表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になって溺愛されるのなら  作者: ヒガシヤマ・スバル
We Wii Rock You-馬鹿騒ぎの始まり-

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/18

013 人間は皆〝役者〟

「パーラちゃん?」

『やー。キャメルの知り合いだって言うからさ~、ちょっと大人の意地見せようと思ったけど負けちまった!!』

「話の流れがさっぱり分からないんだけど」

「パーラ?」

 

 その言葉に反応したのは、隣にいるキャメルだった。

 

「知り合いですか? お姉ちゃん」

「友だちだわ。ゲームとアニメが大好きな、獣娘(けものむすめ)よ」

「獣娘」ポカンと口を開けてしまう。「ああ、いや。アンゲルスじゃありふれた存在ですもんね」咄嗟に知りもしないことを口走る。

 

 当たり前だが、獣娘なんて空想の存在だと思っていた。しかしここは異世界。そういうのがいてもおかしくない。それに、キャメルの態度的に特段珍しくないのも分かる。

 

「で、お父さん。いつまでそこにいるつもり? 私、お金持っていないんだけど」

『ああ、すぐ向かう。パーラちゃん、また今度な!』

 

 電話は切られた。ルーシはキャメルに、なんとなく訊いてみる。

 

「キャメルお姉ちゃんって、ゲームとか好きなんですか?」

「ゲームはそんなにしないわ。でも……」

「でも?」

「……早朝の女児向けアニメが好きなのよ、私」

 

 恥ずかしそうな表情で、そんなことをのたまう。

 

(は? ガキ向けのアニメが好き?)と訝ってしまう。「なるほど。それでパーラちゃんと話が合うと」

「それもあるけれど、パーラは放っておけないのよ。放っておくと、誰かの食べ物にされてしまう」

「いじめられているってことですか? それをキャメルお姉ちゃんが守っていると」

「まあ、そういうことになるわね」キャメルは一旦言葉を区切る。「でも、あの子がひとりで外出するなんて珍しいわ。メントでもいるのかしら」

「メント?」

 

 先ほど吹き飛ばした緑髪の少女が、脳裏をよぎったのは気の所為だろうか。

 

「緑髪で筋肉質の体育会系の子よ。MIH学園ではそれなりに強いほうだけど、いつも格上に挑んで泣きじゃくるの。私も3回くらい模擬戦したのよね」

(やはり、あのガキか。こりゃあ、クールがレツを連れてきたら面倒になりそうだな……)

「だけど、全部勝ったんでしょ? キャメルお姉ちゃんは強そうだし」

「……。まあ、お兄様がいなければ、そう言われて鼻の下を伸ばしていたかもね」

 

 キャメルの根底に潜む、兄への劣等感。なぜそれが禁断の恋につながるのかは分からない。分からないが、愛憎半ばといったところなのか。

 

「キャメルお姉ちゃん」

「なにかしら?」

 

 苦虫を噛みつぶしたような表情だったキャメルへ、ルーシは言う。

 

「私のお父さんに憧れるのを、やめたほうが良いのでは?」

「え?」

「クール・レイノルズという男は強すぎる。きっと、この国どころか世界でも有数なほどに。だから、憧れるのも無理はない。だけど、焦がれるだけじゃ越すことはできないですよ」ルーシは火がついたように言う。「キャメルお姉ちゃんには、キャメル・レイノルズという役がある。それを演じきることが、お父さんを越える方法だと思います」

「キャメル・レイノルズという役割……」

「そう。所詮10歳児の戯言だと思ってくれても結構ですが、私はそう思っています」

 

 どう考えても10歳児の言うことではないが、キャメルは反論できない。それがすべてだろう。

 と、話し込んでいれば、

 

「おお、待たせたな」

 

 クール・レイノルズがやってきた。キャメルは彼を一瞥するが、やがて目をそらしてしまう。ルーシが語ったことをどう捉えたのかは分からないが、彼女なりに思うこともあるのだろう。

 そんなクールの背後から、少女が現れた。おそらく、パーラという少女だ。

 金髪のロングヘア、猫耳、赤い目、ルーシやキャメルよりやや高い身長。愛嬌たっぷりの表情。そんな子だ。

 

「キャメルちゃん!」

「あ、ええ。パーラ」

「キャメルちゃんがいるってクールさんが言うから、着いてきちゃった! せっかくデパートにいるんだから、アニメグッズ買いに行こうよ! ……あれ?」

 

 パーラは、ルーシを眼中に捉える。

 

「そこの子、誰?」

 

 ルーシは適当に返事する。

 

「ええ、ルーシ・レイノルズと申します」

「えーっ!? キャメルちゃんの妹?」

「いや、歳は6歳くらいしか変わらないですが、叔母と姪の関係です」

「ってことは、クールさんの娘さん?」

「そうですね」

 

 16歳か17歳のガキ相手に、へりくだるのも一興なのかもしれない。ルーシは薄く邪気のない笑みを見せ、そしてパーラの目をしっかり見据える。

 

「んー、良く分かんね! でも、ふたつ言って良い?」

「なんですか?」

「敬語使わないでよ! 私、誰かから敬語使われるの、苦手だし! あと、ルーちゃんって呼んで良い?」

「ああ、うん。良いよ」ぶっきらぼうだ。

「じゃあ、ルーちゃん! さっきメントちゃんって友だちからさ、銀髪の幼女にぶっ飛ばされたって訊いたんだけど、それってルーちゃんがやったの?」

「まあ、正当防衛ってヤツだよ」

「だったら良いや! メントちゃんも短気だからさ〜。すぐヒトに喧嘩売るんだよね〜。いつか痛い目見る、というか、いつも痛い目見てるのに、学習しないんだから!」

(友だちなんだよな? なんでそんなフランクにけなせるんだ?)

「どうしたの~?」

「いや、友だちは大事にしたほうが──」

「大事にしてるよ〜。メントちゃん、私がいなきゃ駄目なんだから! ところでさ、ルーちゃん」

「なに?」

「せっかく可愛いんだから、もっと派手な服着てみたら? なんなら私といっしょに服買おうよ!」

 

 会話が苦手なのだな、とルーシは心の中で毒づく。まあ、きょうデパートに来たのは服を買うためだし、パーラの私服は高校生相応のおしゃれさを持っている。ここは彼女に着いていくのが賢明かもしれない。

 

「そうしようか。ああ、お父さん。この学生服で良いや。ここの部分が焼かれちゃっているからさ」

「あたぼうだ。元の服に着替え直しな」

「うん、ありがとう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ