第16章 武器
第16章 武器
10人分の力の一部だけを使い、アンドレイは深く息を吐いた。
「さすがに……やりすぎかもしれないな」
彼は新たなキャラクター、ナナを選択する。巨大な刀を持つ侍の少女だ。指揮に集中しながら、戦場全体を見渡した。
ナナは刀を掲げ、澄んだ強い声で仲間たちに呼びかけた。
「みんな、聞いて! 今、私たちは闇に立ち向かうためにここにいる!」
「数や力に怯えないで! 私たちは一つの軍勢、一人ひとりが力の一部よ!」
「互いを守り、冷静に攻めて、必ず勝つ!」
「行くわよ、勝利へ!」
戦いが始まった。
前線には重装部隊――タイタン、ゴーレム、鎧を纏った魔獣たちが立ち、最初の衝撃を受け止める。敵の暗黒騎士を容赦なく踏み潰していく。
側面では高速部隊――キメラや捕食系の魔獣が動く。敵の陣形を崩し、混乱を広げていった。
空では別の戦いが繰り広げられていた。ペガサス、飛行獣、鳥型の使い魔たちが空中の騎士を迎撃し、制空権を奪っていく。
妖精たちは後方支援に徹し、味方の攻撃力・防御力・持久力を強化する魔法を展開した。
中央ではナナの姿となったアンドレイが全体を指揮していた。各部隊は一つの機械のように連動して動いている。
暗黒騎士たちは波のように押し寄せてくる。しかし、もはやこれは単なる戦闘ではなかった。二つの軍勢の衝突だった。
昨日の時点で分かっていたことだ。戦いを感知すれば、敵は必ず仲間を呼び寄せる。
そして今、それが現実になっていた。
時間が経つごとに敵の数は増え続ける。まるで闇そのものが集まってくるようだった。
「集まってきているな……」
アンドレイは静かに呟いた。
戦場は拡大し続ける。金属がぶつかる音、魔法の爆発、地面を踏み砕く衝撃――それらすべてが敵を引き寄せていた。
だが、それは同時に好機でもあった。
「まとめて引き寄せられるなら……一気に片付けられる」
彼は冷静に判断する。
ついに戦場周辺は影の騎士で埋め尽くされ、森は黒い海のように染まっていた。
アンドレイはドラゴンに命じた。
右側、北側の戦線に火を集中させろ。
炎の奔流が放たれ、暗黒騎士の列を焼き尽くしていく。陣形は崩壊し、悲鳴とともに敵が崩れていった。
その瞬間、アンドレイはフレイへと変化する。
空へと舞い上がり、戦場の上空で静止する。
そして魔法を連続で叩き込んだ。
爆発、閃光、衝撃波――すべてが中心部へと降り注ぐ。
敵の隊列は次々と消滅していく。攻撃は途切れない。冷徹で、正確で、圧倒的だった。
短時間で戦場の中心は壊滅状態となった。敵の半数が消え去る。
さらに彼はヴィカへと切り替える。
翼を持つ戦士の姿となり、空から急降下する。まるで爆撃機のように敵陣へ突っ込み、槍で次々と騎士を撃ち落としていく。
地上では使い魔たちが突破口を開き、戦いは最終局面へと移っていった。
だが戦力の半分以上はすでに失われていた。
空では敵のペガサス部隊が優勢になり、支援役は次々と撃ち落とされていく。
アンドレイ自身が再び空戦へと加わった。
ヴィカは空を縦横無尽に飛び回り、敵を一体ずつ確実に撃破していく。
戦いはさらに30分続いた。
そして――
すべてが静まった。
生き残っていたのは、満身創痍のタイタン一体。身体はひび割れ、今にも崩れそうだった。
その近くには、わずかに生き残ったゴーレムと戦象が数体。
かつて巨大だった軍勢は、ほとんど消え去っていた。
アンドレイは戦場を見渡し、すぐに詠唱を行う。
広域回復魔法が発動し、柔らかな光が生き残った仲間たちを包み込む。傷が塞がり、力が戻っていく。
彼はゆっくりと息を吐いた。
そして最後の命令を下す。
「部隊を解散する」
戦場は静寂に包まれた。




