♥ テムモンフードコート 2
ニュイは、何とか生きているものの身動きの取れない犯罪者達の身体を乱暴に飛ばしながら邪魔にならない場所へ移動させた。
かなりの犯罪者を集めたが、他にも仲間が何処かに居るのだろう。
ニュイとテムモン達は、弱いながらも自分達を守ろうと身体を張って犯罪者達に立ち向かってくれた勇気と責任感のあったスタッフ達の死体を丁寧に扱いながら一ヵ所に集めた。
スタッフ達の勇姿に報いて、汚れや血を綺麗に落としてあげようというのだ。
怪我を負ったものの何とか無事なスタッフも集めて、テムモンに出来る範囲での応急処置を施した。
亡くなったスタッフ達の亡骸の前で、感情豊かなテムモン達が悲しそうに鳴いている。
きっと身を呈して犠牲となったスタッフ達は、テムモンの事が大好きな人達だったのだろう。
テムモンフードコートを利用しているテムモン達からも懐かれていたのだろう。
テムモン達から好かれていたのだろう。
そうでなければ、テムモン達がこんなにもテイマー以外の人間の死に対して悲しむ筈がないからだ。
ニュイは切なかった。
もっと早く動いていれば、スタッフは犯罪者達に殺されずに済んだかも知れない。
無事なスタッフ達のように笑顔を見れていたかも知れない。
過ぎてしまった事を悔やんでも死人は生き返らないのが自然の摂理だ。
自然の摂理に反するような事は出来ない。
亡くなってしまったスタッフの事は割り切って諦めなければいけないのだ。
亡くなったスタッフの中には、屋台でニュイにテムモンフードの入った木の皿を頭に乗せてくれた笑顔の素敵なスタッフの姿もあった。
ニュイ
「 にゅー…… 」
コイツ等が来なければ、コイツ等がこんな事をしなければ、弱いスタッフ達が命を散らす事はなかっただろう。
コイツ等さえ、存在していなければ──。
アルト・ルキンツ
「 ニュイ──、無事か?! 」
ニュイ
「 にゅ?!
にゅにゅ〜〜!! 」
ニュイは「 アルトが来てくれた!! 」と気付くとネット越しにピョンピョンとジャンプする。
アルト・ルキンツ
「 ニュイ、良かった!
何処か怪我とかしてないかい? 」
ニュイ
「 にゅにゅ〜 」
アルト・ルキンツ
「 そっか…良かった 」
オレは無事な様子のニュイを見て安心した。
テムモンフードコートの出入り口へ走って、ニュイを迎えに行った。
テムモンフードコートの中に入って両腕を左右にバッと広げると、ニュイがオレの胸に飛び込んで来た。
未だ3時間も経ってないけど、どうやらニュイはかなり寂しかったらしい。
オレの腕の中で体をスリスリしているニュイが激ヤバに可愛い♥
アルト・ルキンツ
「 ──あれは……被害者かな? 」
地面に寝かされている動かないスタッフの姿が何体か見える。
トッポ:ハイエルフ
「 名誉の殉職だね。
彼等もいざという時の為に訓練はしていただろうけど、相手が悪かったね 」
アルト・ルキンツ
「 だけど…遺体は綺麗だよね 」
ニュイ
「 にゅ〜〜 」
トッポ:ハイエルフ
「 テムモン達が汚れを綺麗に落としたみたいだね。
余程テムモン達に慕われていたんだね 」
アルト・ルキンツ
「 そうなんだ…。
あっちの黒装束の人達は…… 」
トッポ:ハイエルフ
「 テムモン達を襲撃して連れ去ろうとした輩の仲間だろうね。
ふぅん……上手く仕留めているね。
これだけ重体なら変な気も起こさないかもね 」
アルト・ルキンツ
「 虫の息だもんね…。
この状態でも、ちゃんと息が出来てるのか怪しいけど… 」
トッポ:ハイエルフ
「 途中で息絶えても問題ないよ。
他にも仲間が居るからね 」
アルト・ルキンツ
「 他にも?! 」
トッポ:ハイエルフ
「 場所を変えようか。
テムモンを預けていたテイマー達も集まって来たからね 」
そう言ったトッポと共にテムモンフードコートから出ると、テイマー達が次々とテムモンフードコートへやって来た。
テイマー達が自分のテムモンの元へ駆け寄って、安否を確認している。
アルト・ルキンツ
「 テムモン達は怪我とかしてないみたいだね 」
トッポ:ハイエルフ
「 ニュイが入れ知恵したんだよ。
スタッフ達は残念だったけど、テムモンが無事で良かったね。
亡くなったスタッフ達も浮かばれる 」
アルト・ルキンツ
「 そうだね…。
ちゃんと弔ってもらえるかな? 」
トッポ:ハイエルフ
「 心配しなくても、きちんと弔ってもらえるよ。
さぁ、行こう 」
アルト・ルキンツ
「 うん… 」
オレはニュイを抱き抱えたまま、トッポと共に1階にある宿泊施設へ向かって歩き出した。




