鍛冶職人ヒルダ・スミットとの出会い
蒼河遥です。
第3話を読んでいただき、ありがとうございます。
裏通りで見つけた、一軒の武器屋。
そこでアルフレッドは、鍛冶職人のヒルダと出会います。
そして、彼自身もまだ知らなかった「マイスター」の能力が、ついに明らかに――。
この人、30代半ばくらいか?
女性にしては短めの黒髪で、その髪は少しウネリがある感じだ。
顔立ちは、女性としては力強く、座っているので何ともいえないが、
背は170センチメートルくらい有りそうな感じがする。
そんなおばさんが、ふと作業の手を止めていく。
どうやらオレの存在に気付いたみたいだ。
オレの顔をチラッと見てくる。
「あのさぁ、おばさん、オレを雇ってくれないか?」
挨拶をする前から、いきなりそんなことを口走ってしまうオレ。
だって本当に、働けるところを早く見つけたくて必死だったんだ。
そんなオレの言葉を聞いた彼女は、立ち上がり、ゆっくりこちらに向かって歩き出す。
そして・・・
"バシィッ!"
「痛ってぇーっ!」
オレの傍まで近づいてくると、いきなり平手でオレの頭を叩いてくる。
「誰が"おばさん"だって!?」
怒りだす彼女・・・
流石に"おばさん"はマズかったか。。
「ゴメン!じゃあ、何て呼べばいい?」
「ていうか、アンタ誰だい?」
そういえば、まだ名乗って無かったな。
「オレはアルフレッドだ」
「どこのアルフレッドだい?」
「・・・・」
さっきの店まで、"ヴァン・ハールト"の姓を名乗って失敗していたので、
ここでは、その姓を名乗ることを止めた。
実際のところ、勘当されたオレに、苗字はもうないしな。
「まあいい、私はヒルダ・スミット。
この武器屋の店主だ。ヒルダとでも呼んでくれ」
「わかったぜ、ヒルダのばっちゃん!」
"バシィッ!"
「イッテェーっ!」
オレは再び、彼女から叩かれてしまう。
「ふ~ん、アル、お前さんは "マイスター"のジョブ持ちって宣告されたのかい」
「あぁ、だから、鍛冶屋で働いて、武器を作れるようになりたいんだ」
「じゃあマイスターなら、この武器を複製できるはずだ。
やってみてごらん」
「複製?」
「なんだ、知らないのかい?」
ヒルダの話では、マイスターって、1本の武器を元に、
その複製を素材無しで作れてしまうと言う、
とんでもないジョブスキルがあるらしい。
「じゃあ、この武器に右の掌を添えて、"複製"って唱えてごらん」
「わかった、やってみるぜ」
彼女からそう言われると、オレはテーブルに置かれた剣の上に右掌を置いて、
「複製!」
そう唱えてみたんだ。
すると・・・
「おぉぉ!」
元あった剣の隣に、新しい剣が浮かび上がってくる。
そう、元の剣と全く同じ形のものが・・・
「マイスターって、すっげぇーなぁ!」
さっきマイスターと言われたばかりで、そのスキルや特性を全く知らないオレにとって、
今、目の前で起きた事象は、驚き以外の何物でもなかった。
「マイスターってのは、自分自身で武器を作るのも天才と言われているし、
参考となる武器があれば、こうやって素材が無くても複製することが出来る。
ただ、その際には、MPが消費されるので、そんなに沢山、複製出来る訳じゃないけどね」
「なるほど~」
「まあ、複製が出来るってことは、お前さんがマイスターって話、
ウソじゃないみたいだな。
分かった、ウチで雇ってやろう!」
「えっ、マジ!?やったぁーっ!」
因みに、彼女と色々話をしながら分かったのは、
ヒルダ自身は鍛冶士の中位職「名工士」というジョブらしい。
どうやら、上位職「マイスター」を持つ人って、現在、この国に3人しかいないそうだ。
ということは、オレが4人目ってことになるのか?
まあオレって本当は"魔導師"になりたかったんだけど、
それを言っても、今更って感じだよな。
けど、考えようによっては、"マイスター"というジョブも、悪くないのかもしれない。
そしてオレは、この日から、この店に住み込みで働いていくことになる。
最初は、鍛冶のやり方なんて全く知らないオレだったんだけど、
彼女は丁寧に、そのやり方を教えてくれた。
「アル、ダメだ。まだこの程度の色では鉄は叩いても伸びない。
もっと鮮やかな橙色になるまで、炉で加熱して行かないと」
「おう、分かったぜ師匠!」
まず、炉でどの位まで鉄を熱するか・・・
そこから指導が始まっていく。
彼女曰く、鍛冶の工程というのは、
1.鉄の加熱
2.鍛錬・成形
3.焼き入れ
4.研磨・仕上げ
だそうで、最初に炉で鉄の塊を熱していき、鮮やかな橙色から黄色になったら、
炉から鉄を出して、金床の上に乗せ、ハンマーで叩き、形を整えていく。
そして、形が出来たら、鉄を水に入れて一気に冷却して硬くし、
最後に、砥石で磨いて、刃を立てていく。
そんな手順を踏んで行くらしい。
第4話を読んでいただき、ありがとうございました!
アルフレッドは、ヒルダを師匠として鍛冶職人への道を歩み始めることになりました。
そして明らかになった「マイスター」の能力。
果たしてアルフレッドは、一流の鍛冶職人になれるのか?
次回もお楽しみください!




