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Beyond World Online~一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO ~  作者: みなかみしょう


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65/68

第65話:地区解放クエスト+ 1

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クエスト:「解放への道」

 推奨レベル:30~

 外部からの住民に向けて、アガラム市政は封鎖地区の解放を決定した。

 人口減少のため、環境を保全したまま隔壁を下ろしたままの区画がすぐ側にある。

 長年の閉鎖のため、エネルギー供給が途絶えており、周辺にはモンスターが住み着いている。

 渡り人にはそれらの排除と再起動をお願いしたい。

 

 報酬:

 EXP:10000

 Gn:10000

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 以上、ユーザー向けエリア解放のためのクエストである。

 聞いた所によると、本当に簡単な内容で、気分よくモンスターを倒した後、貰った鍵で再起動をするだけで終わるらしい。


 運営的にもハウジング用区画のための演出と考えてるんだろう。多めの経験値と金銭はお小遣いってところだ。


 そんなわけで、俺はアガラム市役所でさっさと依頼を受けて目的地に向かった。

 しかし、大空洞内は文明レベル高めだからか、現代風味があるな。市役所いったら受付で整理券貰って依頼を受ける流れになった。作り手のこだわりを感じるところではある。


 アガラム郊外は割とファンタジーな風景をしている。綺麗に舗装された街道に平原に畑。それと街灯が立っているのが特徴だ。文明レベル的には未来だけど、景色はちょっとごちゃついているのが面白い。

 そんなところを楽しみつつ、クエスト受諾で表示されたマーカー頼りに移動したら、すぐに目的地に到着した。


「ここは完全にSF風なのね……」


 案内通り歩いてたら、区画の壁に到着。そこには五角形に切り取られたメカメカしい通路があった。あの牧歌的な環境は住民の精神維持のためで、こっちの姿が本質なんだろうな。


「行くか。ラインフォルスト」

「御意」


 俺は待機状態だったラインフォルストを呼び出す。マンボウ姿の相棒が濁った目で俺を見てきて、にやりと笑った……ような気がした。表情変わんないけど。

 マンボウの姿では地味に初の実戦。ボーナスみたいなクエストらしいし、気持ちよく終わらせてしまおう。

 そんなことを考えながら、俺は足取り軽く通路へと歩き出した。


 ◯◯◯

 

「うおお! 気持ち悪い! 飛ぶな!」


 叫びながら両手に持った鎖鎌を振り下ろす。

 向かって飛んできた空飛ぶ三葉虫があっさり三枚におろされて地面に落下。そして、ゆっくり消えていく。


 [魔喰虫の皮 獲得]


 SFチックな通路だから、壊れた機械でも倒すのかと思っていたら、出てきたのは空飛ぶ三葉虫でした……。

 魔喰虫と呼ばれるこいつら、地面をそれなりの早さで動き回り、たまに飛ぶ。羽もないのに。しかもデカい。人間の顔くらいのサイズ感だ。


 それがクエストの説明通り沢山いて、一箇所に五から十匹くらいで固まっているわけで。そらに近づくと、うぞうぞ動いて攻撃してくるわけで……。

 極端な虫嫌いじゃない俺でもさすがに気持ち悪く感じる。妙にモデリングに力入ってるし。序盤にあった蜘蛛恐怖症対策はなんだったんだよ……。


「主よ、今のうちに」

「サンキュー、ラインフォルスト!」


 右側から飛んできた魔喰虫をラインフォルストがその身で受け止めてくれた。俺はそこを回り込んで、連続で斬りかかる。次々と落ちるモンスター。多分、ドヤ顔をしているであろうマンボウ。


 見た目は気持ち悪いけど、こいつらは弱い。スキル無しで簡単に倒せる。情報通り本当に気楽だ。なので、攻撃力重視ということで鎖鎌二刀流でどんどん斬り進めている。たまにはこういう無双気分もいいもんだ。絵面的に害虫駆除だけど。


「主よ。油断禁物だぞ」

「わかってるよ。生理的嫌悪感が強いから、緊張感が凄い」

「わかる」

「わかるんだ……」


 そんな風にラインフォルストと楽しく雑談しながら虫どもを駆除して進んでいく。それはもう、良いスピードで。攻撃力不足の俺とは思えないほど。

 なお、ラインフォルストのステータス上昇能力の恩恵も結構大きい。見た目と能力に反して、STRとDEXに補正が入ってくれるのが非常に有難い。今度、リアルでマンボウのぬいぐるみでも買って部屋に飾りたくなってきた。


 広い通路を空飛ぶマンボウと進んでると、分かれ道についた。

 直進か左折、二択だ。わかりやすく、直進側が天井のライトがついている。左のほうは薄暗い。

 これ、直進が正解だよな。だって意味深な扉も見えるし。

 こういう時、とりあえず正解にはいかずに寄り道してしまうのはゲーマーの性というもの。

 なので、俺は迷わず左折した。

 そしたら人がいた。


「あっ……」

「あっ……」


 互いに顔を見た時、同じ反応になった。知り合いというわけじゃない、顔見知りといえるかすら怪しい。

 でも、見覚えのある人だった。


「もしかして、キメラゴドンの時に自爆した人?」

「あ、あの時、私を釣り上げてくれた人ですか?」


 帽子にマフラー、更にコートという厚着のアルケミストの女性が同時に問いかけてきた。

 やっぱり見間違いじゃないかったか。あの時、凄い目をして「爆発します!」と叫んでから爆発した人だ。

 ユニーキスキル『微塵隠れ』、なぜか忍術を手に入れてしまったお方だ。完全にただの自爆になっていたな……。


「こんなところで何してるんですか?」


 ハウジング地区解放クエストなら道が違うし、立ち往生するような場所でもない。


「実は、NPCからクエストを受諾して来たのですが、ちょっと困ってまして……うーん……」


 それから、意を決したような顔で言ってきた。


「えーと、あの、もしお手隙でしたら、手伝って頂けないでしょうか? 多分、時間はとらないでしょうから?」


 かなり疑問形だけど、興味深いお誘いをされてしまった。

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