目覚め
誰も知らない場所で。
長い長い眠りが終わった。
静寂。
光。
そして。
ゆっくりと瞼が開く。
最初はぼんやりとしていた。
夢と現実の境界が曖昧だった。
どれほど眠っていたのだろう。
分からない。
ただ。
とても長かった気がした。
だから。
確かめた。
眠っている間に何が起きたのか。
自分が知らない時間に。
何が積み重なったのか。
そして。
知ってしまった。
あまりにも多くのことを。
見たくなかったものを。
知りたくなかったものを。
信じていたものが壊れる音を。
託したものが踏みにじられる光景を。
願いが消えていく瞬間を。
優しさが報われない結末を。
何度も。
何度も。
何度も。
何度も。
見てしまった。
震える。
指先が。
肩が。
心が。
理解したくなかった。
けれど理解してしまった。
否定したかった。
けれど否定できなかった。
長い沈黙。
やがて。
一粒。
涙が落ちた。
ぽたり。
静かな音だった。
そして。
もう一粒。
また一粒。
止まらなかった。
泣いていることにも気付かないまま。
ただ。
そこにいた。
しばらくして。
小さな笑い声が漏れる。
かすかな声。
乾いた声。
楽しそうではない。
嬉しくもない。
なのに。
笑いだけが止まらない。
涙を流しながら。
ずっと。
ずっと。
笑い続ける。
そして。
その日。
世界のどこかで。
何かが壊れた。
本当に大切な何かが。
静かに。
音もなく。
壊れてしまった。




