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14 事件解決

数日後、私とセリーヌ様はお城へと来ていた。

 ソフィアは毒薬を自ら飲んで死のうとしたが発見が早かったのと量が少なかったために一命を取り留め城の病院で入院をしている。


「私が寝ている間に全てが終わっていたなんて驚きだわ」


 セリーヌ様は肌艶も良くなっており元気を取り戻しているようだ。

 私の隣を歩きながらずっと話している。


「大変だったんですよ。別荘に行ってからもハインリッヒ様と仲を深めようと思っていましたがそんな暇がないぐらい色々事件が起こって。セドリックさんの事聞きました?」


 私が聞くとセリーヌ様は美しい顔を歪めた。


「聞いたわ。私が嫁ぐ前から二重帳簿は作られていたようだけれど、まさか私のお金まで使い込んでいるなんて信じられないわあの男。地獄に堕ちればいいのに」


 私とセリーヌ様がソフィアの入院している病棟までいくとドアの前にハインリッヒ様と団長が立っていた。

 私たちの姿を見ると団長が敬礼をする。


「わざわざご足労ありがとうございます。セリーヌ様」


「それで、犯人は本当にソフィアなの?」


 セリーヌ様が聞くと団長は頷く。


「昨日から容態が安定しましたので調書をとっているんですが、間違いないようです。話を聞きますか?」


「大体は聞いたけれど、本人からも聞きたいわ。入ってもいいかしら?」


 セリーヌ様が聞くと騎士団長は頷いてドアを開けてくれた。

 迷いなく病室へ入っていくセリーヌ様。

 私も入っていいのだろうかと躊躇しているとハインリッヒ様に背中押される。


「君も話を聞きたいんだろう?」

「まぁ、そうですね」


 頷いてハインリッヒ様に背中を押されながら私も病室へと入った。

 簡素な病室はベッドと床頭台しか置かれておらず窓には鉄格子がはめられている。

 セリーヌ様の姿を見るとベッドに横なっていたソフィアが弱々しく起き上がった。


「あぁ、辛いなら寝たままでいいわよ」


 セリーヌ様が言うがソフィアは首を振ってベッドの上で頭を下げた。


「申し訳ございませんでした。全て私がやったことに間違いありません」


 頭を下げたままのソフィアにセリーヌ様は一つ息を吐く。


「大体の話は聞いたけれど、あなたの口からも聞かせちょうだい。辛いことを聞くわよ、クロードにあなたは手籠にされていたの?」


 はっきりと聞くセリーヌ様にソフィアは弱々しく首を振った。


「いいえ。それはありませんでした。侍女長が目を光らせていたので使用人の中で手を出された人はいないと思っています」


「そう、それならまだよかったわ。私の管理不足でもあるからね」


 セリーヌ様は少しだけホッとした様子だ。

 私は眉を顰めて隣に立っているハインリッヒ様に囁いた。


「私の予想と違います。ソフィア様は手籠にされたと思っていました」

「……だから君は名探偵ではないんだよ」


 ハインリッヒ様も囁く。


「どうしてクロードを殺そうと思ったの?あんな奴殺したっていいことないわよ」


 セリーヌ様が言うとソフィアはボロボロと涙をこぼした。


「お金を借りていたのです。我が家は貧しくて母と弟が病弱で、どうしても医者にかかるお金が必要だったんです。無担保で貸してくれると旦那様はおっしゃってくださいましたが……」


「なるほど。お金を借りたはいいけれど、そのせいで嫌なことをされそうになったのね」


 セリーヌ様が言うとソフィアは泣きながら頷いた。


「お金も返すことができないし、お屋敷に居たら手籠にされるのではないかと言う恐怖で……」


「殺すしかないと思ったわけね。バカね、私に相談すればよかったのよ。あのバカよりは頼りになるわよ」


 セリーヌ様が言うとソフィアはますます泣き出す。


「旦那様が居なくなればどうにかなると思ったんです。見つからないためにはお茶に毒を入れればいいと思ったんです」


 ソフィアの話を聞いてハインリッヒ様は納得したように頷く。


「なるほど。毒なんてそうそう手に入らないからね。その辺に生えているスズランを使ったのか……」


「はい。死ねばいいとは思いましたが、効果は半信半疑でした」


 頷くソフィアにハインリッヒ様は納得できないように首を傾げる。


「僕が見た時、君は挙動不審だった。あれはエミリアに紅茶を注いだポットは毒入りだったと言うことか?」

 

「はい。誰にもお茶を差し上げるつもりはございませんでした。たまたまお嬢様のお茶が空になり、断ると変に思われると思って注いでしまいました。それでもエミリア様は普通にしていらしたのでやはりスズランなんかでは死なないのだと安心したのです」


 ソフィアの告白に私は固まった。


「ん?まかさと思うんですけれど、クロード伯爵と同じものを私は飲んだんですか?」


「はい」


 ソフィアが頷いたのを見て私はお腹に手を当てる。


「なんだかお腹が痛くなってきた気がするわ」


「気のせいだろう。もうとっくに毒なら効いているよ」


 ハインリッヒ様は冷たく言った。

 気のせいと言われれば気のせいのような気がするが、同じものを飲んでクロード伯爵は死んで私は生きていた。

 今更ながら背筋がゾッとする。


 セリーヌ様は長いため息をついてソフィアを見つめた。


「起きてしまったことは仕方ないけれど、私に相談をして欲しかったわ。貴方はちゃんと罪を償って田舎に帰りなさい」


「はい」


 セリーヌ様の言葉にソフィアは重々しく頷いた。


「クロードは殺されても仕方ない人だったけれど、それでもやってはいけないこともあるのよ。……ソフィアの田舎のお母様と弟さんは私が医者を手配するから心配しないで。それからクロードから借りたと言うお金も気にしないでちょうだい。どうせ違法だから」


 キッパリと言うセリーヌ様にソフィアは首を振った。


「そこまでしていただくわけには、お金は実際借りていますし……」


「私がいいと言ったらいいの!こう見えて私はちゃんと事業をして稼いでいますからね。信じたくないけれど私の夫だった人が悪いことをしたのだから私の責任でもあるの、私にも償わせてちょうだい」


 凛として言うセリーヌ様がかっこよく見えて私は思わず手を叩いた。


「素晴らしい」

 

 私に釣られて団長も手を叩く。


「女の中の女ですな。と、言うことで、一件落着ですな」


 団長の言葉でその場は締めくくられた。



 

 

 

 

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