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それでも地球はまわってる  作者: 浅野エミイ


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 進水後、数日。昨日はカレーだったから、土曜日か。毎週だったら少しばかり飽きるが、わがままを言う権利はない。それより日付感覚が鈍るほうが怖い。


 食事をして、一時間。無線が入った。エコーが、数メートル先を示す。鯨か? イルカか? この辺はイルカではないか。海流が違う。だけど、鯨だとしたら迷子かもしれない。


「一度浮上するか」


 地上にもそう伝えて、日本領海内にゆっくり上がる。どうやら今日の天気は曇り空だ。


 外の様子をうかがう。鯨らしきものはいないがーー。


ドシンッ! 海上に重低音が鳴り響く。水面が揺れ、驚く船員たちだが、すぐに地上の状況をたずねる、


「えっ、ライブ? この海域にまで響いてるんですが」


 話を聞くと、港の公園でバンドのライブが行われている模様だ。


「どうします、これ。もしかしたら魚や哺乳類が道に迷いますよ……」


 俺にうな垂れる後輩。そうだな、とりあえず苦渋の決断だ。


「仕方ない。ライブ中止を勧告するしかない」


 マイクで地上の管制官に告げる。


『直ちに音楽ライブを中止せよ。繰り返す。ライブを中止せよ』


 プォーッ! 汽笛を鳴らすと、海上の船舶も呼応する。しばらく待つと、魚の流れが変わった。ライブ前の、正しい海路を泳ぎ始める。


「……まさか、音楽で海路が変わってしまうとはな」


 甲板に上がり、夜風にあたる。何とかひと段落だがーーきらりと星が流れ落ちて行く。

 のんびりノスタルジーに浸っているわけにはいかない。流れ星も、もしかしたら地上の音波により、座標が変わっているかも知れないからな。


「至急、今横浜上空の星の軌道を調べてくれ」

「……イェッサー」


 もう一度、夜空を見上げて深呼吸をする。音響やエコーが広い海にも関係するなんて。これだから海に出ているときの俺たちは、気を抜けないのだ。

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