表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になって溺愛されるのなら  作者: ヒガシヤマ・スバル
We Wii Rock You-馬鹿騒ぎの始まり-

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/18

014 魂と肉体

「キャメル・レイノルズという役割……」

「そう。所詮10歳児の戯言だと思ってくれても結構ですが、私はそう思っています」

 

 どう考えても10歳児の言うことではないが、キャメルは反論できない。それがすべてだろう。

 と、話し込んでいれば、

 

「おお、待たせたな」

 

 クール・レイノルズがやってきた。キャメルは彼を一瞥するが、やがて目をそらしてしまう。ルーシが語ったことをどう捉えたのかは分からないが、彼女なりに思うこともあるのだろう。

 そんなクールの背後から、少女が現れた。おそらく、パーラという少女だ。

 金髪のロングヘア、猫耳、赤い目、ルーシやキャメルよりやや高い身長。愛嬌たっぷりの表情。そんな子だ。

 

「キャメルちゃん!」

「あ、ええ。パーラ」

「キャメルちゃんがいるってクールさんが言うから、着いてきちゃった! せっかくデパートにいるんだから、アニメグッズ買いに行こうよ! ……あれ?」

 

 パーラは、ルーシを眼中に捉える。

 

「そこの子、誰?」

 

 ルーシは適当に返事する。

 

「ええ、ルーシ・レイノルズと申します」

「えーっ!? キャメルちゃんの妹?」

「いや、歳は6歳くらいしか変わらないですが、叔母と姪の関係です」

「ってことは、クールさんの娘さん?」

「そうですね」

 

 16歳か17歳のガキ相手に、へりくだるのも一興なのかもしれない。ルーシは薄く邪気のない笑みを見せ、そしてパーラの目をしっかり見据える。

 

「んー、良く分かんね! でも、ふたつ言って良い?」

「なんですか?」

「敬語使わないでよ! 私、誰かから敬語使われるの、苦手だし! あと、ルーちゃんって呼んで良い?」

「ああ、うん。良いよ」ぶっきらぼうだ。

「じゃあ、ルーちゃん! さっきメントちゃんって友だちからさ、銀髪の幼女にぶっ飛ばされたって訊いたんだけど、それってルーちゃんがやったの?」

「まあ、正当防衛ってヤツだよ」

「だったら良いや! メントちゃんも短気だからさ〜。すぐヒトに喧嘩売るんだよね〜。いつか痛い目見る、というか、いつも痛い目見てるのに、学習しないんだから!」

(友だちなんだよな? なんでそんなフランクにけなせるんだ?)

「どうしたの~?」

「いや、友だちは大事にしたほうが──」

「大事にしてるよ〜。メントちゃん、私がいなきゃ駄目なんだから! ところでさ、ルーちゃん」

「なに?」

「せっかく可愛いんだから、もっと派手な服着てみたら? なんなら私といっしょに服買おうよ!」

 

 会話が苦手なのだな、とルーシは心の中で毒づく。まあ、きょうデパートに来たのは服を買うためだし、パーラの私服は高校生相応のおしゃれさを持っている。ここは彼女に着いていくのが賢明かもしれない。

 

「そうしようか。ああ、お父さん。この学生服で良いや。ここの部分が焼かれちゃっているからさ」

「あたぼうだ。元の服に着替え直しな」

「うん、ありがとう」

 

 そんなわけで、ルーシとパーラ、ついでにキャメルとともに洋服を買いに行く。

 

(女物の服なんて良く分からねェからな……。コイツらの意見を参考にしつつ、露出が少なくて機能性の高いものを買うか)

 

 なにせ、元は男性だ。女性用の服や、ブラジャーやらその他諸々なんて知ったことではない。しかしそれを悟られても、良いことはない。ルーシの演技力が光る場面がやってきた。

 

「ルーちゃんさ、どんな服が良いとか決まってるの?」

 

 パーラがそんな質問をしてきた。ルーシは頭をかしげ、考えるふりをする。

 

「まだ決まっていないな。父からクレジットカードは借りたし、買い物はできるけど」

「じゃあ、私がコーディネートするよ!」

「なら、私もしてみようかしら」

 

 キャメルが割り込んできた。彼女流の子どもっぽい服を買うつもりはないが、まあ参考にするのも悪くないだろう。

 と、ここでルーシはふと思う。

 

(子どもっぽい服?  25歳の野郎が、幼女の皮被っているだけなんだぞ? 別に、服なんてなんでも良いじゃないかよ)

 

 やはり葛藤がある。それを解消できるかは分からないが、ルーシはふたりへ訊いてみる。

 

「ねえ、お二方」

「な~に?」

「なにかしら?」

「仮に、肉体と魂が一致しない場合、どうなると思う? 肉体に魂が追いつくのか、それとも肉体は魂の器にしか過ぎないのか」

 

 明らかに10歳の幼女が尋ねることではないが、同時にただの10歳児だと感じられても困るので、ルーシはそんな質問をしてみた。

 キャメルとパーラは明らかに悩んでいる様子だった。突然、こんな質問されて悩まないほうがどうかしている。

 そんな中、先に返事したのは、キャメルだった。

 

「そうね……。私の意見だけど、魂と肉体は別物だと思うわ。いくら肉体が入れ替わっても、魂は朽ちない。それに、魂と魔力を混ぜて起こす魔術もあるもの」

「なるほど。キャメルお姉ちゃんらしい意見だと思います。パーラはどう思う?」

「んー」

「別に直感で良いよ。あとから意見変えても良いし」

「んじゃあ、私はキャメルちゃんの逆! 確かに魂と魔力を混ぜる術式もあるらしいけど、それと肉体は関係ないっしょ! だってさ、毎日魂とは違う身体を見るわけじゃん? そしたらさ、いつか身体が魂と同化すると思う!」

 

 意見が見事に割れた。突発的に尋ねたので、ここまできれいな答えが返ってくるとは思ってもなかったが、どうやらこのふたり、なかなか頭がよろしいようだ。

 

「じゃあさ、ルーちゃんはどっちだと思う?」

「私?」

「言い出しっぺが、なにも考えてないことないでしょ!」

 

 パーラはあいも変わらず、満面の笑みでそう訊いてくる。

 

「そうだな……。今のところ、いつしか魂と肉体は同化すると思っているかね」

「私といっしょじゃん! いえーい!」

 

 ハイタッチを求められたので、とりあえず返してみる。

 そんな話をしているうちに、服屋の前へ着いた。

 そして、ルーシとキャメルは咄嗟に身構えた。彼女たちはパーラへ、「下がっていて」とだけ伝える。

 

「え、なんで?」

「店内、良く見てみろ。店中のヒトが伏せている」

 

 強盗事件である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ