♥ キャンプしようぜ! 3
──*──*──*── 508日目
廃里化したゴブリンの里にキャンプを張って、滞在を始めてから6日目の朝を迎えていた。
何で滞在を6日も延長しているのかと言うと、ゴブリンの里で暮らしていた生存者を発見したからだ。
ゴブリンの里の生存者の人数は決して多くはない。
生存者が居る以上、生存者を廃里と化したゴブリンの里に残して出発するわけにはいかなかった。
生きる希望を失いかけているゴブリン達を保護したオレ達は、近くにある別のゴブリンの里へ立ち寄り、彼等を引き取ってもらう事を考えた。
戦いや争いを好まず、平穏な暮らしを好む穏やかなゴブリン達。
いや、本当に居たんだな。
中々フレンドリーなゴブリン達だから、直ぐに打ち解ける事が出来たのは良かった。
オレは少しでも元気を出してほしくて、紙飛行機を作ってゴブリン達の目の前で飛ばしてみた。
初めて見る紙飛行機に興奮したゴブリン達に、長く飛ぶ紙飛行機の作り方を伝授してやった。
例え一時的だとしても、紙飛行機を作って飛ばしている間ぐらいは、辛い事を忘れてほしいと思ったんだけど、効果は絶大だったみたいだ。
ゴブリンの子供達は紙飛行機に夢中になっていた。
折った紙が長い距離を飛ぶんだから不思議なんだろう。
最初の時は「 魔法使いなのか 」と言われたけど、魔法を使えないゴブリンの子供達に紙飛行機の作り方を教えて、飛ばしてもらったら泣くほど感激された。
オレにとっては唯の紙飛行機だけど、ゴブリンの子供達にとっては然れど紙飛行機だったようだ。
生存者のゴブリンの大人達がホワギナロ,トッポ,ポリシャと共に旅支度を進めている。
オレはニュイ,チコと一緒にゴブリンの子供達の遊び相手を任されていた。
ゴブリンの子供達と遊んでいる間も、オレは何かの視線を感じていた。
誰かに見詰められているような気がして止まないんだ。
だけど、熱烈な視線の相手が誰なのか全く分からない。
オレの気の所為ならいいんだけどな…。
テントの中──ベッドので休んでいると必ず映る何かの影の正体も分からないままだ。
言っても信じてもらえないから、疲れていてるだけかも知れない。
今夜はニュイを抱き枕にして寝ようかと本気で考えている。
トッポ:ハイエルフ
「 準備は整ったね。
じゃあ、出発しよう 」
トッポの掛け声で見えない妖精達がテントを素早く畳んでしまう。
小さく折り畳まれたテントをオレが腰に付けている四次元バックの中に入れたトッポは、先頭を歩く。
トッポの後ろをポリシャが歩く。
ポリシャの後ろにはゴブリン達が2列に並んで手を繋いで歩いている。
はぐれないようにと念の為に腰部分には、ゆとりを持って縄を結んでもらっている。
こうする事で、森の中で子供が行方知らずになる危険性を防ぐんだ。
因みにオレの提案だったりする。
ゴブリン達の後ろにオレとチコが2列になって歩く。
チコの頭の上には見張り役としてニュイが乗っていて、四方八方から怪物の動きに目を光らせてくれている。
ニュイの何処に目があるのか分からないけどな!
オレとチコの後ろにはホワギナロが歩いている。
ホワギナロが後ろから衛ってくれるから、安心して歩く事が出来る。
キャンプ地を決めてキャンプをする。
ゴブリン達が使うのは初心者でも簡単に組み立てられる簡易テントだ。
夕食を一緒に済ませると、ホワギナロ,トッポ,ポリシャはゴブリンの大人達と話し合いを始める。
その間、オレはゴブリンの子供達の遊び相手をする。
オレが作ったジグソーパズルを使って、皆で考えながらパズルを完成してもらう遊びだ。
ジグソーパズルも初めて見るらしいから最初は遊び方に戸惑っていたけど、遊び方を教えたら直ぐに遊び始めてくれた。
子供達は頭を悩ませながらも枠の中で絵を徐々に完成させていく。
女の子のゴブリンは、花や可愛い動物,スイーツを描いたジグソーパズルを気に入ってくれた。
男の子のゴブリンは、車や飛行機を描いた乗り物のジグソーパズルや恐竜や強い動物を描いたジグソーパズルを気に入ってくれたみたいだ。
「 欲しい! 」とせがまれたから、「 代々家宝にして大事に使ってくれるなら── 」と言ってから、あげる事にした。
家宝は言い過ぎだと思うけど、出来るなら長く大事に使ってほしいからだ。
あげる前にジグソーパズルの後ろにオレの名前を書いてゴブリンの子供達の名前を書く事にしたけど、どうやらゴブリン達には名前が無いらしい。
不便だから別のゴブリンの里に着く迄の間だけでも名前を付けて呼ぶ事にした。
ゴブト,ゴブタ,ゴブル,ゴブレ,ゴブコ,ゴブヨ,ゴブミだ。
男の子が4体と女の子が3体だ。
ジグソーパズルの裏には【 アルト・セイファード・ルキンツ to ゴブ◯ 】とプレゼントした年代と月日を書いた。
子供達は自分だけのジグソーパズルを貰えて凄く嬉しそうに喜んでくれた。
大人達の話し合いが終わると、子供達はジグソーパズルを大事そうに抱きしめて大人達の元へ戻って行った。
こういう触れ合いも偶には悪くないと思う。
ベッドでニュイを抱き枕にして寝転んでいると、やっぱり何かの影が見える。
なのにニュイは気付いてないのか、「 にゅっにゅ〜〜にゅにゅ〜♪ 」と御機嫌に歌を歌っている。
どうやらオレの抱き枕になるのが嬉しいらしい。
可愛い奴め♥
影の正体は気になるけど、今夜も無視して眠る事にした。
幽霊とかじゃないよな??
仮に幽霊だとしたら勘弁してほしい…。




