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癒しの木  作者:
ふつうを求めた、オレの友達
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「お前には何が見えているんだ?」


 オレの何気ない問いに遥稀は目を大きく見開いていた。

 そして、オレの意図していた答えとはズレたことを言った。


「え?要って、お化けとか見えるの?」

「いや、そうじゃなくて、」


 素で言っているのかはぐらかしているのかわからない。触れていいのか触れない方が良いのかも。だけど、オレはこいつが見ている世界に興味がある。

 いったい、どう言ったら伝わるのだろう?

 人と違うものを見ている気がする?いや、直球過ぎてたぶん、

 見ることをやめたり人前では控える可能性がある。

 変なものを見てるんじゃないか?それも多分同じだ。

 自らの異質さを理解した途端、当たり障りのない学校にいる時みたいなつまらない顔になる。


 こいつは、遥稀は自覚しないまま見ているに違いない。


「頭抱えて大丈夫?飴食べる?」

「おう、サンキュって、何これ?」

「ミルクキャンディ。甘くて温かくて優しくてポカポカする。美味しいよ」

「これは初めて食べる気がする」


 遥稀から受け取ったミルクキャンディは見たことのないパッケージだった。いや、もしかしたら見ていたけど記憶に残らないほど興味がなかったのかもしれない。

 実際に口に含むと優しい甘さが口の中に溶けていった。温かい、というのはよくわからないけどほっとするような甘さ。少しずつ時間をかけて味わいたい気持ちが湧いてくる。


「美味いな。飴、好きなのか?」

「うん。結構好き。あんまり人には言わないけど」

「なんで?」

「…前に、好きなお菓子を聞かれて飴って答えたら冗談だろって、言われた。普通は、ケーキとか、プリンとかだって。あ、もちろん、ケーキとか、プリンとかも好き」

「確かに、飴って言う人は珍しいかもしれないな」


 確かに、好きなお菓子に飴をあげる発想も遥稀の言葉を聞くまでオレも持ち合わせていなかった。嫌いなわけではないが、取り立てて好きという気持ちも湧かない。ケーキやクッキーと並べられて置かれていたらきっと目立たないし最後まで残ることだろう。


 だけど、遥稀に渡されたミルクキャンディは普通に美味い。


 日常に溶けていくように美味しさで、特別感は全くとない。だけど、ふと口にしたくなる時がある。

 そんな特別じゃない特別さを知っているから遥稀は飴が好きなのかもしれない。…いや、普通に美味くて持ち歩きやすいからか。

 今もその甘さを心から楽しむようにしつつまた空を見上げている。

 今度は指さした雲が恐竜へと姿を変えた。トリケラトプスにティラノサウルス、か。


「プテラノドンとかはいねーの?空飛ぶじゃん」

「プテラノドンは正確には恐竜じゃないよ。あ、でも、今日はいないみたい。たぶん、気分じゃないから出てきてくれない」

「なんだ、それ」


 至極まじめな顔で言うものだからオレも思わず恐竜を探すために空を睨んだ。でも、どう探してみても遥稀が指さした方向にしかいない。

 どれだけ目を凝らしてもオレには見つけることが出来なかった。


 遥稀は自身でも言語化できない何かが見えている。オレの中で勝手にそう結論づけ、少し伸びをして立ち上がった。これ以上遅くなるとさすがに親に叱られる。


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