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癒しの木  作者:
枝は折られた
35/120

20

 本当に欲しいものを手に入れるのはとても難しいことで多くの人がそのことに頭を悩ませていると思う。

 思いが強ければ強いほど、手に入れられなかった時の悲しみややるせなさはとても大きくなる。

 それが、人や物であっても。




「遥稀、大丈夫か?」

「うん...。大丈夫」


 ランダムグッズ、推しが来なかった...。いや、でも、最推しが来てくれなかっただけで、好きなキャラは来てくれたから実質勝ちと言っても...。


「昔から、くじ運とかあんまりよくない方だから、気にしてない...ガチャガチャもよくあることだし、ガチャも爆死率高めだから...。」

「そっか...。」


 それに、人混みに少しあてられて気持ち悪い...。うう...。

 ダメだ。立ち直らないと。せっかく、蒼が付き合ってくれたのに。というか、今度は蒼のクリスマスプレゼントを選ばないとなのに。


「ゆっくりでいいからな。人混み大変だったし」

「あ、ごめん...」

「良いって。あんなに楽しそうな遥稀初めて見たし。目をキラキラさせて、すっごくはしゃいでさ、」

「あ、う、多分、まいにも、見せられないと、思う」

「俺だけ?」

「かな?だって、まいには、カッコ悪いとこ見られたくないし...」

「俺にはいいのかよ...。」

「え、うん、だって、蒼は引かないでいてくれるし」

「まあ、そりゃあな」


 どんなに美少女キャラの魅力を語ろうとも、結構グロめな作品を勧めようとも蒼は引かない。真正面から受け止めてくれる。それがとても心地いい。

 きっと、ダメダメな私を見たとしてもいつも通り接してくれるのだろうと、普段はしない期待や信頼を持ってしまうほどに、とてもいい人だと思う。それに、カッコ悪いところをすでに見られているし今更だとも思う。


「まあ、無理はするなよ。次の目的はなんだ?」

「次は、蒼のクリスマスプレゼントを買いに行く。というわけで、どこに行きたい?」

「遥稀ってサプライズという概念を知っているのか聞いてもいいか?」

「知ってるよ。まいにはサプライズで渡す予定だから」

「俺もサプライズが良かったな、なんて...」

「でも、そうしたら蒼の好みに合わないものだったら残念だし。それなら、本人の好みを知って一緒に選んだ方が楽しいかなって」

「なるほど?つまり、好みが把握できたらまいみたいにサプライズしてもらえると?」

「たぶん...?」

「そこははっきり、うんと言ってくれ」


 ため息を吐いて蒼は笑った。


「でも、さっき少しだけわかったことがある。蒼は実は可愛いものも好き」

「は?」

「さっき買ったハンドクリーム大切そうにしてたから」

「いや、パッケージというよりも、」

「ゆめかわ系じゃなければ持ちやすいと思うんだけど、どう?」

「いや、どうって...まあ、うん?」

「それとも、さりげない感じの方が良いのかな?おしゃれ可愛いみたいな」

「あーっと、あ、俺、栞が欲しいかも」

「栞?」

「そうそう。遥稀のおかげでいろんな本を読むようになったから、栞が欲しいかな」

「それじゃあ、文房具屋さんか本屋さん?えっと、確か、」

「3階だな。気分が大丈夫なら行ってみるか」

「うん」


 話している内に大分落ち着いた。行ってみよう。

 それにしても、栞か...。どんなのが良いんだろう。動物型の物もお魚を模したもの、それに、ステンドグラス風のもの、いろんなのがある。


「蒼は、好きな動物とかいるの?」

「好きな動物か...。猫とか犬は可愛いとは思うけど...そこまで好きかって言われると微妙だな...遥稀は?」

「基本何でも好き。猫も犬も可愛いし、鳥も好き。爬虫類もいいよね。哺乳類も好きなの多い」

「それじゃあ、遥稀が俺っぽいって思う動物の栞選んでくれよ」

「それは、結構な難題で...」

「軽い感じでいいから」


 そんな風に言われても、やっぱり難しい。

 まずは、蒼のイメージを考えよう...。蒼のイメージは...。まず、優しい。それからいろんな女子に声を掛けられたり告白されるくらいにはカッコいい。まあ、一般的にはイケメンに分類されるんだろうな。よくわからないけど。

 案外気まぐれなところが良いとかSっ気があっていいとか言われてるけどそれもよくわかない。どちらかというと誠実で真面目というかそんな感じがする...。

 真面目で誠実な動物ってなんだ...?犬か...?


「あ、いや、本当に軽い感じで考えてもらっていいからな?というか、俺の顔見過ぎな」

「あ、ごめん。蒼のイメージについて考えてた」

「それにしても見過ぎじゃね?「

「周囲が抱いている印象と私が抱いている印象には違いがあるみたいで...難しい」

「そんなに真剣に悩まなくても...」


 一応は贈り物なわけだし、きちんと考えて贈りたい気持ちはあるわけで。


「あ、これ可愛い」

「猫か...白猫と黒猫のセット?」

「うん。背景がステンドグラスになってる」

「良いじゃん。これにしよっかな」

「え?良いの?」


 本当にいいのか何度か確認するとそれでいいと言っている。さすがにこれだけでは寂しいのでこっそりともう1つ別物も買ったけど。

 渡すのはまた後日となった。こちらとしてもクリスマスカードも用意したいからいいけど。サプライズも欲しいって言ってたし、今から驚く顔が楽しみだ。


「そんじゃ、今度は俺の行きたいとこに付き合ってもらおうかな」

「うん、えっと、洋服みたいんだっけ?」

「そ。行こうぜ」


 服選びはあまり自信がないので意見を求められることがないよう、密かに祈りつつ、蒼の後ろに続いた。

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