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第2章:死神拝命と初任務へ


霊界は、天界とは打って変わって

事務的で少し薄暗い場所だった。


そこを担当する天使セフィエスは

神経質そうな顔で俺たちを一瞥した。


「……天界でゆっくりしていればいいものを。

わざわざ苦労を買って出るとは、物好きですね。

……神の許可がある以上、止めはしませんが」


セフィエスに連れられ

閻魔大王の執務室へと入る。


閻魔大王は

天界へ行くよう命じた俺が戻ってきたことに

苦笑いを浮かべていた。


「まさか、お前が死神を志願するとはな。

……まぁ良い。神が決めたことだ。ワシは止めん」


 閻魔大王が、デスクから立ち上がる。


「では、その魂に、死神の『器』を馴染ませてやる。

……少々、驚くなよ」


閻魔大王がパチン、と指を鳴らした。


その瞬間、全身を猛烈な魔力が駆け抜けた。

視界が、感覚が、劇的に変化していく。


俺の身体は、現世の青年のものから

より強靭で、人外の冷徹さを秘めたものへと

再構築されていく。


背中から、バサリと音がした。

振り返ると、そこには漆黒の翼が生えていた。

衣服はいつの間にか

闇に溶け込むような漆黒のマントへと変わっている。


鏡はないが、自分の髪が銀色に

目の色が冷徹な青へと変わったのが分かった。



「ワンッ!」

マルルの声に足元を見る。


マルルの背中にも

小さな、けれど力強い漆黒の翼が生えていた。

そして、その愛くるしい黒目は

霊視能力を秘めた紅色あかへと変わっていた。


「ほう……霊獣としての姿も、様になっているな」

閻魔大王が満足げに頷き

デスクから一冊の黒いノートを取り出した。


「今から貴様は、生前の名を捨てろ。

死神としての名は『ジェード』だ」


「……ジェード」

新しい名前を口に馴染ませる。


「活動範囲は日本。……良いか、ジェード。

そのノートには

これから死を迎える者の情報が記されている。

死亡日時より2週間前に現世へ行き

彼らの『やり残したこと』を手伝い

心の整理をつけさせ、魂が濁る前にここへ連れてくる。

それが貴様の仕事だ」


阎魔大王から受け取った『死神のノート』を開く。

そこには既に、3名の名前、死亡日時、場所が記されていた。


一番上の名前を見る。

立花菊たちばなきく

享年82。死亡日時:2週間後の15時20分。

場所:県立総合病院』


「……1人目の死亡日時の2週間前が

ちょうど1時間後だな」

 閻魔大王が、ニヤリと笑った。


「初仕事だ、ジェード。

マルルと共に、行ってこい。

死神の力、とくと見せてもらおう」


「了解、閻魔大王」

俺――死神ジェードは、漆黒の翼を広げた。


腕の中のマルルが

紅色あかの目を輝かせる。


(待ってろよ、杏奈。

俺、立派な死神になって

お前が来るのを胸を張って

待てるようにしてやるからな)


俺たちは霊界のゲートを飛び出し

懐かしい、けれどもう戻れない現世へと向かって

一気に滑空した。




お読み頂きありがとうございます

次回も楽しみ♡

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