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危機回避・未来  作者: 中野翔
私に危機回避能力は必要ない→私の万能は使えなきゃあてにならない
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中学生とお子様ランチ




希愛中学から朝乗って来た車に乗り込んだ三人は、まず腹ごしらえで駅前近くのファミリー

   レストランへ入る。最初は高級料理店にでもと冗談半分で言っていたものの、予約してないうえに

  しかも子供三人だけで入ることは難しかったため、仕方なくファミリーレストランを選択する。

   

   「ねぇ、こう君。これ美味しそうじゃない?」

   「ん、どれどれ?」

   しかし、外食などあまり経験のない三人がレストランへ入ると、メニュー本とにらめっこ。

   値段チェックを怠らずともやはり、どれも美味しそうで食べたいと考えてしまうのだった。

   「二人共、あまり長居出来ないんだぞ」

   だがそれも長く続けることはなく、炎樹が先に離脱。

   まだにらめっこ状態の二人に『早くしろ』と指示する。だが、月冴は…。

   「分かってるって。けど、こんなこと滅多にねぇーんだから、じっくり選びたいじゃんか」

   朝の騒動での勇姿はどこへやら。と、炎樹は月冴の言葉を聞いてため息をついた。

   しかし、こんな時こそ気持ちの切り替えが必要なのかもしれない。

   未だに自分はあの時のことを引きずり、心は沈んでいるのだから…。

   「炎樹君」

   「ん?…なに?」

   「炎樹君は何頼むか決まった?」

   「あっ、あぁ…俺は…」

   一瞬、幸磨に名前を呼ばれて焦ってしまう炎樹。

   だが、すぐに気持ちを切り替え、自分の手元にあるメニュー本を開いた。

   「これを頼もうと思うんだ」

   そう言って見せるの炎樹だが、これを見て幸磨と月冴は「えっ?」と声を揃えて炎樹の顔を見る。

   「えっ?なに?」

   「炎樹君、これ頼むの?」

   「えっ?なんかまずかった?」

   「まずいもなにも…お前、今いくつだよ」

   「いっ、いくつって」

   「炎樹君。さすがに中学生になってお子様ランチはちょっと…」

   お子様ランチとは、小学校低学年以下の子供向けメニューでファミリーレストランだけでなく、

  他の飲食店にもそのようなメニューが置かれている。そんな子供向けメニューをどうして中学生の

  炎樹が頼もうとしたか…原因はメニュー本に載っていた写真。チキンライスのてっぺんに旗が立っ

  いて、それが欲しいがためにお子様ランチを頼もうとしたのだ。

   「炎樹。旗なら折り紙と爪楊枝で俺が作ってやるから、お子様ランチを頼むのはやめてくれ」

   「…はい」

   その後、幸磨はハヤシライスを、月冴はドリアを、炎樹はお子様ランチをやめてステーキハンバ

  -グを頼み、それぞれ空腹を満たしたのだった。

   


   昼食を済ませた後、三人は車が停まっている駐車場へと向かっている途中…。

   「そういえば、あの運転手の男…見たことない顔だったけど、あれ誰?」

   月冴がふと思い出したことを炎樹に尋ねてみる。

   朝からそれが気になっていて、本当なら学校に着いた際に聞こうとしたが、その前に騒動が起

  きてしまったため、聞きそびれてしまったのである。

   「あぁ…実は俺も今日初めて見るんだ。だから彼のことはあまり良く知らない」

   「おいおい、そんな奴を運転手にして大丈夫なのか?万が一そいつが敵だったら…」

   「仮にそうだとしたら、俺が二人を迎えに行った時点で殺してるだろう。一人ずつ殺すより、

  三人まとめての方が都合がいいだろうし、学校へ行くふりをして人気のないとこへ連れ出して

  殺害…けど、これは俺達が能力者でない場合のみ可能なことだ」

    そう、無能力者の子供ならその犯行は可能であるが、超能力・能力を持つ子供なら、例え

   大人でも敵わず、反撃されて逃げられる恐れがある。例え大人が何らかの力を持っていたと

   しても、やはり相手の力による。

   「彼を白と断言出来ないが、完全に黒とは言い切れない。しばらく様子を見よう」

   「様子見って…」

   そんな呑気な。と月冴は思う。

   けれど、炎樹は「大丈夫」と言って…。

   「いざとなれば、お前はこう君を守ることに専念すればいい。俺は、自分で身を守れるから」

   「炎樹…」

   「よし、駐車場まで今から競争だ!」

   「はっ!?」

   「こう君、走ろっ!」

   「えっ、ちょっと…」

   炎樹は幸磨の手を握って、全速力で走る。それを見て、「あっ、炎樹。ずるいぞっ!待て!」と

  後を追いかける。この二人が全力を出せば、周囲の通行人達はただのかけっこだと思うだろうか?

   けれど、彼らはそんなことよりも何かを忘れたくて、何かをごまかしたくて、昼食後にも関わら

  ず、駐車場まで走って行ったのだった。

   

   

   

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