♥ ケールナの里を目指して 1
──*──*──*── 475日目
迷子のエロフ──ポリシャを一時的にパーティーメンバーに加えて出発してから3日が経った。
大森林の中には妖精が全滅させたガイゴズゴブリン以外にも襲ってくる怪物はウジャウジャ居る。
大森林にも野生の動物を見掛けはするけど、あまり多くはないみたいだ。
そりゃ怪物が出現するんだから、恐くて寄り付かないとは思うけど…。
退治した怪物の肉が当たり前のように食える世界で本当に良かったと思う。
倒した怪物の死体は、ホワギナロが丁寧に解体してくれて、肉と素材を分けてくれる。
妖精が素材を種類別に仕分けしてくれてる間に、ホワギナロが肉の下処理まで丁寧にしてくれる。
オレも何かホワギナロの手伝いをしたいと思って、挑戦してみたけど怪物の解体は想像していたのよりハードでグロテスクで……前世で現代っ子だったオレには解体作業は無理だった…。
せめて肉の下処理でもと思ったけど、怪物の種類によって下処理の仕方が全然違うらしくて、下処理の仕方を間違えると食べられなくなってしまうらしい。
肉の見分けの付かない人間には怪物の肉の下処理をする事は難しいらしい。
怪物の解体なら人間にも出来るけど、厳しい試験を受けて合格した者だけが与えられるライセンスが必要で、誰でも解体師になれるわけじゃないみたいだ。
処理師も同じくライセンスが必要なんだけど、解体師になるよりも難しいらしいし…。
だから人間の解体師が居ても人間の処理師は居ないらしいって話だ。
本来は解体師,処理師には亜人類の方が向いてるんだとか。
人間より腕力があるし、鼻も利くし、視力も良いし、怪物の肉を見分ける力があるかららしい。
それに作業が人間の解体師よりも手際が良くて、丁寧で早いんだとか。
解体料や処理料はそれなりにお高いらしいけど。
そんなわけでオレにはホワギナロの手伝いをする事が出来ないから、何も手伝わないトッポからの絶えない求愛ハラスメントに必死に耐えなければいけないんだ…。
因みにエロフのポリシャは亜人類だから、ホワギナロから怪物の解体や下処理の仕方を教わっている。
エロフの里でも怪物の解体や下処理が出来るエロフは重宝されるらしい。
エロフは人間より手先が器用で物覚えも早いから、直ぐに戦力になるだろう──とかホワギナロも嬉しそうに言っていた。
大森林を抜ける迄の間に出来る限り怪物を倒して、ドロップアイテム,肉,素材をゲットするようにしている。
≪ ケールナの里 ≫や立ち寄るかも知れないゴブリンの里で、必要とされている肉や素材を提供して売れる限りの恩を売る為らしい。
考える事が悪人みたいだが、発案者は妖精王のトッポだったりする。
良いのかよ……、妖精王が「 恩を売るよ★ 」なんて言ってもさぁ?
妖精王の言う台詞じゃないだろうよ…。
トッポ:ハイエルフ
「 ──今日は此処でキャンプにしよう。
妖精にテントを張らせるよ 」
精霊王:ホワギナロ
「 ……ポリシャ…簡易竃の用意だ… 」
エルフ:ポリシャ
「 は、はい!
お師匠様、直ぐに準備します!! 」
……この3日間でポリシャはすっかりホワギナロを師匠と仰ぎ、弟子になっていた。
今では簡易竃を作るのは妖精じゃなくてポリシャの役目だ。
料理の下拵えや手解きもホワギナロから直々に伝授されている。
怪物の解体も出来て、肉の下処理も出来て、簡易竃も作れて、料理の下拵えも出来て、料理も作れるエロフ……最強だな!
一家に1人は居てほしいと思うぞ!
水魔法と土魔法が使えるからキャンプするなら居ないよりは居てくれる方が助かる。
火魔法も使えてくれるとキャンプをする時にもっと助かるんだが……贅沢は言えないよな。
ポリシャは土魔法でブロックを作ると簡易竃を黙々と作る。
因みにブロックの事をポリシャへ教えたのはオレだったりする。
この大森林の中で竃に使えそうな石を探すのは大変だからな。
態々石を探さなくても、土でブロックを作ってしまえれば、探しに行く手間も省けるし、用が済めば土に戻せるから楽なんだ。
毎回組み立てる必要があるのが手間だけどな。
因みに薪になりそうな木の枝や枯れ葉なんかは妖精が集めて来てくれる。
残っても保管しとけば、次のキャンプの時に使えるから妖精は何時も多目に集めて来てくれる。
ホワギナロとポリシャが2人掛かりで料理を作ってくれている間、オレはトッポから熱烈な視線を受けながらホワギナロの為にジグソーパズルを作っている。
トッポもジグソーパズルには興味があるらしく、オレの作り方を見ている。
ニュイはオレのマントにくるまって遊んでいるし、チコはハンモックに揺られて夢見心地だ。
どうやらチコもハンモックを気に入っているらしい。
明日が4日目だから、順調に行けば明日には≪ ケールナの里 ≫へ到着が出来る予定だったけど、生憎の雨が降り出した。
キャンプ地の中には雨水が入って来ないようにホワギナロが結界を張ってくれているから、どんなに強い雨が降っても濡れたりしない。
結界のお蔭で暴風が吹いたってテントは飛んで行かないし、壊れたりもしない。
雨音や風の音はガッツリ聞こえるけど、大森林のオーケストラだと思えば何て事はない。
雷がゴロゴロ鳴ったって、キャンプ地には絶対に落ちてないから安心して寝られる。
ホワギナロの結界魔法って本当に凄いんだ!!
因みに序でに分かった事だけど、妖精は魔法を使う事は出来ないんだけど、トッポは魔法を使えるらしい。
但し、魔法を使えるのは実体化しているハイエルフの時だけなんだとか。
最初に言えよ!!
ホワギナロは精霊を呼び出して魔法を使わせるけど、ハイエルフのトッポの場合は直に魔法を発動させれるらしく、全属性を使えるんだとか。
但し、近距離で単体仕様だ。
威力も大して強くないらしい。
「 生活魔法として使うなら不自由しないよ。何時でも新婚生活が出来るね♥ 」なんて、ふざけた事を言ってくれるもんだから、顔面にグーパンチを食らわしてやりたくなった。
一言も二言も余分に言う妖精王の所為で、オレはストレスで胃に穴が飽きそうだ。




