第10話 予期せぬ出会い
第10話 予期せぬ出会い
アンドレイはアサシンのアバター「カイラ」の姿で村へ入った。
討伐したワームの首を村人たちに見せると、彼らは一斉に歓喜した。
しかし長居はせず、余計な注目を避けるため、すぐに街へ戻ることにした。
森の小道を進み、主要街道を避けながら移動していた途中、彼とファミリアは突然、狼の群れと遭遇した。
一瞬、狩るべきかと考えたアンドレイだったが、その時、相棒の声が響いた。
「ご主人、狼を殺さないでください、お願いします!」
彼は小さく笑った。
「そうだったな。お前も狼だったな。必要なければ戦わない。人を襲わない限りは放置だ」
街へ近づくにつれ、アンドレイは再びカイラの姿に戻った。
そして驚くべき光景を目にする。
城壁の約1キロ手前で、「ペガサス隊」が狼と戦っていたのだ。
「悪いが、今回は助けない」とアンドレイはファミリアに告げた。
狼も理解していた。野生の獣が人里に近づきすぎているのだ。
そこでファミリアは特殊能力《恐怖の本能》を発動した。
古代の威圧を感じた狼たちは一斉に怯え、森の奥へと逃げ去った。
戦いは終わり、「ペガサス隊」は一息ついた。
アンドレイは彼らに近づき、改めて軽く挨拶を交わした。
カイラの姿では気づかれないと分かっていたが、それでも少し会話をすることにした。
そして彼はふと疑問を口にした。
「ところで、どうしてペガサスに乗って飛ばないんですか?」
隊長は苦笑した。
「初心者か?ペガサスは地上移動は得意だが、重い荷物を乗せて長距離飛行は別問題だ。飛ぶのは緊急時だけだ」
「なるほど、ありがとうございます」
アンドレイは静かに納得した。
(ゲームではそんな制限はなかったな……)
街に戻った彼は宿で食事を取り、その後ギルドへ向かった。
ワーム討伐の報酬を受け取ると、受付嬢は驚いた表情を浮かべた。
「こんなに早く終わらせるなんて……!」
「まだ時間がありますから、次の依頼を受けようと思います」
「無理はしない方がいいですよ。あのワームはかなり危険でしたから」
彼は軽く微笑んだ。彼にとっては準備運動に過ぎなかった。
「それなら、ダンジョンへ行ってみてはどうですか?」と受付嬢が提案した。
アンドレイは一瞬、動きを止めた。
ダンジョン——ゲームでは最も危険であり、同時に最も価値ある場所。
もしこの世界にも存在するなら、力を試すには最適だ。
「ダンジョンか……」
彼は静かに心を決めた。
その頃、街では不穏な噂が広まり始めていた。
新人冒険者の失踪が相次ぎ、犠牲者の数は増加していた。
一部では「街に呪いがかけられている」とまで囁かれている。
ギルド内の空気も重くなり、経験豊富な冒険者たちでさえ原因を掴めずにいた。
だが、その誰もがまだ知らなかった。
この異変の先に、さらなる深い謎が待ち受けていることを。




