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癒しの木  作者:
ふつうを求めた、オレの友達
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2

 遥稀と関わるようになってから少しわかったことがある。

 それは、こいつがあまりにも異質でそれを隠しながら生きているということ。それも、擬態だなんて可愛いレベルじゃない。ゆっくりと、しかし確実に自分自身の首を絞めて息を止めている。そんな風に見える。

 稽古の時はすごい空気を作り出せるくせに、それ以外だと手を抜いている、とは少し違うけど、遠慮しているような、皆が求める姿を必死に守っている、そんな感じがする。そのことが少しだけ面白くない。


「要、どうかした?」

「いや、何でも。明日で春休みが終わるなって」

「宿題のない休みが終わる…」


 道場からの帰り道、のんびりと歩きながらオレ達は話していた。

 時折、空を眺めながらふわふわと言葉を返していた遥稀はオレの何気ない一言に肩を落とした。


「どうした?」

「学年が上がるってことは、クラス替えがある」

「お、おう?」

「つまり、新しい友達を作り、一からクラスメイトの顔や名前を覚える作業が始まるということ」


 案外何でももないことに絶望を感じていたらしい。これからも毎年行われることに今さら何を言ってるんだ。この変人は。


「いや、それくらい簡単だろ」

「はぁ…これだからコミュ強は…」

「それはディスってるのか褒めてるのかどっちだ?」


 オレが呆れながらそう言うと遥稀は目を逸らしながら「両方」と答えた。

 悩むことはないと思う。気が合わないやつは合わないなりにそれなりの関係を築けばいいし、仲良くなりたいやつがいるなら積極的に関わればいい。


「それよりも、オレに対してそこまで言えるなら友達作りくらい簡単にできるだろ。いけるって」

「いけたら悩んでもないし、苦労もしてない」


 遥稀は拗ねたように言った。ガードは固いけど、それなりに仲良くなれば明るくて面白いやつなのに、何だか意外だ。案外、上手くやってそうなイメージがある。


「でも、これまではどうにかなってたんだろ?」

「まあ…一応は…比較的、良い人ばっかりだったし」

「なら、いけんじゃね?」

「そーかな?」


 遥稀はまた空を見上げて呟いた。

 人見知りはするけど、人間嫌いには見えないし、人を惹きつける不思議さは案外クラスの中心でもいけそうな気がする。いや、性格的に本人はそれを望んでいないか。

 確実に中心人物として君臨できそうなのにそれを望んでいない、それどころかその資質さえ隠そうとする理由が俺にはまだイマイチ理解できなかった。



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