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癒しの木  作者:
せめてあなたに優しい風を
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 ポップアップショップにて、買い物をした後、人混みにあてられ、遥稀は少しぐったりしていた。


「遥稀、大丈夫か?」

「うん...。大丈夫」


 1人じゃなかなか行けないって言ってたのはこういうことか。人波に流されそうになるし、周りを囲まれると自分の位置が分からなくなる。そして、人からの圧を感じやすい。

 人混みが苦手になるよな...これは。


「昔から、くじ運とかあんまりよくない方だから、気にしてない...ガチャガチャでもよくあることだし、ガチャも爆死率高めだから...。」

「そっか...。」

 

 あ、これ人酔いだけじゃなくて推しが来なかったことも原因で落ち込んでるな。

 それにしてもきつそうだな。


「ゆっくりでいいからな。人混みも大変だったし」

「あ、ごめん....」

「良いって。あんなに楽しそうな遥稀初めて見たし。目をキラキラさせて、すっごくはしゃいでさ」


 普段は見られない遥稀を見ることができて正直楽しかった。

 教室だと、からかわれるのが嫌なのか大人しめに言葉を選びながらオススメを紹介したり、常に気を張っているからか明るい表情をあまり見ることができない。

 今日の遥稀はフォトスポットの前ではしゃいだり、ポスターを見て目を輝かせたり、たくさん笑っていて俺も嬉しかった。


「あ、う、多分、まいには、見せられない、と思う」


 遥稀はうつむきながら呟いた。


「俺だけ?」

「かな?だって、まいには、カッコ悪いとこ見られたくないし...。」

「俺にはいいのかよ...。」

「え、うん、だって、蒼は引かないでいてくれるし」

「まあ、そりゃあな」


 これは、弱みや気を張っていないところを見せられるほど信頼されていると取ってもいいのだろうか。いや、俺としては嬉しいけどな?

 せめて、俺といる時くらいは肩の力を抜いて好きなものは好き、楽しい時は楽しいって素直に笑ってほしい。


「まあ、無理はするなよ。次の目的はなんだ?」

「次は蒼のクリスマスプレゼントを買いに行く。そういうわけで、どこに行きたい?」


 こういう素直さもいいとは思うけど、なんか釈然としない。


「遥稀ってサプライズという概念を知っているか聞いてもいいか?」

「知ってるよ。まいにはサプライズで渡す予定だから」

「俺もサプライズが良かったな、なんて...」

「でも、そうしたら蒼の好みに合わないものだったら残念だし。それなら、本人の好みを知って一緒に選んだ方が楽しいかなって」

「なるほど?つまり、好みが把握できたらまいみたいにサプライズしてもらえると?」

「たぶん...?」

「そこははっきり、うんと言ってくれ」


 俺はため息を吐いた。

 まあ、そのおかげでこうして一緒に出掛けられているし良しとするか。

 そんな中、遥稀はドヤ顔で話し始めた。


「でも、さっき少しだけわかったことがある。蒼は実は可愛いものが好き」

「は?」


 思わず間抜けな声が出てしまった。


「さっき買ったハンドクリーム大切そうにしてたから」

「いや、パッケージというよりも、」


 遥稀のオススメで一緒に選んでくれたから大切にしていただけで、正直パッケージはきちんと見ていなかった。


「ゆめかわ系じゃなければ持ちやすいと思うんだけど、どう?」

「ど、どうって...まあ、うん?」

「それとも、さりげない感じが良いのかな?おしゃれ可愛いみたいな」

「あーっと、あ、俺、栞が欲しいかも」


 遥稀が悩んでいる隙にとっさに言う。いや、うそはついていない。


「栞?」

「そうそう。遥稀のおかげでいろんな本を読むようになったから、栞が欲しいかな」

「それじゃあ、文房具屋さんか本屋さん?えっと、確か、」

「3階だな。気分が大丈夫なら行ってみるか」

「うん」


 顔色も良くなっているし無理している感じはないな。

 遥稀がまた人酔いを起こさないように人が少ない方へ誘導しながら目的地を目指す。何も疑問を持たずについてきてるけど危機管理能力がいささか心配になるな。

 知らない人や危ない人にほいほいとついて行ったりしてないよな?


「蒼は、好きな動物とかいるの?」

「好きな動物か...。猫とか犬は可愛いとは思うけど...そこまで好きかって言われると微妙だな...遥稀は?」

「基本何でも好き。猫も犬も可愛いし、鳥も好き。爬虫類もいいよね。哺乳類も好きなのが多い」

「それじゃあ、遥稀が俺っぽいなって思う動物の栞選んでくれよ」

「それは、結構な難題で...」

「軽い感じでいいから」


 すると、遥稀は俺のことをじっと見つめて固まってしまった。きっと考え込んでいるんだろうけど、なんか恥ずかしいな。


 というか、正面にいるから自分の顔も観察されていることに気付いているのだろうか?絶対に気づいていないよな。本当にこういうとこが無防備で心配になる。

 そして、いい加減恥ずかしくなってきた。目を逸らしたいのに逸らせないし。


「あ、いや、本当に軽い感じで考えてもらっていいからな?というか、俺の顔見過ぎな」

「あ、ごめん。蒼のイメージについて考えてた」

「それにしても見過ぎじゃね?」

「周囲が抱いている印象と私が抱いている印象には差があるみたいで...難しい」

「そんなに真剣に悩まなくても...」


 遥稀が俺に対してどんな印象を抱いているのが非常に気になるところではあるが。

 それからいくつかを見て白猫と黒猫の栞に決まった。遥稀はしきりにこれでいいのかと確認してきたが、俺はこれが良いと返した。

 遥稀が一目ぼれをした様に引き寄せられたみたいだし、俺もそのデザインが気に入った。


 それから、せっかくのおねだりとして、プレゼントの交換はクリスマスが近くなってから渡して欲しいとお願いをした。俺も遥稀に用意したいし、何より、まいだけクリスマス気分を味わって受け取るというのがなんとなく面白くない。

 遥稀も笑顔で了承してくれたし、良いだろう。後は、遥稀の好みを知るためにお店を回るだけだな。

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