宴会
その夜、村の空き地で宴が行われる事になった。何やら人が妙に多い。
東村だけでなく、他の村からも参加しているようだ。
宴が始まり暫く経った頃、友人と話をしていた。
私の友人である嘉兵衛と佐助は、私と同じ小作農の家柄で小さい頃から仲が良かった。
嘉兵衛は背が高く筋肉質で、力仕事で誰かに遅れを取ったことはまず無かった。耳まで髭が生えおり、とても自分と同い年だとは思えない。
「まさか、嘉助にこんな才能があってなんてな。」
嘉兵衛は顔を赤くしながら、瓢箪を飲み干した。嘉兵衛はもう一本だけと言いながら、既に四本飲み干している。
佐助が言った。
「自分は、とてもじゃ無いが合戦なんて…」
佐助は背が低く力が弱いが、頭が良い。この村では、唯一文字が読める。
色白で、目鼻立ちがはっきりとしており、女と見間違われるほどの美貌である。
酒を飲み、酔いが回ってきた頃、背後から声をかけられた。
誰かと思い、振り返ると春だった。
「あっ、また会いましたね。」
嘉兵衛と佐助は、目を丸くしていた。
「私もご一緒しても?」
「あぁ、済まないが―――」
そう言いかけると、嘉兵衛が私の口元を押さえた。二人は私を一目に付かない場所に連れて行くと、口々に非難した。
「なんで断わんだよ。あんな美人な人と一緒に酒が飲めるってゆうのに!」
「そうだそうだ!」
「わ、分かった。分かったから、離してくれ。」
三人は元の席に戻ると、春はまだそこにいた。
私が是とする旨を伝えようとすると、春は笑い出した。どうやらさっきの話が聞こえていたようだ。春は、瓢箪を手に取ると一気に飲み干した。嘉兵衛が唖然としていると、そんな事はお構いなしにどんどん飲み干していく。嘉兵衛も負けじと酒をどんどん飲んでいる。
私の前に二人の酔っぱらいがいた。何を言っているのかは分からない。しかし、楽しそうなのは事実である。
「あええ〜おいいさん全然おんでないじゃん〜」
春が泥酔しながら私の盃に酒を注いだ。私が飲むのを躊躇していると、嘉兵衛が無理矢理押し込んできた。
「フガッ、ボヘッ、ボヘッ、ブヘェ!!」
私がむせ返るのには構わず、私に瓢箪を咥えさせて一気に流し込んできた。
それからの事はあまり覚えていない。
気が付くと、家の戸の前で倒れていた。
佐助に聞くところによると、嘉兵衛が全裸で踊り始めたり、春が酒を浴びたりと正に地獄の様な光景だったという。
翌日、村中からうめき声が聞こえて来たのは言うまでもない。
唯一体調が悪くない佐助が戸口を叩いて怒っていたが、そんな事はどうでも良い。
今は、ただ頭が痛い。
昼時になってやっと起きられるようになった。井戸に水を汲みに行ったが、頭が痛くて途中で休まなければとてもじゃないが体が持たなかった。
やっと、家についたと思ったらもう日暮であった。
夕飯を食べ、床についた。
私は決心した。宴にはもう参加しない。絶対に。




