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癒しの木  作者:
ふつうを求めた、オレの友達
105/120

15

「学力テストの結果は廊下に貼ってあるので各自確認をしておいてください。それから、委員会の決定も後ほど後ろの黒板に貼っておきます」


 希望調査を提出し、完全に油断していた学力テストも終わり結果発表の時が来た。それなりに解けたとは思うが、果たして結果はどうなることやら。

 直接成績に響くわけではないし、別に気にしなくてもいいか。


「学力テストね…」

「なんだ、遥稀自信なさげじゃん」

「あるわけないじゃん。苦手なものは苦手だもん。数学」

「ああ…苦手だったよな。でも、社会とか国語は得意だろ?」

「そこは心配してないけど、どうやったらできるようになるんだろう…数学」

「オレからしてみれば国語とか社会の勉強法が聞きたいけどな?」


 どうも興味がわかないというか苦手意識がある。遥稀の勉強法を知ればそれなりにできるようになりそうだが、どうしたもんか。


「ね?どうやって勉強するんだろう?とりあえず結果を見に行こう」

「あ、おい、」


 適当にはぐらかされてしまった。

 仕方がないので小さな背中を追って廊下へと出る。先生たちが順位と名前の書かれた大きな紙を貼り出している最中で周囲は賑わっていた。


「あ、美波」

「遥稀じゃん。遥稀も見に来たの?」

「うん、一応。そっちの子は?」

「同じクラスのなおだよ。なお、この子が遥稀」

「は、初めまして、柊奈穂です。よろしくね?」

「う、うん、よろしく。えっと、癒木遥稀」

「もう、2人とも緊張しすぎだよ。いつも通り、私と話す時みたいに話しなよ」


 美波は笑いながら遥稀となおと呼ばれた女子の背中を叩いた。雰囲気的に遥稀と波長が合いそうな気がする。派手ではないが、落ち着いていて可憐な印象、顔立ち的には遥稀の推しの好みに近い気がする。


「学力テスト、私微妙だったんだよね…遥稀はどうだった?」

「数学以外はいけた。数学だけは無理」

「こら、苦手からすぐに逃げようとするんじゃありません」

「あで、」


 美波と遥稀の親子のような会話になおは吹き出した。確かに、見ていて飽きないしたまに面白い動きをするが、そこまで笑うことか?


「ふふ、2人って本当に仲良くて面白いんだね」

「つい、遥稀って面倒見たくなるんだよね。ほっとけないって言うか、小動物みたいだし」

「可愛がってくれてもいいよ?」

「調子に乗らないの。ふっ、でも、なおの緊張は解れたみたいだね」

「うん、だって、噂で聞いてた子と印象が違うんだもん」

「噂?」

「あーもう貼り出されてるよ」


 遥稀が噂に興味を持った瞬間に美波が話題を逸らした。ちょうど紙の端まで貼り終えたみたいだ。人に四方を囲まれた状態で遥稀はどうにか見ようと背伸びをしている。


「み、見え、ない…」

「バランス崩すよ。ほら、一旦休憩」

「人混み凄くて見えづらいよね…。私も名前見つけられないや」


 遥稀ほどではないが、なおも人混みの中では見ることが難しいらしい。

 その様子を観察していると遥稀と目が合った。口角が上がり、なにか思いついたような表情をしている。嫌な予感がしてその場を離れようとするが、なかなか身動きが取れない。


「要、要、」

「げ、なんだよ?」

「げ、って、ひどい」

「だって、お前めんどくさいこと考えてるだろ?」

「そんなことない。とりあえず、私の順位と名前探してきて」

「それがめんどくさいことだって言ってるんだよ」


 今貼り出されているのは上位100名。国・社・数の3科目それぞれと総合順位。探すの何てめんどくさすぎる。


「だって、この人混みじゃ私絶対気分が悪くなる。絶対に」

「断言するな。そして情けないことを自信満々に言うな、阿保」


 くそ、大人しく教室にいとけばよかった。


「いいじゃん。要にしか頼めない」

「美波に頼めばいいだろ」

「美波に頼むのは申し訳ないなと思って」

「オレにも申し訳ないと思う気持ちはないのか?」

「要に…?要になら遠慮せずに頼める」

「このやろ、」

「要、お願い。頼む」


 結局、オレは遥稀の頼みを聞くことになった。強引に押し切られたわけではなく、精神年齢が遥稀よりも上のため折れてあげたに過ぎない。そう、あまりにも真剣に頼まれたら~仕方なく承諾しただけだ。


 キレた時の様子を思い出したわけではない。

 そもそも、遥稀がオレに対して本気でくれることは皆無と考えていいわけだし、何より、


「要くん、言い訳は良いから早く見に行きなよ」

「言い訳なんてしてねーし」

「要くんって、遥稀に対してかなり甘いよね」


 美波はオレの肩を軽く叩いてから自分の順位を探しに行ってしまった。

 とりあえず、人混みが引きつつある各教科が貼りだされているところにオレは目を向ける。国語と社会のところでオレの名前を見つけることは出来なかったが、遥稀の名前は確認できた。


「うわ、国語3位で社会が8位か…」

「遥稀ってすごいよね」

「美波いたのかよ…。数学のとこには載ってないみたいだな。あ、オレは、20位か…」

「20位で落ち込まないでよ。私はどこにも載ってないんだから。それにしても、数学はなおが6位か…。はぁ、友達が勉強でき過ぎて少しへこむかも」


 肩を落としながら美波は総合順位が張り出されている場所へ行ってしまった。

 総合順位の確認をしたい気持ちはあるが未だ混みあっている。ひとまず、国語と社会の順位だけを伝えるべくオレは元の場所へと戻った。

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