第37章
第37章
主人公は、エルフのアーカイブに潜入できなかったことを悔やんでいた。
今、彼の前にはミルタナ王国の最後の目的地――首都オスコルが残されている。
この国は、アンドレイが旅を始めたエレノール王国の南に位置していた。
国内では内戦が激化していた。南部では獣人たちが独立国家としての権利を主張している。
報道から明らかなのは一つ――王国はすでに後退を余儀なくされているということだった。
獣人たちは自らを一つの独立した国家と認識しており、誰もがそれが現実になると理解していた。
主人公の向かう先は、この世界でも最も奇妙で謎に満ちた場所だった。
あの巨大な裂け目さえも超えるほど、彼を驚かせる可能性がある場所。
これから待つ試練を予感し、彼は前へと進む。軽い緊張と高揚感が入り混じっていた。
今回はエルフの少女の姿を使うことは選ばなかった――試すべきことがあまりにも多すぎるためだ。
代わりにアンドレイはアウロラを選んだ。
身長ほぼ2メートル、金色の髪を持つ威厳ある戦士。その姿は圧倒的な存在感と信頼感を放っていた。
世界でも屈指の危険なダンジョンへ向かうには、十分すぎるほどの適応形態だった。
最初に彼が向かったのは、この世界の代表的な遺跡――ピラミッドだった。
到着した瞬間、彼は息を呑む。目の前には巨大で荘厳な建造物がそびえ立っていた。
感嘆を抑えることができない。彼は重装の魔獣に跨り、そのまま上空へと舞い上がった。
他の者たちも自らの使い魔で空を飛び、ピラミッドを眺めていたが、
アンドレイの魔獣はあまりにも異質で、周囲に一瞬で緊張と恐怖を走らせた。
彼は周囲の反応にも気づかず、まるで古代エジプトを見ているかのようにピラミッドの周囲を飛ぶ。
「……これは、本当に信じられない」――そう心の中で呟いた。
唇を軽く噛み、思わず声に出す。
「……一体誰がこれを作った?異世界人か?前の世界のように……でも、何のために?」
さらに奇妙なのは、ピラミッドから魔力や特異なエネルギーの痕跡が一切感じられないことだった。
ただの滑らかな石造りの建造物。まるで新しいかのように見えるが、
実際には何千年存在しているのか、誰も知らない。
エルフでさえ建造時期を知らない。記録にも起源は残されておらず、謎は完全に封じられていた。
アンドレイは風を感じながらゆっくりとピラミッドを周回し、その表面を観察する。
魔法の試行も行った――光の魔法、そして微細なオーラ操作。しかし反応はない。
彼は眉をひそめる。
「魔力反応なし……結界もなし……どういうことだ?」
慎重に地上へ降り、ピラミッドの基部へと歩み寄る。
磨き上げられた表面は太陽光を反射し、まるで内側から輝いているようだった。
「さて……」と彼は呟く。「この壁の正体を見てみよう」
入口へと歩を進める。そこには取っ手もない巨大な扉があり、
見る角度によって模様がわずかに変化する精緻な彫刻が施されていた。
周囲には観光客や商人、そして冒険者たちが集まっている。
アンドレイはその様子を観察した。人々は騒ぎ、ざわめいている。
ある若い冒険者が叫びながら壁を殴った。しかし石は微動だにしなかった。
「ここは聖域ではないのか?」と彼は小さく呟いた。
「まあな」通りすがりの者が笑う。「このピラミッドに傷をつけることなんて誰にもできないさ」
次の瞬間、屈強な戦士が巨大なハンマーを振り下ろした。
だが石は揺るがず、音だけが空しく反響する。
「いつか真の戦士なら中に入れるだろう」誰かが意味深に呟いた。
アンドレイはそれを見て軽く眉を上げる。
確かにこの壁は異常だ――世界最高の戦士でも突破できない。
だが、それ以上に人々の“当然のように不可能と受け入れている態度”が彼の興味を引いた。
彼はインベントリから最上級の戦鎚を取り出す。
安全のため観客から距離を取り、集中した。
「どれほど堅いのか、確かめてやる」
全力で振り下ろす。
轟音。
衝撃と同時に戦鎚は粉々に砕け散った。
しかし――壁は無傷だった。
傷ひとつなく、まるで嘲笑うかのようにそこに存在していた。
観客は凍りつく。恐怖と驚愕が入り混じる。
アンドレイは動じず、静かに頷いた。
「……面白い」
そう呟きながら、すでに次の手を考え始めていた。




