十一話 遠矢 良い車を見付ける。
やべぇ~、あ~びびった。
まさかあんなので爆撃しに来るとは思わなかった。
多分あれはB52だろうな。
まだ在日米軍と連携出来ているんかと少し安心する。
でも核でなくて良かった。
だが…何故あそこをあれほどまで爆撃して破壊したのか?
確か伯父が言っていたな。
軍隊の行動には何かしらの理由があると。
駐屯地に集まったゾンビを始末するだけでは過剰すぎる。
どんな理由なのか?伯父に会ったら聞いてみたいな。
車に水滴が当たり出した。
やっぱり降り出したか。
これでゾンビ共の行動が変わらない事を祈りたい。
それよりも名神高速道路が寸断されたのが痛いな…
帰りはどうしよう…
大山崎JCTが無事なら京滋バイパス経由で安全なんだが。
しかし川田さんになんて言えばいいのか…
実家周辺がまとめて吹き飛びましたなんて言いたくねぇ!
俺が悪い訳じゃないが気が重いな。
名神高速を東に走り滋賀の大津SAに入る。
先ずは上がりの方で駐車場内を適当に走らしゾンビの数を把握する。
予想以上に多いな…
観光バスが五台停まっているので、そのバスに居た数だけでも脅威だ。
だが雨が降っているせいか、殆どが建物に入っていて入れないゾンビは屋根の下に居る。
?
濡れるのを嫌がっているのか?
琵琶湖が見える位置に車を停め素早く周りを見回す。
そこそこ雨足が強くなってきて近くには歩いていないな。
少し考えて濡れるのも構わず外に出る。
何か思いついたら早目に確認しとけ。
伯父の忠告が頭に流れ、『はいはい。判っていますよ。』と頭の中の伯父に返事をし、溜息吐きつつ車から出て周辺を見回す。
数メートル先の、屋根がある二輪車専用の駐車場に集っているゾンビに向かって手を叩きこちらを認識させる。
十体以上が一斉にヨタヨタ近付いてくるが、半分ぐらいが直ぐに周辺に散らばりまた屋根のあるところに戻る。
俺は少しづつ追って来るゾンビを誘導しつつ車に乗り込み鍵をして立て籠もりながら観察する。
結局、車に取り付いたのは三体で、身動きと音を出さずに観察していたら直ぐにヨタヨタと離れて行った。
俺は片手で口を抑え、口元が歪むのを抑える。
これは使える。
だが何か落とし穴がないか?
慎重に検証する必要がある。
取り敢えず、ここまで来た理由の一つ、海島さんの家に向かうとするか。
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大津SAの下りから大津ICを通り大津IC口を右折して300メートル程進み交差点でまた右折して鶴の里と云う住宅地に入る。
そこの奥まった一角に海島さんの家があった。
………………でかくね?
海島さんの態度から良い所のお嬢さんってイメージがあったけど、お嬢さんってよりお嬢様じゃないのかな?
玄関先に車を停め、海島さんに預かっていた鍵を使い家の中に入る。
入ってから鍵を閉め、靴は脱がず土足で上がる。
最初にLDKの場所を探しつつ進む。
玄関から突き当りの右手にリビングダイニングがあった。
警戒しつつリビング内を見回し、テーブルの上に張り紙を見つける。
祖父母両親共に無事。大津駐屯地に避難している。
加代に伝わる事を願いこの言付けを残す。
このメッセージの紙を丁寧に折りたたみ、側に置いていたアクセサリーと一緒にリュックサックのポケットに厳重に仕舞い、海島さんの無事を伝えるメッセージを書き残す。
帰ろうと振り向きかけ冷蔵庫が視界に入り、ついでに中を覗き持ち歩けそうな食べ物も失敬する。
さてこっち方面の用事は終わった。後はメイの家だが芦屋だから俺の里帰りの途中に寄ると言って出て来ている。
後は車か…
戻る道なりに自動車販売店やレンタカー系の店を見回るしかないな。
@@@@@
大津ICから名神高速道路に戻り京都南ICで下り京阪国道を南に走る。
数か所の自動車販売所を見て回るがこれと云った車が見つからない。
正確には何台かは見つけたが、数台ほど移動させないと出せない位置にあったりしたので泣く泣く諦めた。
そろそろ燃料も乏しくなってきたので、我慢して適当な車に乗り換えるかと考え始めていると赤池の交差点まで来た。
ん~ちょっと桂川まで見に行くかな。右折して府道202号線に入って走る。
少し走っていると右側にキャンピングカー販売店があった。
俺は狂喜して店前に車を停め、販売店に乗り込む。
店内に入るのに玄関を音がしない様に慎重に破壊して店内中を探索し、鍵束を見つけ外に出て良さげな車を見繕う。
俺の目的は伯父が持っている様な4トン車クラス。裏の建屋の影にあった車両に目を付ける。
合う鍵を見付け車内に入り装備を見てから鍵を回し電源を入れる。
勿論、セルを回すまで鍵を回さない。
燃料ゲージを見るとほぼ満タンだった。
俺は鍵を戻し、元の車に乗り込み販売店の出入口の鎖を車で突っ込み引きちぎる。
車が壊れかなりの音が響くが気にせずキャンピングカーに横付けして、荷物をキャンピングカーに移す。
キャンピングカーの運転席に座りエンジンを掛けてみる。
一発で始動しディーゼル特有の音が響く。
ゆっくりアクセルを踏み店舗の出入口まで出て暫し停まり右側の空に目を向ける。
黒煙や白い煙の筋があちこちに立っているのを見て右折するのを諦め、左折して京阪国道に戻る。
そのまま京阪国道に入り南下して久御山から京滋バイパスに乗って大崎山JCTへ向かう。
しかし宇治川を渡る手前で日が落ち、雨の中の夜間移動は危険と思いそのままキャンピングカーで泊まる事にする。
雨に濡れていた服を着替え、軽く食事してから戸締りを確認してベッドに入り早めに寝る。
ベッドの中でスマホの電源を入れ明日帰ると書き込む。
直ぐに返事があり待っていると一言だけ返って来た。
それを見て俺は電源を落としすぐに眠りについた。
次の予定は未定でお願いします。
裏は月末までに。
裏の次はチート本編を来月15日くらいまでを予定しています。
ご意見やご批判、感想などもお待ちしています。
返事は遅くなりますが出来る限り返します。
(だって書くより読むほうが楽しいんだもの|д゜))
では早めに次回をだせる様に頑張ります。<(_ _)>




