第37章 夜の森での訓練
第37章 夜の森での訓練
カイラは予告もなくワイバーンを召喚した。ラナに考える暇を与えず、彼は彼女の手をつかみ、竜の背へ飛び乗った。
「しっかり掴まれ!」と叫び、二人は空へ舞い上がった。
23時、北の森は静寂に包まれていた。月光が木々の梢を照らし、地面には奇妙な影が落ちている。カイラは目的の空き地へとワイバーンを導いた。
到着後、彼は慎重に周囲を確認した。
— 危険なモンスターの有無を確認
— 訓練に適した地形を分析
「訓練を始める」カイラは宣言した。
「君が影移動を使えるのは分かっている。やり方を見せてみろ」
ラナは能力を発動し、消えては別の場所に現れながら空き地を移動した。カイラはその動きを注意深く観察する。
「悪くない。クールダウンは7秒、最大でも5秒か。さらに磨け」
「次は俺が、これを何倍も強く使う方法を見せる。君のギルド長を倒した技だ」
カイラはデュアル・シャドウ・ムーブメントを実演した。
— 1回目の跳躍
— 即座に木へ転移
— 予測不能な位置への出現
ラナは驚愕した。
「そんなの不可能よ!どうやってるの?」
カイラは首を振った。
「いや、これは特殊な仕組みだ。影移動は転移後にクールダウンに入るが、0.5秒以内に再発動すればそれを回避できる」
「仕組みはこうだ:
1回目の転移
即時の再マーキング
2回目の位置への出現」
カイラは続ける。
「重要なのは反応速度だ。転移後の数分の一秒で次の移動先を判断する必要がある」
「さらに、連続で複数回も可能だ。俺なら10回連続もできる。ただし必要なのは反射神経と精密な計算だ」
カイラは空を見上げた。
「時間は1時間しかない。まずは二重跳躍の基礎からだ」
ラナは集中して試みたが失敗した。
1回目:失敗
2回目:失敗
3回目:失敗
「落ち着け」カイラが止めた。
「まずは単純に1メートルの通常転移、そのあともう一回だ」
それでもうまくいかなかったため、彼は方法を変えた。
「こうしよう。半秒だけ集中する時間がある。あの木の影を覚えろ。そして別の木へ飛んだ瞬間に最初の影を思い出せ」
ラナは集中した。
1回目:失敗
2回目:ほぼ成功
3回目:成功、二重シャドウステップ成立
「よし、いいぞ。初めてにしては上出来だ」
カイラは静かに空を見上げた。
「俺は特別じゃない。ただ、この世界の誰も知らない知識を持っているだけだ」
そしてインベントリから光る液体の瓶を取り出した。
「これを飲め。ステータス倍化ポーションだ」
ラナは警戒した。
「待って、それ本当に安全なの?」
成分を確認した後、彼女は飲んだ。
「……飲むわ」
瞬間、彼女の身体に力が満ちた。
— 力の増加
— 感覚の鋭化
— 動きの軽さ
「すごい……!」ラナは驚きを隠せなかった。
「一時的な強化だ。今なら効率よく訓練できる」
その後の訓練は完璧だった。
1回目:成功
2回目:完璧
3回目:完全制御
ラナは、カイラがギルド長に使った技を自分で再現できていた。
「信じられない!無敵になった気がする!」
「でも回復魔法はどうするの?」ラナが尋ねた。「アサシンは普通習わないわ」
カイラは白いルーン石を取り出した。
「これを使え」
ラナがマナを流すと石が光り、彼女の手にルーンが浮かんだ。ステータスに新たな項目が追加される。回復魔法レベル1。
「私……回復魔法が使えるの?」
カイラは急がず言った。
「ワイバーンに乗れ」
ラナは転移を使い、彼の隣に現れた。
帰路は無言だった。
ラナは新しい力について考え、
カイラは次の計画を思案していた。
街に戻ると二人は別れた。カイラはようやく休息したいと感じていた。
「最後にこんな遅くまで起きていたのはいつだっけ……」
かつて夜通しゲームをしていた頃以来だ。
皮肉なことに、今彼はその“ゲームの世界”の中にいた。
かつて徹夜で遊んでいた世界で、今は現実として生きているのだった。




