第9話 初めての依頼
第9話 初めての依頼
ドラゴンに関する一連の騒動の後、アンドレイはより現実的な行動に集中することにした。
彼はギルドの依頼掲示板へ向かい、この世界で初めて正式な任務を選び始めた。
ほとんどの依頼は高いランクを必要としないものだった。
希少な薬草の採取、小規模な魔物の討伐、商隊の護衛——どれも平凡な内容で、彼はしばらくは安全に活動できると判断した。
その中から彼は二つの依頼を選んだ。希少な薬草の採取と、地中のワームの討伐だ。
選択を確定すると、魔法の印が反応し、依頼は正式に受理された。
街の門を出ると、彼はファミリアである黒い狼を召喚した。
シルヴァナの白い狼と同種だが、こちらは黒い体毛を持っている。
「ようこそ、ご主人」
「またか?」とアンドレイは眉を上げた。
「はい。白い狼に乗せられた時も私は呼ばれました」
「いや、その時は白い狼だったはずだが?」
狼は一瞬考え込むように沈黙した。
「申し訳ありませんが、意味が理解できません」
説明する時間は無駄だと判断し、アンドレイは目的を告げた。
「東の森へ行く。ワームの討伐と薬草採取だ」
狼は頷き、全速力で走り出した。
街から二十キロほど離れた頃、アンドレイは実験として別アバターを呼び出した。
そこに現れたのはドライアドのリラだった。
淡い緑の髪を持つ美しい少女が現れ、自然の気配が周囲に満ちる。
それと同時に、狼は白い姿へと変化した。
「面白いな……」アンドレイは思った。
「ファミリアは全アバターと強くリンクしている」
リラは植物と自然に関する能力を発揮し、必要な薬草をすぐに発見した。
希少な素材も次々とインベントリへ収納される。
「インベントリの制限はどうなっている?」
彼は内心で疑問を抱いた。ゲーム時代とは違い、明確な上限が存在しないようだった。
やがて森の奥で目的地に到着する。
そこには地中ワームの巣があった。
アンドレイは偵察のため、今度は二羽のオウムを召喚した。
周辺を確認した結果、近くに村があることも判明した。
危険を避けるため、彼はエルフの姿——シルヴァナへと切り替えた。
地面には直径20センチほどの穴が無数に開いていた。
しかし次の瞬間、大地が揺れる。
ワームが出現した。その太さは1.5メートルを超えていた。
「こんな巨体が、あの細い穴に?」
驚く間もなく、戦闘が始まる。
シルヴァナは攻撃を回避し、正確な一撃を放つが、ワームはすぐに地中へ逃げた。
「厄介だな……」
彼は状況を分析し、今度はフレイヤへと切り替える。火ではなく水が有効だと判断したのだ。
フレイヤは魔法で周囲をスキャンする。結果、敵は一体のみだった。
「村は無事ね」
ワームの特殊能力も判明した。
地中では細く伸びて移動し、地上では巨大な肉体として活動していた。
フレイヤは大量の水を地中へ流し込み、ワームを強制的に地上へ追い出した。
逃げ場を失った敵が姿を現す。
すぐにアンドレイは再びシルヴァナへと戻る。
その動きは速く、正確だった。
一瞬の斬撃。ワームの首が切り落とされる。
静寂が戻る。
初めての依頼は完了した。




