀬家の製造する魔法具の数々は国内、世界で使われている。
「皆さんもご存知だと思いますが、魔物は魔力を発しているために通常の動物よりはるかに危険なものと認識されています。しかし、魔物も魔力で強化されていなければ普通の動物と対処はあまり変わりません」
「この装置は魔物の発する魔力、魔法を我々人間の魔力で抑えています。皆さん、見てもらえれば分かるのですが檻の四隅には円形の魔石が設置されています。その魔石には捕獲されている魔物の発する魔法属性と相対する属性の魔法術式を刻印してあります。そして魔法師の方たちが定期的に魔力を魔石に流し込むことで中の魔物は魔力、魔法が使えないので逃げることも檻を壊すことも出来ないということです。ざっくりですが説明は以上です」
「黄瀬の説明で分かったと思うが、この装置のおかげで魔物はそこらにいる普通の動物と何ら変わらない。だけどな、今は俺がいるから安心してもいいんだが、一つ肝に銘じておいて欲しい。魔法、魔法具は決して万能ではない。加えるならば、魔物でさえ人間が兵器として生み出したにも関わらずまだ未知のことも多い。だから例え魔物を観察するだけの授業でも警戒心は怠らないように。じゃあ、残りの時間は魔物を観察して授業は終わりとする。」
葛城はそう言い終えると、教室の後ろの方へと移動して教員用の携帯端末を操作しはじめた。




