条件
……何時間気絶していただろう。俺は夜の美術館の屋根の上にいたところ、民間の警備員に捕まった。……怪盗Fox。それが俺の名前だ。
「うん……」
目を覚ますと、俺は腕を拘束され、イスに座らされていた。
「お目覚めかな? Foxくん」
「お前……ただの警備員じゃねえな? 麻酔銃を撃ち込みやがって……」
「なんだってよかろう? 私はスリルが好きでね。君を待っていたのだよ」
「俺を? ハッ、何言ってやがる。警察に連絡しねえのか?」
「言っただろう? 私はスリル……まぁ、面白いことが好きなのだよ。君を捕まえて牢屋にぶち込むのは簡単だが、面白みがない」
「何が言いたい?」
「取り引きと行こう」
警備員は、俺の目の前にスマホの画面を向ける。それには記号が書かれていた。
「……なんだ? これ」
「ある殺人犯の残したメッセージだよ。これを解いてくれたら、解放しよう。ね? プロフェッサー」
「……俺の正体、バレてるのかよ」
プロフェッサー。俺は大学で考古学を教えていた。そこに目をつけていたってことか。
「さ、私の言うとおり、暗号を解くか? さもなければ……」
俺はスマホに唾を飛ばして、言った。
「上等。解いてやるよ。俺もあんたと一緒だからな」
「どこがだい?」
「スリルが好き。謎が好き。だから怪盗Foxなんてやってたんだよ」
「気が合うようだね」
視線を交えると、警備員は俺の拘束を解いた。俺は解放されると、手首をぐるぐる回した。
「さて、紙とペンをくれるか? 解いてやろじゃねーか」
そんな俺の顔を見た警備員は、興奮したように頬を赤く染めた。




