表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/41

第31話 新たな名前

誤字,脱字報告受け付けております。

見つけた際は遠慮なく報告して頂けると幸いです。

感想,レビュー等大歓迎です。

ブックマークも是非お願い致します。

 

 話をまとめると,アンリエットさんは最近挙動がおかしい義理の兄を心配していて,何故か距離が近い僕達が何か知っているのではないかと思っているわけだ。

 ただ困ったことに,あまり気付きたくなかった結論に辿り着いた以外は特に何も知らない。

「……オレ達にはなんとも言えませんが……」

 ヒロ君が困ったように眉を下げる。

 僕達も同じように告げると,アンリエットさんも表情が落ち込んでいった。

「そうですよね。お時間を使わせてしまって申し訳ありません」

「気にしないでください。私達にもお力になれることがあれば……」

 慌てたようにリベがそう言って首を振ると,アンリエットさんは僅かに微笑を浮かべる。

「皆様はサンクチュアリーと戦うのでしょう? この大陸の平和のため,優先されるべきはそちらです」

 私も心から応援しています と続けて,彼女は部屋を出て行った。


「さて。フレイム,どう思った?」

 一人一部屋だと不便なので,その場に留まって僕達は会話を再開する。

「……そうだね。正直,厄介事の気配がした」

「だよね」

 僕が包み隠さずに述べると,リリーが頷いた。

 彼女は勘が良いので,アンリエットさんに呼び出された時点で表情が強張っていた気がする。

「……やっぱサンクチュアリーかなぁ」

 僕達の中では厄介事の代名詞である,サンクチュアリーに関してだろうか。

 リリーは何となく呟いただけだろうが,間違いではないかもしれない。

(……ここがアニメの世界だと仮定すれば,一個だけありえそうな展開が思い浮かぶけど)

 普通に考えればアニメ的すぎてありえないような展開だ。

 杞憂に終わることを願って,僕は口をつぐむことにする。



 翌日。

 僕達は皇帝に呼び出された。

 初めて謁見した時と同じ広間に通され,用意されていた椅子に座る。

 椅子があるなんて珍しいと思いつつ,僕達は皇帝の言葉を待った。

「……まず始めに,其方等を正式に対サンクチュアリー冒険者として認めようと思う」

 ヒロ君達の表情に歓喜が浮かぶ。

(……まぁ,あそこまでやったんだし,認められなかったらどうしようとは思ってたけど)

 アスセーラさんとの戦いの後,魔力切れで大変だったので,報われなければどうしようと心配はしていた。

 それは何となく察していたらしいアスセーラさんが一瞬此方に視線を向けてから,肯定の言葉を引き継ぐ。

「それで君達のことを公認として記したいと思うのですが……一つ把握していないことがありまして」

「……?」

 心当たりがなくて首を傾げていると,アスセーラさんが小さく微笑んだ。


「君達のパーティー名は何ですか?」

「…………あ」


 言われてみれば,と言いたげな表情で,僕達は顔を見合わせる。

「そういえば……決めてないね」

「別に需要がなかったからね」

 一言断ってから,輪になって話し始めた。

「なんだろー? スペシャル桃色音楽姉妹?」

「それだけは嫌かなぁ……」

 リリーの提案をばっさり切り捨てつつ,僕も真面目に考えることにする。

(……作中でも,主人公達のパーティー名って出てこないんだよな。今思うと,あえて隠蔽されてた気がするけど)

 僕がそんな事を考えていると,ふとリベと視線があった。

 これは確実に「よろしく!」と言われている。

 どうせならアニメの方から予想してみようと考え,僕は記憶の海を探った。

(……そういえば,タイトルは『炎と空の冒険者』だったっけ。炎はわかるけど,空ってなんだ……? 空を飛ぶ……とかかな? ん? 炎と空を飛ぶ……?)

 何か引っかかる。

 どこかで聞いたような字面だ。


「……フェニックス?」

 気付けば,口からそんな単語が漏れる。

 それと同時に,かなりスッキリした気分になった。

(……確かオープニングの最初に炎を纏った鳥……多分フェニックスが飛んで行くんだよね。絶対伏線だと思ってたんだけど,結局僕が見た限りでは出てなかったなぁ。ずっと気になってたんだけど__)

 ふと視線を上げると,周囲の人々の反応が二つに割れていることに気付く。

 アスセーラさんや皇族の皆さん,ついでにヒロ君は驚いたような表情だが,アンリエットさんやリベ達は困惑を浮かべていた。

「……えーと,フェニックスのことを知っているのでしょうか?」

 とりあえずというように,アスセーラさんにそう尋ねられる。

 知っています,と答えようとして,唐突に理解した。

(……言ったら駄目だった系だね,これは)

 反応的にフェニックスは存在はしているみたいだが,あまり口に出してはいけない類かもしれない。

「一応……母に聞きました」

 そこで僕は,必殺「母エミリーから聞いた」を使う。

 謎すぎる人だが,こういう時は非常に役に立つのだ。

 案の定,驚いていた皆さんの表情が納得に変わる。

「なるほど。……ご存じ無い方のために話しておきますね。フェニックスとは,神の使いと呼ばれる霊獣であり,炎を司る鳥の姿をしています。ただ数年前に狂ったように暴れ,とある大国を燃やし尽くしてしまったんですね。それで私が討伐し,現在は封印されています。一応国家機密ですよ〜」

「へー……。何かフレフレみたいだね」

「待って僕封印されるの?」

 リリーの感想に思わずツッコむと,彼女は 違うの? と言いたげに首を傾げた。


 そのやりとりを苦笑しながら眺め,アスセーラさんは静かに続ける。

「でも,確かに君達のパーティー名には良いんじゃないですか? 正しく不死鳥って感じですし」

「不死鳥……? 死なない鳥,ですか?」

 話を聞いていた皇妃が困惑の声を上げた。

 アスセーラさんは,しまった と言いたげに口元を抑えてから,誤魔化すように笑う。

「いえ,私が生まれた辺りではそう呼ばれておりまして……。神の身元で永遠に燃え続けるという意味です」

(……どこの生まれなのかなぁ)

 フェニックスのことを不死鳥と表すのに,()()違和感がない。

 そういうのは詮索するのもあれなので,とりあえず皇族達の反応を伺うことにした。


 最高権力者たる皇帝は,少し考えるように目を伏せた後,軽く頷く。

「良いだろう。フェニックスの脅威を知る者も対して居ない。問題はないだろう」

「もしそれ関係で何か言われれば,不死鳥ってとこを強調してみてください!」

 アスセーラさんが笑みを浮かべてそう付け加えた。

 許可も無しに皇帝の言葉に割り込むのはどうかと思わなくもないが,彼女はそれだけの権力を持っているのだろう。

 純粋に皇帝が心の広い人物なだけかも知れないが。


「……それでは改めて,皆さんのパーティー名は『フェニックス』で宜しいですか?」

 何かに記録を残しているらしいアンリエットさんの問いに,僕達は顔を見合わせてから頷く。


 こうして僕達の名は,不死鳥である炎の鳥「フェニックス」になった。



最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:そろそろ出そうと思ってたんですよね,フェニックス。

   何処かで入れようとは思っていたのですが,真逆パーティー名になるとは……。

追記:タイトルをミスっていました。本当にすみません。

   (5/26 6:03 編集済み)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ