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それぞれの過去です!!

 ギルドマスターとの話の後、私はラスボスの城で一人悩んでいた。

 5階層のダンジョン。誰も1階層をクリア出来ない、それに、1階層のボスの情報も分からない。

 分からないものに対策の立てようがない。もし、そのボスが即死の魔法を使ってきたら......そういう可能性だけで、どれ程の対策が必要なのだろう。


 しかも、今回は私一人だけのダンジョン攻略だ。ローエンからのサポートも無しで、攻略しなければいけない。


 「......難しいな」


 ため息と共に、そんな言葉が出てしまう。


 「マナ様~。何かお困りですか~?」

 「主様よ!! 我がその助けになるぞォォ!!」


 私を気にかけてくれたのか、シーナとデリドラが声を掛けてくれる。


 「大丈夫じゃないけど、大丈夫。これは私一人の試練だから......それより、他の皆は?」

 「はい~。ローエンはエリックを探しに行くと言って~。リッカとセツナは大切な用事があると言って~どこかに行ってしまいました~」

 「ローエンはともかく、リッカとセツナの大切な用事?」

 「私も~聞いて見たのですが~。どうやら大切な人の所に行くとかで~詳しくは聞いて無いです~」


 リッカとセツナの大切な人? まさか、恋人とかじゃないよね......お母さんとかお父さんの所かな。

 

 ん? ちょっと待って。お母さんとお父さん(・・・・・・・・・)

 私、リッカとセツナの両親を知らない、というか皆の昔の事を知らない。


 カナさんと皆が出会った切っ掛けとか、なんでラスボスと共に居るのかとか、過去の事とか、家族とか......


 「ねぇ、シーナ」

 「はい~?」

 「シーナには、お父さんとかお母さんは居る?」


 私のそんな質問に、シーナの顔が少し悲しそうに変わる。そして、その隣にいたデリドラもなんか、変な空気を(かも)し出している。


 「ご、ごめんシーナ。変な質問だったよね」

 「いえ~。いいのですよ~。マナ様は、私達の事を知る必要はあると思うので~」


 それぞれの人物を、私はゲームのキャラクターとして思っていた私にとって、シーナの話は、この世界の真実を知る切っ掛けになるかも知れない。


 「私の母は、普通の人間でした~。そして、父は~何と言えばいいのでしょう~。簡単に言えば~犯罪を犯した天使。堕天使でした~」


 つまりは、シーナは人間と堕天使の子供!?

 シーナの容姿で一番目立つその黒い翼は......堕天使の翼。


 「人間と天使という禁断の恋をした両親の間に~私が生まれたのです~。生まれた時に私はこんな姿でしたし、なぜかレベルが高かったんです~。勿論そのせいで、人間からも天使からも"忌み子"として~嫌われました。この黒い翼が不吉だとか~犯罪者の印だとか~」


 そこまで話たところで、シーナの目が少し赤くなってきているのが見えた。少し潤んできたその瞳には、これまでの辛さがどれ程のものなのかを感じさせた。


 「だけど~。何よりも。両親に"化け物"とか......"全てお前のせいだ"と殴られた時は~何て言えばいいでしょう......胸に大きな穴が開いたみたいになって。その後の事はよく覚えてなかったですが~。その時に無意識に~私の能力が発動していたみたいで~......私はその時、確か「お前らなんて私の親じゃない!! そんな人死んじゃえ!!」って言ったんです~」


 え? それじゃあ。シーナの両親は......シーナ自身が......


 「だけど、その時~。カナ様が現れたんです~。両親に掛かった私の能力を消して~。自殺しようとする私の両親を止めたのです~。そして、これだけははっきり覚えてます。カナ様が私に、「今日から、お前は私の家族だ」って手を差し伸べてくれたのです~。それから私は~カナ様の家族になって、今ここにいるので~」


 カナさん、貴方って人は......


 「だからマナ様~。私にはお父さんお母さんは居ませんが~。大切な家族は居るんです~。その為にも、早くカナ様を救いだして、皆で~一緒にどこかに遊びに行きましょう~家族皆で~」

 「うん。そうだね」


 私も、シーナにとっては家族の一員であると、言ってもらえた事は嬉しい。

 シーナの夢を叶えるためにも早く、カナさんをミーニャから救わないと......

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