緑豊かな町に隠された異変!?デ・ウィット領を襲う深刻な問題
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蒼河遥です。
第31話をご覧いただき有難うございます。
天象魔法の力を知ったアルフレッドたち。
南へと旅を続ける中、立ち寄った町で思いがけない事情を知ることになります。
"雪・・・"
そんな言葉、今まで聞いたこと無かったんだよなぁ。
「そうか・・・
アルは雪を知らないのか。
まあ、この辺って、気候が温暖そうだしなぁ」
この間、"海"を知らないオレに対して、凄く驚いていたユウマだったけど、
今回は、何となく、オレの事情を察してくれたみたいだ。
「アル?だったら今、雪を降らせてみろよ?」
「え?」
まあ確かに・・・
そんな流れで、オレはこの場で、雪も降らせていくことにしたんだ。
「わかった!じゃあ行くぜっ!
スノー・フォール!」
オレは雪降らしの魔法を唱えていく。
すると、再び上空に集まって来る暗い雲。
正確に測れる訳じゃないけど、
やっぱりオレを中心に半径2キロメートルの範囲で、この雲が広がっていく。
そして、その雲が、オレのいる上空を完全に覆っていくと・・・
「おぉっ、これが"雪"っていうヤツなのか!?」
そう・・・
今ってまだ、10月という残暑厳しい季節なんだけど、
周囲の空気がひんやりとし始め、そして、触ると冷たい雪が降り始めて来たんだ。
「雪が大粒だから、この気温でもギリギリ解けないみたいだな。
ただ、地面に落ちると、流石に雪が解けちまうか」
ユウマがそんなことを言う。
周囲がひんやりしてきたとは言え、0度には程遠い気温。
そんな中で、地上まで雪が届く理由として、
オレの魔法によって発生した雲は、自然の雲より低い位置にあり、
更に雪の粒が大きいことによるようだ。
それにしても、初めて見る雪・・・
それが降り続く様子を見ていると、とてもキレイで神聖なものに感じられた。
今度、もう少し寒い地域に行ったら、もう一度、降らせてみたい・・・
この時、オレはそう感じていたんだ。
そしてオレ達は、女神様からのギフトを試し終えると、
再び南に向かって歩き始めていく。
ただ、夕べ野宿した場所から次の街までは、それほど距離が離れていないので、
午後過ぎには、その街に入ることができそうだ。
「へぇ~、これがダール市かぁ」
デ・ウィット侯爵領 ダール市。
市の人口が10,000人ということで、
この領内では、領都ポールトに次いで大きな街らしい。
ただ、このダールの街も、周囲に緑らしい緑が無く、土と砂の荒野になっていた。
そのため街の中まで、とても埃っぽい印象を受けるんだ。
オレは、そんな荒野の中にある街に入っていったんだけど、
人口の割りには、街中にあまり人影が無いように感じられる。
「なんか、この街、荒んだ感じがするよなぁ・・・」
「ユウマも、そう思うか?」
フィール・アンカーのみんなからは、
このデ・ウィット領って、緑豊かで美しい場所だと聞いていたんだけど・・・
事前の情報と、実際の状況がかなり違っているので、
オレは少し驚いていたんだ。
街の北側から入ったオレは、中心部へ向かって歩いていく。
けど、数分歩いても、誰一人としてすれ違う住民が居ない。
「まるでゴーストタウンみたいだな」
「ゴーストタウン?」
「まあ、廃墟と化した無人の街ってことだな」
「なるほどな・・・」
「街のマップを見ると、中心部に広場があるみたいなので、
取り敢えず、そこに行ってみようぜ?アル」
「分かった」
そんな話をしながら、オレ達は街の中心部に向かっていくことにした。
そして街の中心部に到達すると・・・
「流石に、中心部は人がいるみたいだぜ?アル」
「あぁ・・・けど、あんまり活気はないように見えるなぁ」
確かに、街の中心部の広場には、疎らだけど人影がポツポツある。
ただ、広場の端のほうで座り込んだまま動かない人・・・
稀に声を出している人がいると思ったら、露天の商人とケンカしてたり・・・
なんか、イマイチ雰囲気が悪い。
そんな街の様子を眺めていると・・・
「お前さん、どこから来なさった?」
50歳くらいの通りがかりの爺ちゃんが、オレに声を掛けて来る。
なぜ、オレがよそから来たと分かった?
もしかしてオレ、よそ者感丸出しなのか??
「オレ?オレはブレダ市から来たんだ」
「ほお、ブレダとは、また随分と遠い所から来なさったな。
にしても、珍しい生き物を連れておるな?」
「あぁ、彼はカーバンクルのユウマ。オレの相棒だ」
「ほぉ、カーバンクルというのか、その生き物は・・・」
やっぱり、カーバンクルって、この世界では珍しい生き物らしい。
確かにオレも、ユウマと出会うまで、
カーバンクルなんて生き物、見たことも、聞いたことも無かったからなぁ。
「ところで爺ちゃん、この街って、緑豊かな美しい所って聞いてたんだけど、
なんか随分と・・・」
「じ・・・じぃ?
あぁ・・・お前さんは知らないのか。
この街・・・いや、正確にはデ・ウィット領全体に、昨年から雨が降らなくてな。
今では極度の水不足に陥っているんだ」
"なるほどな、そういうことか"
ユウマが、オレの脳内に直接声を上げてくる。
もしユウマが突然、声出して喋ったら、
この爺ちゃん、驚いて心臓が止まっちゃいそうだもんなぁ。
「そうなのか・・・
それじゃ、街は大変だな」
「あぁ、水が不足し、その影響で食料も不足してる。
お前さん、もし今夜、宿屋に泊まるとしても、水や食事は出てこないかもしれないぞ?」
「う~ん、そうなのかぁ・・・
分かった。爺ちゃん、情報ありがとうな!」
そう言うと、オレはその爺ちゃんに手を振って別れながら、
更に南に向かって街中を歩き進めていったんだ。
第32話をご覧いただき有難うございました。
デ・ウィット領では、昨年から雨が降らず、深刻な水不足に陥っていることが判明しました。
水だけでなく、食料まで不足しているという町の現状。
天候を操る力を持つアルフレッドは、この状況にどう向き合うのでしょうか?
次回も、ぜひご覧ください。




