第15章
第15章
エルフの部隊と別れた後、アンドレイはすぐに偵察へと向かった。風の支配者に乗り、彼は裂け目の北側を約300キロメートル、過酷で危険な大地の上空を飛行した。
上空から彼は多くの影の戦士を確認することができた。すぐに分かったのは、彼らが単なる無秩序な存在ではなく、組織化された戦闘部隊だということだった。
敵の種類は主に三つ。
剣と盾を持つ騎士。精密に攻撃と防御を行う戦士。
槍を持つ騎士。遠距離から致命的な突きを繰り出す兵士。
そしてペガサスに乗った騎士。空中から高速で襲撃する脅威。
彼らは魔法を使わず、純粋な戦闘技術と防御技術のみで構成されていた。レベルは70から100まで幅広く、旅人にとっては極めて危険な存在だった。
アンドレイは状況の重さを理解する。
「これは軽く見ていい相手じゃない。もしまとまって襲ってきたら、かなり厄介だ」
偵察の結果、分かったことは明確だった。北の裂け目は危険そのものだ。
人間の集落は少なくとも100キロから200キロは離れている。誰もこの領域に近づこうとしないのも当然だった。影の勢力が支配する場所なのだ。
「ここには誰もいない……なら、全力でいけるな」
そう判断したアンドレイはミラナの姿へと変わる。
そして一気に戦力を解放した。
彼は25体以上の使い魔を召喚する。中には中級ドラゴンも含まれていた。狼、二体の鷹、虎、砂漠の狐、クロテン、風を走る獣、そして他の危険な魔獣たち。
すべてが即座に命令に従う。
「行け!」
短剣を抜き放ち、彼は風の支配者に乗って裂け目へと突撃した。
戦いは一瞬で混沌へと変わった。
四方八方から影の騎士が押し寄せる。数では敵が上だが、アンドレイの軍勢は完璧に連携していた。
回避、奇襲、側面攻撃、空中からの急襲。
魔法、爪、剣撃、そしてドラゴンのブレス。それらすべてが一つの流れる戦闘へと融合していく。
影の戦士たちは次々と倒れていった。だが敵の抵抗も激しい。
戦いはまるで永遠のように感じられたが、実際には10分ほどだった。
最後の敵が倒れた瞬間、アンドレイは周囲を見渡した。
三体の使い魔が倒されていた。
しかし敵の被害は圧倒的だった。100体以上の影の戦士が消滅している。
砂塵と魔力の残滓がゆっくりと地面に沈んでいく中、彼は深く息を吐いた。
「まだ終わりじゃない……でも、悪くない結果だ」
ステータスを開き、彼は小さく安堵する。
倒れた使い魔は完全に消滅したわけではない。一定時間後に再召喚できる。
「一週間後に戻ってくるなら問題ないな」
彼は軽く笑った。
「まだ戦える」
影の100体撃破は、裂け目にとって明らかに大きな損害だった。
そしてアンドレイは決断する。
「次は本気だ。全部出す」
ミラナの姿で彼は戦象を三体召喚した。巨大な鎧をまとった戦闘象は、まるで動く戦車のように大地に立つ。
次にエヴェリナへと切り替える。魔法召喚士の姿だ。
彼は鋼鉄ゴーレムを10体作り出す。巨大な金属の身体が太陽光を反射し、一歩ごとに地面を震わせる。
さらに100体の石のガーゴイルが空へと舞い上がる。空中に密集した防衛網を形成し、上空を完全に封鎖した。
そして毒を持つキメラを10体召喚する。緑、紫、黒が混ざり合った体は危険そのものだった。
アンドレイはオーロラの姿へと変わる。
その瞬間、大地が揺れた。
魔法の渦の中から、巨体が出現する。
高さ10メートル級の巨人、タイタンだった。
「……でかすぎるな」
思わずアンドレイは呟いた。ゲーム内より明らかに巨大だった。
さらに彼はルーンを取り出し、古代の火竜を召喚する。
炎の渦の中から出現した竜は、赤と橙の鱗を輝かせ、周囲の空気を焼き焦がすほどの熱を放っていた。
さらにドライアドと約100体の妖精も召喚する。
彼女たちは攻撃ではなく支援に特化していた。攻撃力、防御力、回復力を強化するバフを広範囲に展開する。
そして空にはペガサス、飛行獣、鳥型の魔獣が埋め尽くされる。
軍勢はもはや“軍”ではなく“災害規模”だった。
すべてが整った瞬間、アンドレイはクラスター型の回復術士クリスタへと変わる。
彼女は広域回復魔法と強化魔法を展開した。
傷は癒え、力は増し、軍勢全体の戦闘力が跳ね上がる。
一部の存在には効果が届かなかったが、戦力の大部分には十分すぎるほどの強化が行き渡った。
そして戦場は、次の“本当の戦い”を待つだけとなった。




