裏通りの武器屋
蒼河遥です。
本作に目を留めていただき、本当にありがとうございます!
公爵家を追放され、ひとり街へと出たアルフレッド。
彼を待っていたのは、思いもよらない厳しい現実だった。
そんなアルフレッドが、街の裏通りで見つけた一軒の武器屋。
ここから、彼の新たな人生が動き始めます。
【視点変更】 ラインハルト・ヴァン・ハールト (アルの長兄 22歳男性)
「兄さん、あの目障りなアルフレッドが、
遂に、この家を出て行くことになったのは、本当に幸運でしたね」
「ああルードヴィッヒ、
ヤツのジョブが、まさかの生産職とは、思わぬ展開だったよな」
ヴァン・ハールト家史上、最高の逸材と目されていたアルフレッド。
もしヤツが、魔道士の上位職にでも宣告されていたら、
ヴァン・ハールト公爵家の次期当主の座は、ヤツの手に渡ってしまう。
あんな無学で愚かな末弟に・・・だ。
そういった面でも、
今日の"ジョブ鑑定の儀"は、我が公爵家に幸運を告げる儀式となったのだ。
にしても、あれ程の剣と魔法の才の持ち主に、
まさかの生産職が宣告されるとは・・・
人生とは何が起きるか分からないものだな(笑)
今回の件をもって、
父上は、我が公爵家の正式な跡継ぎに、私を指名することになるだろう。
次男のルードヴィッヒは、オレへの忠誠を誓ってくれていている。
これで、今後の公爵家・・・そして私の将来は安泰となるはずだ。
【視点変更】 アルフレッド (主人公 14歳男性)
「頼むよぉ!ここで働かせてくれよぉっ!」
「ダメダメ、アンタみたいな問題児、
ウチに抱え込んだら、後々、何が起きるか分かったものじゃない」
「そこを何とか!」
「ダメだと言ったら、ダメなんだよ!」
これで4軒目・・・
オレは"マイスター"という、鍛冶士の上位職を授かったことを売りに、
領都ブレダの武器屋(鍛冶屋)という武器屋を、くまなく駆けずり回っていた。
とにかく、公爵家を追い出された身としては、
1日でも早く職を得て、自分の力で稼いでいかないといけない。
でも、現実は厳しい。
どうやら、オレのジョブ鑑定の結果は、街中に噂が広まっているようで、
公爵家の落ちこぼれとして家を追い出されたオレを、
どの武器屋も雇おうとはしなかったんだ。
「悪いけど、どっか他所へ行ってくれ!」
5軒目の武器屋でも、追い払われてしまう始末。
オレが知る限り、この街に、これ以上武器屋はない。
途方に暮れるオレ・・・
アテも無く、希望すら失ったオレは、街を徘徊する様に彷徨っていた。
しばらく困らない程度のお金は、姉貴が持たせてくれた。
なので、当面は食いっぱぐれることは無さそう。
けど・・・
このまま職に就けなければ、お金は減るだけだ。
何れは底を尽きてしまうだろう。
オレは色々なことを考えながら、ボーッと歩いていると、
気づかぬうちに、知らない裏道に迷い込んでいることに気が付いたんだ。
「あれ?ここって、どの辺だ?」
子供の頃から、暇さえあれば駆けずり回っていた領都ブレダの街。
勿論、領主の三男ということがバレないように変装しながら。
なのでオレは、この街のことを、かなり熟知している自信があった。
けれど・・・
「こんな道、初めてだな。
う~ん・・・あそこの角を曲がって、一旦表通りに出てみるか・・・」
道に迷ったオレは、
7~8メートルほど先にある十字路に向かって歩き始めていく。
多分、あの角を左に曲がれば、知っている道に出られるだろう・・・
そんなことを思いながら。
「あれっ?こんな所に武器屋があるのか?」
裏道を歩きながら、ふと周囲を見やっていく。
するとそこには、小さな武器屋が・・・
特に店名の記載はなく、
ただ、ドアの上に剣と盾のマークが描かれているだけだったんだが。
でもこれって、絶好のチャンスじゃねえか!?
ここは入ってみるしかないだろ!
ということで、オレは店のドアを開けていったんだ。
"へぃ、いらっしゃーいっ!"
そんな声は掛かって来なかった。
そしてオレは店の中を見渡す。
こじんまりとした店内だけど、壁に沢山の剣や盾、槍や斧などがビッシリ掛かっている。
壁際の床にも武器のスタンドが置かれていて、
その中には沢山の武器が立てられている。
そして・・・
店の奥には鍛冶工房があるようで、女の人が一人座って作業をしていたんだ。
この人、30代半ばくらいか?
女性にしては短めの黒髪で、その髪は少しウネリがある感じだ。
顔立ちは、女性としては力強く、座っているので何ともいえないが、
背は170センチメートルくらい有りそうな感じがする。
そんなおばさんが、ふと作業の手を止めていく。
どうやらオレの存在に気付いたみたいだ。
第3話を読んでいただき、ありがとうございました。
公爵家を追放されたアルフレッドは、さっそく仕事探しを始めます。
しかし、現実はなかなか厳しいようで……。
そして最後に出会った、裏通りの小さな武器屋。
果たして、アルフレッドを待ち受けているのは――?
次回もよろしくお願いいたします!




