唯一無二
SF小説大賞の一次審査の結果が出た。僕は直接には関係していないが、文学部の生徒の何人かは応募したらしい。
いつものように昼休み。噴水でコンビニのおにぎりを食べていたとき。文学部の教授が僕に話しかけてきた。
「いやぁ、参ってしまいますな。AIを使って書いた小説ばかりで」
「ははっ、僕は面白かったですよ? あの噂」
僕はおにぎりにかぶりつきながら、笑みを浮かべる。
SF小説大賞ーーAIの使用を解禁したのはいいが、似たようなものばかりだったらしい。しかもそれ以外にも問題があった。どうやら噂だと、僕の500以上あるネットの短編小説を盗作した輩が多かったとのことだ。
あーあ、バレバレなんだよ。僕が黙っていると思うなら舐められている。僕は大賞に出していないから、バレないと思うか? ってか、僕はいわゆる『ボーダー』だ。僕が基準なので、受賞するには僕より面白くなければならない。ましてやAIを使う? 馬鹿げている。
「僕を受賞させればいいだけなんですけどね」
笑いながらお茶に口をつける。僕は応募してないが、ここまで盗作してるならさっさと僕を認めればいい。そんな簡単なことができないなんて、日本の文壇は終わっている。
食事が済んだ僕は、のんびりと背伸びをする。
「フレキシブルになればいいのに……」
「いやはや、その通りですな」
お互い視線を合わせると、教授も大きくうなづいた。




